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【神戸大会リレー寄稿】➇ グラレコ初登場

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 「NIE全国大会神戸大会」では、会議などの内容を文字やイラスト・図・記号で模造紙に描きだすグラフィックレコーディング(グラレコ)を初めて導入した。1日目の記念講演やパネル討議、2日目の4つの公開授業の様子をリアルタイムで描き、会場に掲示した。参加者の関心は高く、写真撮影の列ができた。

 スタッフの姫路市立英賀保小学校・井上幸史校長(日本新聞協会NIEアドバイザー)に当日の様子を振り返ってもらった。

[写真説明]グラレコを見る参加者=7月31日、神戸市中央区港島中町6、神戸ポートピアホテル                

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グラレコで描くNIEの未来

 グラレコは、その場の学びや雰囲気を可視化するツールだ。これまで兵庫県NIE推進協議会の実践発表会などで導入しており、今回、10人のスタッフで「らくがきレコーダーズ神戸」を組織して神戸大会に臨んだ。

 大会1日目、神戸ポートピアホテルでの全体会は、グラフィックレコーダー2人(井上幸史、原純哉)が担当。会場のポートピアホール後方に設けられた特設エリアに模造紙を広げた。

 開会式の世界的指揮者・佐渡裕氏とスーパーキッズ・オーケストラの素晴らしい演奏から感動のエネルギーをもらいつつ、芥川賞作家・小川洋子さんの記念講演「言葉は人をつなぐ」では、あふれる言葉の中に込められたメッセージを読み解きながら1枚の模造紙にまとめた。

 ジャーナリスト・池上彰氏がコーディネーターを務めたパネル討議「情報で、いのちを守る」では、3つの視点(参院選、災害対応、NIEに求めること)をもとに、90分にわたるパネリスト4人の活発な議論と対話を要約・構造化した。

 開会式、開会あいさつ、記念講演、基調提案、パネル討議を描いた5枚のグラレコはすぐさまロビーに展示。周りには人だかりができ、「メディアとしてのグラレコ」に手応えを感じた。

 甲南大学岡本キャンパスを舞台にした2日目の分科会では、4つの公開授業を各2人計8人のグラフィックレコーダー(栗山こまよ、山國瞳、井上慶子、松下喜子、岡田英之、畑田千香、川原諭、西村奈美)が担当した。

 甲南小学校の「シンブリオバトル」、西宮市立浜脇中学校の「NIEノート」、姫路市立豊富小中学校(前期課程)の、全国の子ども新聞から迫る「メディリテラシー」、兵庫県立北神戸総合高校の「新聞にツッコミを!」。これらをどのように描くか、事前に何度も打ち合わせ、模造紙1枚目に公開授業の中身、2枚目に参加者との意見交換会や助言・講評を描くことにした。水色を基調として、新聞風のグラレコを目指した。NIEの大会ならではの仕上がりになるよう工夫した点である。

  できあがったグラレコは大学構内のロビーに展示。1日目のグラレコも一緒に並べ、2日間の「学び」を振り返ることができるようにした。

 参加者からは「授業のポイントがよく分かる」「公開授業や意見交換の内容を俯瞰(ふかん)できる」「リアルタイムに描きあがることに感動した。なんだか新聞と似てますね」などの感想が数多く寄せられた。参加者の皆さまの「学び」を豊かにすることに微力ながら寄与できたことは、担当したグラフィックレコーダーにとって大きな喜びとなった。

 さて、メディアの在り方に関心が集まっている今は、新しい時代のNIEを切り拓くチャンスである。今こそ「新聞記事をいかに活用するか」から「新聞というメディアを切り口に、ニュースを読み解くリテラシーの育成」への視点の転換が大切だと感じている。

 グラレコは情報をわかりやすく伝え、人々の対話を促し、新たな気づきや創造性を生み出す力も持つ。今回の大会のようなグラレコ活用とあわせ、例えば、メディアリテラシーを育む新たなアプローチとして「まわしよみ新聞×グラレコ」のような取り組みはどうだろうか。NIEの魅力と可能性を引き出すグラレコの在り方を模索していきたい。

 最後に、このような貴重な機会を提供いただいた、NIE神戸大会実行委員会と兵庫県NIE推進協議会に感謝申し上げます。

井上幸史(姫路市立英賀保小学校長)(9月5日)

※「らくがきレコーダーズ神戸」の皆さんがNIE神戸大会で描いたグラレコすべてを紹介します。

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オープニング、あいさつ、基調提案.pdf

記念講演.pdf

パネル討議1.pdf

パネル討議2.pdf

パネル討議3.pdf

甲南小学校・公開授業.pdf

西宮市立浜脇中学校・公開授業.pdf

姫路市立豊富小中学校(前期課程)・公開授業.pdf

兵庫県立北神戸総合高校・公開授業.pdf

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