「NIE全国大会神戸大会」2日目の分科会で、愛徳学園小中学校(神戸市垂水区)は修学旅行で広島を訪れた中学3年生が新聞を作って、小学6年生に平和や日常生活の大切さを伝えるNIE活動について実践発表した。
戦後80年となった今、兵庫の中学生が「ヒロシマの記憶」を伝える側にいる。心強い。神戸大会リレー寄稿は、この実践発表で助言いただいた、広島県呉市立荘山田小学校の高下千晴教諭(日本新聞協会NIEアドバイザー)の寄稿で締めくくる。
NIE全国大会は、子どもたちの「平和への思い」を乗せ、今年夏の神戸から来年夏の広島へ受け継がれる。
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兵庫と広島の児童 ともに「平和学習」実施へ
愛徳学園小中学校の実践発表から、新聞づくりを通して子どもがどのような成長をするのかを学ばさせていただいた。中学3年生が作成した新聞は、広島での修学旅行における学びを、自分の言葉で丁寧に説明したものである。生徒が広島での修学旅行で受けとめた戦争の記憶を、小学生に語り継がなければという「使命」と「責任」を感じていたからこそできたものと考える。
そして、その新聞を読んだ小学6年生は,戦争の記憶だけでなく、作成した生徒の思いも理解し受けとめたことを、自分の言葉で真剣に生徒に伝えていた。
愛徳学園の取り組みは、新聞を作成するだけでなく、このような子どもたちのつながりまでをきちんと考えて実践されている素晴らしいものだった。
来年2月には、愛徳学園小の児童と私が勤務する小学校の児童で作成した新聞を交換するなどの交流平和学習を計画している。兵庫の子どもから見た「戦争の記憶」と、広島の子どもから見た「戦争の記憶」を交流することで、子どもたちをつなぎ、自分たちの生きる未来について考えることができればと思う。
来年夏のNIE広島大会では、子どもたちが新聞を介して学びを深める姿、自分の成長に向き合う姿を報告したいと思う。
高下千晴(広島県呉市立荘山田小学校教諭、日本新聞協会NIEアドバイザー)(10月13日)
[写真説明]愛徳学園小中学校が行った「中学3年生と小学6年生が伝え合う原爆と平和」の実践発表=8月1日、甲南大学岡本キャンパス
※【神戸大会リレー寄稿】は今回で終了します。