セミナー・発表会・公開授業

【寄稿】有馬高校の公開授業を終えて

※2月7日の有馬高校の公開授業を担当した森澤亮介教諭に、ねらいや展望をご寄稿いただきました。

     「批判的読解力や多様な物事の見方を身に付けよう~各紙の社説を比較して~」
                                    授業者:森澤亮介
◎ねらい
 昨年の兵庫県知事選挙において、SNS(交流サイト)が旧来のメディアと比べて大きな影響力を発揮した。このことをきっかけにして、「生徒がSNSの情報に安易に左右されず自分の考えを形成するのに、学校では何を教えるべきか」と考えるようになり、それが今回の公開究授業につながった。テレビや新聞といったメディアとSNSを比較する授業も一時は考えたが、せっかくNIE活動で実践校に指定いただいている本校としては、新聞同士で特徴を比較してみたらどうだろうか、と考えるようになった。そうして各紙の社説を調べだすと、主張がはっきり異なる話題と、比較的に多様な意見を述べるものがあることに気が付いた。そこで、生徒にも社説を読んでもらい、「広くて多様な視点で物事を見ることの大切さ」を理解させることを今回の授業の主たる目的とした。

◎実践内容
 全国紙5紙+神戸新聞で合計6紙のさまざまなテーマに関する社説を読み比べた。「成人の日」や「大谷翔平選手のMVP」といった身近な話題から「同性婚訴訟」や「エネルギー基本計画」など背景知識の理解も必要とするような少し難しい話題の社説にも取り組んだ。それぞれのテーマにつき2紙ずつ社説を用意し、生徒たちは「主張」「根拠」「立場」を読み解きながら、ペアやグループで共有した。最後にグループで話し合ったことをもとに、その班の「主張」をクラス全体の前で発表した。

◎今後の展望
 今回1年次生を対象に授業をしたのは、2年次から探究活動の授業が始まるから、という理由が大きい。自分の探究を進めていくうえで必ず情報収集をしなければならないが、その際に1つの新聞、1つのwebサイトだけを見てそれをそのまま鵜呑みにするのではなく、必ず複数の情報源にあたることが重要であることを、今回の授業から学んでくれたことを期待したい。実際生徒の感想を読んでいると、そのような意見が多数見られた。また、長期的な目で見ても、社会に出るうえで、自分の考えを形成するのに様々な会社(人)の考え方や立場を理解して、自分なりの意見を形成していってほしいと願っている。

◎全体の感想
 前述の通り、生徒にとっては難しい話題もあったが、自分で語句を調べながら、読み込むことができていた。また、クラス内でのペアやグループ活動を通して学びあう姿勢も見られた。来年度もNIEの指定を受けるので、このような授業は「産業社会と人間」の中で行っていく必要があるだろうし、年間の授業中で継続した取り組みが必要だと感じた。