新着ニュース

 2025年夏の「NIE全国大会神戸大会」(7月31日~8月1日)に向けて、神戸新聞社NIE神戸大会事務局が「ひょうごNIE通信―2025神戸大会へ―」を月1回発行し、大会の準備状況などを紹介しています。

 ぜひお読みください。

第7号  (2025年3月1日号)

第6号  (2025年2月1日号)

第5号  (2025年1月1日号)

第4号  (2024年12月1日号)

第3号  (2024年11月1日号)

第2号  (2024年10月1日号)

第1号(2024年9月1日号)

250318sumatomogaokakoubousai.jpg

 阪神・淡路大震災などの災害や防災について学んできた須磨友が丘高校(神戸市須磨区友が丘1)の1年生9人が、災害が多い国として知られるトルコの中高生とオンラインで交流した。互いの国の文化を紹介したり、防災について意見を交わしたりした。

 須磨友が丘では、複数教科の視点からテーマを決めて課題に取り組む授業を実施しており、そのうちの一つに「防災」がある。トルコの学校から県を通して依頼があり、交流が実現した。

 やりとりは全て英語で行われ、日本の生徒は、阪神・淡路や東日本など大地震が多い国とし、避難用の備品を定期的に確認する重要性を指摘。学校が避難所になった場合の運営方法など学習の成果も説明した。

 トルコの生徒も、地震や洪水などの災害が多いと明かし、「日本では地震の際どのように自分の身を守ろうとしているのか」などと質問した。

 互いの国の文化も紹介し合った。トルコからは、オスマン帝国の支配下にあった歴史や、ケバブやヨーグルトなどの食を説明。日本は、着物や神社など特有の文化をはじめ、神戸港の変遷や現在の街並みなどを伝えた。

 峯明佳里(みね・あかり)さん(16)は「トルコはかなり災害の多い国で、防災教育にも力を入れていることに少し驚いた。防災への関心を国内だけでなく海外にも広げたい」と話していた。(安福直剛)=3月18日付神戸新聞朝刊神戸版

[写真説明]防災をテーマにトルコの学校と交流する高校生=須磨友が丘高校

※須磨友が丘高校は日本新聞協会のNIE実践指定校です。同校の防災の取り組みは、今年夏の「第30回NI全国大会神戸大会」で発表される予定です。

◆須磨友が丘高校が近隣の神戸市立横尾小学校で行った防災授業の記事はこちら、同市立多井畑小学校で行った防災授業の記事はこちら

250319nietennnidinomiya.jpg

 県内のNIE(教育に新聞を)の代表的活動校の一つ、西宮市立浜脇中学校(宮前町)の活動を紹介する展示会が、同市立中央図書館(川添町)で開かれている。

 展示会では今年1月、「住み続けられるまちづくりを」のテーマで2年生14人がアイデアを発表した授業を振り返り、公共交通の無償化▽雷を使った自然エネルギー▽二酸化炭素からつくる水▽衛星利用測位システム(GPS)による認知症対策―などの資料を展示。各テーマに関連した図書も紹介している。

 4月2日まで。月曜休館。同館☎0798・33・0189 (三好正文)=3月20日付神戸新聞朝刊阪神版

[写真説明]浜脇中のNIE活動を紹介する展示=西宮市立中央図書

◆浜脇中生が「住み続けられるまちづくりを」をテーマにアイデアを発表した授業の記事はこちら

250304hibarigaokatyu1.JPG

 兵庫県NIE推進協議会が、2025年度のNIE実践指定予定校で「プレ出前授業」を行っている。先生たちがNIE実践を始めるのを前に導入として、新聞にあまりなじみがない児童生徒に新聞の特長や読み方を伝えている。

 25年度、兵庫県では新規・継続校合わせ27校を日本新聞協会または同協議会のNIE実践校に指定予定で、プレ出前授業は、同協議会事務局長が新規校で行う。同協議会が数年前から続けている取り組みで、NIE実践担当の先生に向けた事前説明に合わせ、あいさつ代わりの出前授業を行っている。

 3月4日、神戸市立雲雀丘中学校(同市長田区)では2年生44人を対象に、新聞と新聞記者の話をした。

 新聞の特長として記事の一覧性と網羅性を挙げ、「新聞は関心のない話題も目に入るので知識の幅が広がる」「紙面をめくれば、いろんなニュースを知ることができる」と説明した。最近気になった記事を生徒たちが話し合ったり、記事に見出しをつけたりするワークショップも行った。

 記者の仕事では、自身が会った著名人や、震災報道や犯罪被害者支援など関わってきた仕事を紹介。「信頼できる情報を届けることと、人命と人権を守ることが大切な仕事。現場第一主義で、そこに行かないと分からない具体的な情報や、ディテール(細かい事実)を届けるよう心がけている」と話した。

 無読者層が目立つ中、各校にどうNIE活動を進めてもらうか、2年間の指定期間が終了した後も活動を続けてほしい――。それは、今年夏の「第30回NIE全国大会神戸大会」をバネにして、長く取り組まねばならない課題だろう。試行錯誤が続く。

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2025年3月19日)

[写真説明]新聞と新聞記者の話を聞く生徒たち=神戸市長田区雲雀ケ丘1、雲雀丘中学校

250226hamawakityuusannieikobe.jpg

 6434人が犠牲になり、3人が行方不明のままの阪神・淡路大震災は2025年1月17日で発生30年を迎えた。兵庫県NIE推進協議会が長年、兵庫県内外の学校で行っている「震災授業」はいまも続けられ、24年度の実施校は県内の小中高校11校に上った。当時、神戸などの被災地を取材した産経新聞と神戸新聞の記者によるコラボ授業や、当時まだ生まれていない神戸新聞の防災担当記者が講師を務めたケースもある。

 2月26日、西宮市立浜脇中学校での授業は、産経新聞大阪本社編集局の岸本佳子夕刊編集長と神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザー(兵庫県NIE推進協議会事務局長)が講師を務めた。30年前、ともに記者として被災地取材に当たった。

 岸本編集長は、被災者であふれる避難所や公衆電話に並ぶ人たちなど当時の写真を紹介。「震災で日常が一変した被災者の思いを届けなければ、と取材を続けた」と振り返った。震災報道を続ける意味として「昨年元日の能登半島地震など、各地で災害が発生している。防災に関する新たな課題や阪神・淡路の教訓を伝えたい」と力を込めた。

 三好アドバイザーは大震災当日、神戸・三宮にあった神戸新聞本社で宿直勤務だった。震度7の瞬間や被災地の惨状を説明し、「能登半島地震と阪神・淡路の光景が重なった。若い世代に記憶と教訓をバトンをつないでほしい」「多くの人命が助かったケースはよく『○○の奇跡』といわれるが、そこには伏線がある。日頃から共助を大切にしたい」と話した。

 阪神・淡路の記憶と教訓を若い記者が受け継ぐことは大きな課題だ。1月21日、神戸海星女子学院小学校(神戸市灘区)での授業は、三好アドバイザーと神戸新聞で防災を担当する名倉あかり報道部記者(当時)が講師を務めた。

 震災が起きた1995年生まれの名倉記者は、自身の名前に「暗い世の中を照らせるように」との思いが込められていると紹介。「まずは自分の命を大事にして、次の地震から身を守るために一緒に阪神・淡路の記憶をつなぎたい」と語った。

 甲南小学校(神戸市東灘区)では、児童たちが被災時を想定し、防寒やプライバシー保護を考慮した段ボールハウスを作った。

 このほか、出前授業では阪神・淡路の発生直後、ラジオ関西(本社・神戸市)が神戸市長田区の火災現場から生中継した放送音源を紹介したり、事前に校内に当時の報道写真を掲示したりもしている。

 災害の記憶が薄れる「30年限界説」が言われる中、さらに震災授業を続けたい--―。いまは災害と災害の間を生きている「災間」なのだから。

◆兵庫県NIE推進協議会が行った24年度の震災授業一覧はこちら

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2025年3月17日)

[写真説明]阪神・淡路大震災30年をテーマに語る産経新聞の岸本佳子さん(左)と、神戸新聞の三好正文アドバイザー=西宮市宮前町、浜脇中学校