昨年8月、兵庫で発足した「新聞をつかった『やさしい日本語』研究会」の第7回交流会が9月24日、オンラインで開かれた。交流会には、今年夏の「NIE全国大会神戸大会」の実践発表で研究会のことを知った、琉球新報社(沖縄県)と信濃毎日新聞社(長野県)からも参加があった=詳報はこちら。
神戸大会を機に、兵庫県内外の教員や新聞関係者の間で「NIE交流」が始まっている。それは、主管団体の兵庫県NIE推進協議会が思いえがいていた以上に活発だ。
神戸大会で「新聞を通して学ぶ」と題して実践発表した、神戸市立鶴甲小学校。同校の6年生たちが9月25日、鹿児島県南さつま市立川畑小学校の5年生たちとオンラインで交流、学校や地域の様子を紹介し合った。大会に参加した川畑小の教員から「新聞作りをテーマに交流したい」と連絡があったという。今後も川畑小児童が作った新聞の発表会などが計画されている。
戦後80年の今年、「ヒロシマ」をテーマに実践発表した愛徳学園小中学校(神戸市垂水区)。実践発表の助言をお願いした、広島県呉市立荘山田小学校の高下千晴教諭との間で、来年2月、両校の児童同士が平和学習をおこなうことが決まった=高下教諭の寄稿をリレー寄稿の最終回に掲載予定。
神戸大会が終わって、もう2カ月になる。大会2日目(8月1日)の分科会は2部制とし、計26の公開授業と実践発表を行った(ほかに特別分科会とワークショップを実施)。参加者からは「とても回り切れない」との感想もいただき、「3部制にした方がよかったか」との思いもよぎる。
ただ、数多くの全国紙、地方紙に掲載された、大会の記事や参加された先生方の感想は、計26の公開授業と実践発表に満遍なく触れられており、すべての取り組みが紹介された。多様なニーズに応えることができたようにも思う。
あと、今大会で心がけたことがある。大会1日目に記念講演した芥川賞作家・小川洋子さんに依頼し、今年1月、実践校の一つ・西宮市立浜脇中学校のNIE授業を参観してもらったことだ。1日目の記念講演やパネル討議と、2日目の分科会をどうつなぐか、ずっと考えてきた。
新聞を使った授業を見るのは初めてという小川さんは生徒のグループに加わって、熱心にメモを取り、生徒の意見に耳を傾けた。単なる授業参観ではなかった。生徒たちにとっても忘れられないNIE授業になったのではないか。
三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(9月29日)
[写真説明]「言葉は人をつなぐ」をテーマに講演する小川洋子さん=7月31日、神戸市中央区港島中町6、神戸ポートピアホテル
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