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教育に新聞を取り入れるNIE活動の公開授業が3日、洲本市の県立洲本高校であった。市と姉妹都市提携する米国・ハワイ郡から来日したヒロ高校生10人も参加し、両国の新聞の読み比べをして、意見を発表した。
生徒らは6人ずつテーブルを囲んで、両国で話題になっているニュースを紙面上で探した。翻訳アプリを使うなどして説明し合い、比較しながら「米国の新聞の中には日本のニュースが少ない」などと発表した。洲本高校2年の西岡華暖さん(17)は「文化の違いがわかって興味深く感じた」と話した。公開授業は県内の新聞・通信8社などでつくる県NIE推進協議会が主催。NIE実践指定校の同校では週1回、新聞記事を使って生徒らが感想を記す学習を続けており、同協議会の竹内弘明会長は「日米の新聞を使い両国の高校生が交流する面白い授業だった」と講評した。
[写真説明] 新聞を読み比べ、日米の違いを話し合う生徒たち(洲本市で)
=読売新聞10月4日付朝刊記事
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日米の新聞、相違点学ぶ 洲本高生とハワイの高校生

新聞を教育現場で活用するNIE(教育に新聞を)活動に取り組む洲本高校(洲本市上物部2)で10月3日、公開授業があった。2年生41人のほか、ホームステイ中の米ハワイ・ヒロ高校2年生10人が参加。お互いの国の新聞を見比べながら、政治や文化の相違点などについて学んだ。
同高はNIE実践指定校。週1回、新聞を読む時間を設け、切り抜きを教材に使うなどしている。ヒロ高生は姉妹都市交流事業で洲本高などを訪問しており、多様な価値観に触れて視野を広げる機会にと、今回の授業に招いた。
生徒は6人ずつグループに分かれ、日本とハワイの複数の新聞を比較。「大阪・関西万博に世界中の人が集まっている」「(米プロフットボール優勝決定戦の)『スーパーボウル』のハーフタイムショーの出演者が決まった」などと記事を英語で紹介し合った。
また、日本の新聞から米国の記事を、ハワイの新聞からは日本の記事をピックアップ。「日本は米国のニュースが多いが、ハワイはハワイのことばかりで、まるで片思い」「大谷翔平選手の人気は両国共通」と、それぞれ感想を述べた。
昨年の夏休みにヒロを訪れた河野日向さん(16)は「大きな見出しでニュースが伝わるのが新聞のいいところ。語彙(ごい)力も上がるので、活字に触れる機会は大切だと思う」と話していた。(内田世紀)
[写真説明] 新聞を持ち寄って話し合う洲本高生とヒロ高生=洲本高校
=10月7日付神戸新聞朝刊淡路版
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ハワイの高校生と新聞を通じて国際交流 兵庫県の洲本高校生がNIE公開授業で両地域の新聞読み比べ
兵庫県洲本市の県立洲本高校(下條謙一郎校長)で10月3日、同校の生徒とアメリカ・ハワイ州の高校生が机を囲んで交流をしながら、日本の新聞と現地の新聞を持ち寄って比較するNIE公開授業が開かれた。
同市とハワイ州ハワイ郡とは姉妹都市提携をしており、かねてから中高生らがお互いを訪問してホームステイをするなど交流が深い関係にある。今回もハワイ・ヒロ高校の生徒たちが同市を訪れ地域の人たちと様々な交流を重ねていて、この日は洲本高校を訪れる日程だった。
公開授業は「新聞deコミュニケーションwithハワイ・ヒロ高校」と題して開かれ、NIEアドバイザーでもある大石昇平教諭が受け持ち、ほかの高校でNIE授業を担当する教諭らも見学した。
授業には洲本高校2年1組の41人、ヒロ高校の10人の生徒が参加。基本的にヒロ高校の生徒1、2人を含む数人ずつの班に分かれ、読売新聞と神戸新聞、ハワイの地方紙2紙を読み比べた。
両校の生徒たちは初対面で授業で、まず打ち解けやすいよう、日本とハワイの新聞記事からそれぞれ最も大きな数字を見つけることに挑戦。洲本高校の生徒たちは英語や身振りでヒロ高校の生徒たちとコミュニケーションをとっていた。
生徒たちの緊張がほぐれ、次は日米の新聞それぞれの1面記事に、どのようなニュースが取り上げられているかを比較し、その内容を説明し合った。
さらに日本の新聞にどれほどアメリカの記事が載っているか、逆にハワイの新聞にどれだけ日本のことが取り上げられているのかを探った。すると、日本の新聞は1面から国際面、経済面、社会面などことごとくアメリカの記事が見つかるが、ハワイの新聞には日本関連の記事が皆無。「日本に関係しているのは大リーグの大谷翔平選手ぐらい?」など生徒たちも意外な展開にびっくり。
最後に両紙面を比較して感じたことを各班がまとめて発表したが、ほとんどが「日本は小さい国で、ハワイの新聞にはあまり取り上げられていない」、「記事の量の違いから、日本はアメリカの影響を強く受けているが、アメリカにとっては日本の影響力はそこまでのものではないとわかった」「日本の新聞は様々な国のことを記事にしているが、ハワイの新聞はハワイ内の記事が中心」といった感想が占めた。
貴重な実践授業と評価
授業を見学した兵庫県NIE推進協議会の竹内弘明会長は授業後の意見交換会で「日米の子どもたちが一緒に新聞で交流する、あまり見たことがなく、貴重な実践授業だった」と評価。大石教諭は「NIEの実践授業をしようとしている時期にヒロ高校の訪問が重なり、互いが読んでいる新聞を比較することを考えた。多様な価値観や考え方に触れ、日本とアメリカの関係を考えてほしかった」と授業の主旨を説明していた。
洲本高校はNIE実践高校になって2年目。資料や文章を読むことを苦手としている生徒が増えていると感じたことや、大学入試に必要な時事問題への興味を育もうという意識の生徒が少ないと感じた教諭らが、活字に触れる習慣をつくってもらうことなどからNIE実践指定校の申請をしたという。
実践校としては校内に新聞を置くNIEコーナーを設置して、「為替を新聞で調べて」などの課題に活用。新聞記事をピックアップして内容を確認するミッションを添えた「洲高かわら版」の発行、地域住民と新聞記事を読んで意見交換する交流会などの活動に取り組んでいる。(伊藤周)=10月11日付新聞情報
[写真説明] ヒロ高校の生徒(左)と新聞を読み意見を交わす洲本高校の生徒たち
[写真説明] 新聞を使った授業をする洲本高校の大石昇平教諭
◆実践された洲本高校の大石昇平教諭の寄稿(授業のねらいや成果、課題)はこちら



[写真説明]「新聞に❝ツッコミ❞を」をテーマにした公開授業。生徒たちが、新聞を読んで疑問に思ったことを「ツッコミ新聞」としてまとめた経験などを発表した。「ツッコミ新聞」―。記事の内容に対し、生徒が「問う(ツッコミを入れる)」。関西ならでは?のNIE活動が、参加者の関心を集めた=8月1日、神戸市東灘区岡本8、甲南大学岡本キャンパス


写真説明]網干高校の実践発表。同校は今年2月、「地域防災」をテーマに、近くの姫路市立網干西小学校と公開授業を行うなど、地域に根差したNIE実践を続けている=8月1日、神戸市東灘区岡本8、甲南大学岡本キャンパス


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小中学生対象の手作り新聞コンクールを山陰中央新報社(本社・松江市)で担当している。手書きの新聞は肉筆ならではの良さがあるが、日常的に取り組むには手間がかかりすぎるのが難点だ。「新聞作りアプリを使えば、もっと気軽に学習に取り入れてもらえるのではないか」と思い、養父市立宿南小学校の実践発表「新聞づくりアプリ『ことまど』を使った養父市の産業紹介」を聴講した。アプリは「伝えたいこと」を形にし、発信するのに有効なツールであると感じた。







[写真説明]「スモールステップで進めてきた」。特別支援学校のNIE実践発表は示唆に富んでいた=8月1日、神戸市東灘区岡本8、甲南大学岡本キャンパス
渋谷仁崇主幹教諭による公開授業のテーマは「新聞から考える、いのち輝くまちづくり」。3年生が各自の「NIEノート」に貼った切り抜き記事や書きためた感想をもとに、災害、熱中症、ジェンダー平等などの社会課題について意見を発表した。自分ごととして捉えているかがポイントだ。
公開授業では、東日本大震災を扱った異なる新聞記事を読み比べ、その内容の違いから、発信者の思いや意図を探った。同一の震災を取り上げた記事でも、地域や時期によって焦点が異なる。比較することで違いが浮き彫りとなり、子どもたちは情報の背景にある発信者の思いなどを推し量ることができた。
俳句の町・松山からの参加ということで、分科会第2部、姫路市立飾磨中部中学校の実践発表「NIE俳句~記事の写真から豊かにイメージしよう~」の講評を担当させていただいた。






新聞の写真から一句、 「対立」と「合意」テーマに












教育現場で新聞を活用する「NIE」(教育に新聞を)の公開授業が10月26日、西宮市の市立浜脇中学校で行われた。1年生の生徒らが新聞記事を活用し、持続可能なまちづくりや社会課題について考え、活発な議論を交わした。

全体会のパネル討議で「ICT時代のNIE」について意見交換する登壇者ら=8月3日、愛媛県県民文化会館

愛媛県立伊予高校が立地する松前町には、県が生産量日本一を誇る特産品「はだか麦」がある。作付面積は町土の1割に及ぶ。生徒たちは「給食利用推進」「スーパーでの販売促進」を目指す班に分かれて、知名度向上案を競った=写真。

毎日トップ記事記録/当時の紙面で震災学ぶ
























NIE(教育に新聞を)活動を進める兵庫県NIE推進協議会の設立20周年を記念し、学校での新聞活用事例を紹介する実践発表会(神戸新聞社など後援)が2月1日、神戸市中央区の市産業振興センターであった。小、中、高、特別支援学校計7校の生徒らが教諭と取り組みを発表した。