■コミュニケーション能力など高める
小学生が地域の人にインタビューして新聞をつくるNIE(教育に新聞を)公開授業が、2025年12月5日、兵庫県神戸市灘区の市立鶴甲小学校であった。兵庫県NIE推進協議会が主催し、同小6年2組の29人が地域の魅力を発信しようと議論しながら取り組んだ。
同校の6年生は一昨年からNIE授業を続けている。これまでは新聞の切り抜きを資料に平和教育を受けたり、朝の会でスピーチをしたりするなどしてきた。25年度は視点を変え、記者がどのようにインタビューをして記事をつくり、どのようなインタビューで読み手に内容を伝えられるのか、といった作り手側の立場で新聞を学んでいる。
基本を知るために、1学期が始まると神戸新聞で記者を長く務めた同社の三好正文・NIE・NIB推進部シニアアドバイザーを招いてインタビューや写真撮影のポイントを学んだ。さらに「聞き足りなかったことは繰り返し聞く」「真実しか書いてはいけない」といった心構えも教えられた。
児童たちは、1学期は同級生同士で友だちの良さについて、2学期は家族に家事の工夫についてインタビューし互いに報告しあった。また先生や調理員など学校の職員のインタビューにも取り組んだ。
11月からは地域の自治会やボランティア、介護施設の職員など学校外の人を招き、地域のどこに魅力を感じるか、好きな場所は、増やしてほしい施設などの項目を決めてインタビュー。得られた答えを書きとった。
この日の公開授業では、担任の藤岡敦洋教諭(30)がこれまでの授業で得た「必要な話を集め一つの段落に一つのテーマ、同じ話題は同じ段落に、テーマから目を離さない」ことなどを振り返って確認。「印象的だった言葉は?」「キーワードは何か」などのコツも共有し、新聞づくりを開始した。
児童たちはまず見出しを決めることやインタビュー内容を確認しながら原稿を150~200字にまとめ、分かりやすい表現になっているのか、といった流れで取り組んだ。
各班では「ちょっと取材が足りずもう少し聞きたい」「そんなことは言ってなかったのでは」などと議論も白熱した。地域でのインタビューの結果を4、5人の班に分かれて各児童に配布されているパソコンを使って各班それぞれの新聞をつくる作業を進めた。
「自然が多いけれど、坂道も多くて大変、と言っていた」「地域の施設に対して思うところを聞くと、コンビニなどはほしいが、自然豊かな地域なのでそれは壊れてほしくない、と語ってくれた」などそれぞれの記事や見出しを作成し、班で話し合いさらに練り上げていった。
この日は時間が足りなかったが、授業の最後では「自分が思う通りに記事を書いたら長くなりすぎ、短くするのが難しかった」、「自分が良いと思っても話し合うともっといいものになり、協力しあえてよかった」などと振り返り、森悠香さんは「相手に手に取ってもらう見出しを考えるのが楽しかった」と話した。
藤岡教諭は公開授業を終え「新聞作りを通じて児童たちが順序立てて情報を伝える力や、意図的に文章を組み立てる能力を身につけて、コミュニケーション能力も高められていると感じている」などと感想を話した。
■NIE大会で実践発表
同小がある神戸市灘区鶴甲地区は1960年から7年をかけて山間部約60万平方㍍を切り開いて開発された広大な住宅団地。ただ人口減少が進み、多くて1千人近くいた児童も現在は約360人。一方、親子で同小の卒業生といった家庭も多く、地域のコミュニティの場としても住民に愛されている学校という。
新聞を授業に取り入れて子どもたちに活字に慣れ親しんでもらおうとNIE実践指定校になり、25年度で3年目。昨年8月1日には神戸市内で開かれたNIE全国大会神戸大会では藤岡教諭が「新聞を通して学ぶ~インタビューと文章の記述~」として実践発表をした。=1月24日付新聞情報
[写真説明]見出しや記事などについて議論する児童たち
[写真説明]地域の人にインタビューする鶴甲小の児童ら
[写真説明]藤岡敦洋教諭
