2025年10月アーカイブ

 兵庫県内の小中学校で、児童・生徒がお互いをインタビューして記事にまとめる取り組みが活発になっている。県NIE推進協議会は、インタビューや記事の書き方のポイントを伝える出前授業を通し、各校の取り組みをサポート。授業では担当講師が教員にインタビューし、記事になるまでの過程も紹介している。

◆神戸市立鶴甲小学校(5月15日、対象=6年生59人) 日本新聞協会のNIE実践指定校。講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

◆甲南小学校(5月15日、対象=4年生59人) 日本新聞協会のNIE実践指定校。講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

◆西宮市立浜脇中学校(5月27~28日、対象=2年生延べ36人) 日本新聞協会のNIE実践指定校。講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆愛徳学園小学校(6月6日、対象=5年生10人) 日本新聞協会のNIE実践指定校。講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「はがき新聞」作成、「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

◆芦屋市立精道中学校(6月13日、対象=1年生240人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆甲南女子中学校(6月18日、対象=2年生176人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※神戸市内の企業のSDGs推進の取り組みを取材するのを前にした出前授業、「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆関西学院大学新聞総部(6月20日、対象=部員17人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※記事の末尾に学生のみなさんの感想を掲載しています。

◆流通科学大学(9月25日、10月30日、対象=全学部1年生約25人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※記事の末尾に学生のみなさんの感想を掲載しています。

 日本新聞協会NIEサイトにもリポートが掲載されています。リポートはこちら

  

 西宮市立浜脇中学校が、大阪・関西万博でNIE活動の発表を行いました。同校の渋谷仁崇主幹教諭に内容や生徒の感想をご寄稿いただきました。

 浜脇中学校 渋谷仁崇主幹教諭

 大阪・関西万博内フェスティバルステーションで10月11日、「いのち宣言フェスティバル」にてNIE活動の発表を行いました。

 「いのち会議」が、いのち輝く未来社会のために人類がなすべきことを「いのち宣言」として人類全体に向かって発信し、2030年のSDGsの達成、および2030年以後の社会に向けた行動指針を示しました。フェスティバルでは、「いのち会議」の活動に関わった方々や、その理念に共感する人々を中心に、こどもや若者も交えて、ピッチやトーク、歌や演奏、ダンスなど、楽しく多彩な表現が繰り広げられました。「いのち宣言」の発出をともに祝うとともに、その後も世界の変革に向けて行動を続けていくことを、みんなで誓いました。

 その中で、浜脇中として「NIE活動『いのち輝くまちづくりを目指す、アイデアミーティング』」について、発表させていただきました。

【参加生徒 感想】

 私はこの発表を通して、NIEからの学びの多さを改めて実感しました。なぜなら、自分で話していくと、先生方の熱い思いや、先輩方のこれまでの努力の大きさを改めて痛感したからです。

 3年生の先輩方は、この大阪・関西万博を目標として3年間、一生懸命に努力を重ねて来られました。ですが、私たち1年生は今からがスタートです。先輩方からの伝統のバトンを引き継ぎ、私たち1年生がこの浜脇中学校の先輩となって、次の新しい1年生に安心してバトンタッチできるように、全力で取り組んでいきたいです。                         

                    ◆

 僕は、今回の万博での発表を通して、スラスラと文章を言葉にする力、大勢の前で緊張せずに話す力を身につけることができました。いのち宣言フェスティバルで、たくさんの人に来ていただき、人生で初めての経験をすることができました。この経験を生かして、これから色々なことに挑戦しようと思いました。                                 

                    ◆

 僕はこの万博で浜脇中のNIE活動を知っていただきとても嬉しく思い、とても良い経験でした。なぜなら僕は浜脇中学生としてこの活動を少しでも皆さんに伝えたいし僕自身もこんな滅多な経験はできないからです。この経験をふまえて僕はNIE活動の伝統を絶やさずもっと多くの人に知ってもらいたいという思いがさらに強くなりました。 

[写真説明]「いのち宣言フェスティバル」でNIE活動について発表する生徒ら=大阪市此花区の夢洲

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 ※10月3日の洲本高校の公開授業を担当した大石昇平教諭に、ねらいや成果、課題をご寄稿いただきました。

 今回の公開授業では、洲本市の姉妹都市である米ハワイのヒロ高校生が来校するタイミングに合わせ、ハワイと日本の新聞を介して両国の現状を理解し、両国の関係を考察する授業を計画した。

 ◆ねらい

 今回の授業のねらいとして、①新聞を介した立場の異なる人々との交流②両国の新聞の違いに気付く③新聞から両国の現状を知る④他国の新聞に登場する自国の情報を比較し合うことで、両国の関係性を考察するーという4点を設定していた。特に重視していたのは、④の関係性に関する考察である。他国の新聞は、自国のどのニュースをどれくらい報道しているのか? 他国の新聞を通じて自国を客観視すると共に、相手国にとって自国がどのような存在であるのかを生徒に考えてもらうため、この問いを設定した。 

 ◆内容

 洲本高校3年生41人とヒロ高校生10人が参加。授業では、洲本高校生3~5人の班にヒロ高校生1~2人の班を作り、グループワークの形をとった。ヒロ高校生はほとんど日本語をしゃべることができないため、生徒も授業者も英語でコミュニケーションをとりながら授業を進めた。具体的な授業計画は次のようなものであった。

 Ⅰ自己紹介

 Ⅱ両国の新聞から最大数を探そう(ねらい①・②)

 Ⅲ新聞を使って"Hot News"(話題のニュース)を紹介しよう(ねらい③)

 Ⅳ「アメリカの新聞に出てくる日本」・「日本の新聞に出てくるアメリカを探そう」(ねらい④)

 Ⅱについては、生徒の緊張を解くために、10秒間で紙面から最大数を探すゲームを設定した。言語の壁があっても、数字を判断することは可能であると考え、生徒に取り組んでもらった。

 Ⅲの"Hot News"紹介では、洲本高校生からは万博に関するニュースや、ヒロ高校生からはアメリカ政府の一部閉鎖に向かう動きなどが紹介された。

Ⅳの両国の新聞から関係性を考えるワークでは、日本の新聞にはアメリカの記事がたくさん見つかったが、アメリカの新聞からはほとんど日本に関する記事を見つけることができなかった。このようなワークを通して生徒のまとめには、「日本へのアメリカの影響の大きさを感じる」「アメリカの存在感が大きい」「日本の片思い(アメリカへの)」といった内容が並んだ。 

◆成果と課題

 言語の壁がありながらも、 生徒同士の交流ができ、日米間の新聞比較から考察できたことで、主なねらいは達成できたと感じた。ただし、その後の研究協議では、新聞の構成自体の比較といった大きな視点から比較すれば、両国の新聞の違いがさらに際立ったのではないかといった意見をいただいた。また、Ⅳでの考察において、「その違いはなぜ起こるのか?」といった問いに取り組めれば、両国の関係性に関する考察がさらに深まるのではないかという指摘もいただいた。

 洲本高校生徒のアンケートからは、授業への興味・理解ともにポジティブな回答をえることができた。また、何より、「世の中を知ることへの意識が高まりましたか?」という問いについては80%以上、「新聞を読むことへの意識は高まりましたか?」という問いについては、70%以上の生徒が肯定的に答えた。ヒロ高校生との交流を通じて、新聞を読むこと、世の中を知ることについての意識が高まったように思われる。

 今後も、新聞教材を活用し、生徒の世界が広がるような取り組みを実践していきたい。

■神戸大学附属中等教育学校(9月30日、対象・4年生=高1=約120人) 神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが主権者教育の授業を行った。「選挙に風が吹く」のを体感するシミュレーションゲームや、気になる政治課題を話し合うワークを通じ、1票の重さを学んだ。

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神戸新聞アドバイザーが講師に

 主権者教育の出前授業が、東灘区の神戸大学付属中等教育学校であった。高校1年生に当たる4年生約120人が選挙のシミュレーションゲームなどを通じて1票の重さを学んだ。

 同校は兵庫県NIE推進協議会の独自認定校。出前授業では、神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 ゲームは「大学の学費無償化」について、生徒5人が18歳の女子高校生や65歳の会社社長になりきり、賛否を表明した。女子高校生の無償化の訴えが若い有権者の共感を集めるという想定で、生徒らは選挙で吹く「風」を実感した。

 交流サイト(SNS)が台頭する中、神戸新聞社が7月の参院選で情報の正確性を検証するファクトチェックに取り組んだことも説明。三好アドバイザーは「さまざまな政治課題を自分事として捉え、1票の力を信じて投票しよう」と呼びかけた。

 水谷丞さん(15)は「シルバー世代の投票率の高さを再認識した。18歳になったら必ず選挙に行く」と話した。=10月21日付神戸新聞朝刊神戸版

[写真説明]ゲーム形式で選挙の仕組みを学ぶ生徒ら=神戸大学付属中等教育学校

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

■洲本高校(10月3日、対象・2年生41人) 米ハワイ・ヒロ高校2年生10人とともに、両国の新聞を読み比べながら、意見交換。文化や政治などの相違点について学び合った。

洲本高校 生徒の感想.pdf

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神戸新聞元記者が講師に 

「メディアリテラシー」(情報を読み解く力)をテーマにした出前授業が10月8日、芦屋市上宮川町のクラーク記念国際高校クラークスマート芦屋であった。県NIE推進協議会の網麻子事務局長が講師を務め、21人が参加した。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。「新聞を多くの人に読んでもらうにはどうしたらよいか」について、生徒らが授業で研究している。

 網事務局長は、新聞は一覧性や網羅性が特長で「記者らがその時点でできる限り事実確認した正確なニュースを載せている」と説明した。交流サイト(SNS)やインターネット検索は好みの情報や自分の考えに近い情報が集まる傾向があると解説。「新聞やテレビなど複数の情報源を持とう。情報の発信源を確認しよう」と呼びかけた。

 新聞を使ったワークでは、生徒らは興味、関心のある記事を選び、感想や意見などを活発に話し合った。桑本愛実(まなみ)さん(16)は「普段ネットでニュースを見ていたが、家にある中高生新聞を読んでみようと思った。複数の情報源を意識し、視野を広げていきたい」と話した。=10月16日付神戸新聞朝刊阪神版

[写真説明1] 新聞を広げ、興味、関心のあるニュースを探す生徒ら=芦屋市上宮川町

[写真説明2] 講義をする網麻子・兵庫県NIE推進協議会事務局長

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 県NIE推進協議会会員の新聞・通信社で人事異動があり、朝日新聞神戸総局長が山崎直純さんから岡本玄さんに、産経新聞神戸総局長が丸橋茂幸さんから粂(くめ)博之さんに交代した。人となりを自己紹介でー。

朝日新聞神戸総局長 岡本玄

「分からない」と向き合い、突き詰める

 9月1日付で着任しました。中国新聞社で地方経済や広島県北の伝統芸能「神楽」などの取材を手がけた後、朝日新聞社に移りました。主に裁判の当事者や被爆者の方々を取材し、法律や人権の課題に向き合ってきました。

 新聞記者を志した原点は、中学校の社会科の授業です。新聞記事を切り抜いて意見を書くと、先生がコメントを返してくれました。興味の有無にかかわらず、新聞をめくることが「新たな発見」につながり、社会課題を自分事として考えるようになりました。新聞を教材として「読む・考える・伝える」力や、社会を多角的に捉える視点、そして情報を見極める力を育むという、まさにNIEの実践そのものでした。

 根拠が不明な情報もあふれている時代だからこそ、事実を丁寧に読み解く習慣と批判的思考、メディア・リテラシーの基盤は欠かせません。先生方や児童生徒の皆さんと共に、新聞を学びに生かす取り組みを進めてまいります。

 最近、神戸総局の若手記者が書いたコラムに、こんな一節がありました。

 「なぜこの事件が起きたのか、この人はどんな気持ちだったのか。『分からない』と向き合い、突き詰めることで、記事は生まれる」

 現場に足を運び、多様な声に耳を傾け、データや記録で確かめ、分からないことに粘り強く向き合う。そんな姿勢を大切に、微力ながら尽力してまいります。どうぞ、よろしくお願いいたします。

産経新聞神戸総局長 粂博之

新聞から考える楽しさ広めたい

 10月1日に神戸総局長に着任しました。神戸は、1998年から2年ほど勤務したことがあり2度目となります。神戸のほかは高松市、大阪、東京、千葉市、津市、奈良市での勤務を経験しました。

 NIE活動で先生方とご一緒させていただく機会が多かったのは奈良でした。小学校で出前授業の講師を務める機会をいただき、子供たちの思わぬ方向からの質問に驚き戸惑いながらも、楽しい時間を過ごすことができました。また、高校ではNIE担当の先生にお願いして、選挙権を得たばかりの生徒のグループにインタビューさせてもらったところ、社会情勢に高い関心を持っていることが分かり、頼もしさを覚えました。新聞に対する率直で厳しい注文はありましたが、期待も語ってくれたことは、私にとって大きな収穫でした。

 いずれも限られた時間でしたが、少しは新聞に興味を持ってもらえたのではないかと思います。また担当の先生方も、子供たちの反応に意を強くしておられるようでした。

 兵庫県でも、子供たちが読んで理解し考えることの楽しさを実感できるよう、微力ながらお手伝いしたいと思います。

 

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 教育に新聞を取り入れるNIE活動の公開授業が3日、洲本市の県立洲本高校であった。市と姉妹都市提携する米国・ハワイ郡から来日したヒロ高校生10人も参加し、両国の新聞の読み比べをして、意見を発表した。

 生徒らは6人ずつテーブルを囲んで、両国で話題になっているニュースを紙面上で探した。翻訳アプリを使うなどして説明し合い、比較しながら「米国の新聞の中には日本のニュースが少ない」などと発表した。洲本高校2年の西岡華暖さん(17)は「文化の違いがわかって興味深く感じた」と話した。公開授業は県内の新聞・通信8社などでつくる県NIE推進協議会が主催。NIE実践指定校の同校では週1回、新聞記事を使って生徒らが感想を記す学習を続けており、同協議会の竹内弘明会長は「日米の新聞を使い両国の高校生が交流する面白い授業だった」と講評した。

[写真説明] 新聞を読み比べ、日米の違いを話し合う生徒たち(洲本市で)

読売新聞10月4日付朝刊記事

日米の新聞、相違点学ぶ 洲本高生とハワイの高校生

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 新聞を教育現場で活用するNIE(教育に新聞を)活動に取り組む洲本高校(洲本市上物部2)で10月3日、公開授業があった。2年生41人のほか、ホームステイ中の米ハワイ・ヒロ高校2年生10人が参加。お互いの国の新聞を見比べながら、政治や文化の相違点などについて学んだ。

 同高はNIE実践指定校。週1回、新聞を読む時間を設け、切り抜きを教材に使うなどしている。ヒロ高生は姉妹都市交流事業で洲本高などを訪問しており、多様な価値観に触れて視野を広げる機会にと、今回の授業に招いた。

 生徒は6人ずつグループに分かれ、日本とハワイの複数の新聞を比較。「大阪・関西万博に世界中の人が集まっている」「(米プロフットボール優勝決定戦の)『スーパーボウル』のハーフタイムショーの出演者が決まった」などと記事を英語で紹介し合った。

 また、日本の新聞から米国の記事を、ハワイの新聞からは日本の記事をピックアップ。「日本は米国のニュースが多いが、ハワイはハワイのことばかりで、まるで片思い」「大谷翔平選手の人気は両国共通」と、それぞれ感想を述べた。

 昨年の夏休みにヒロを訪れた河野日向さん(16)は「大きな見出しでニュースが伝わるのが新聞のいいところ。語彙(ごい)力も上がるので、活字に触れる機会は大切だと思う」と話していた。(内田世紀)

 [写真説明] 新聞を持ち寄って話し合う洲本高生とヒロ高生=洲本高校

=10月7日付神戸新聞朝刊淡路版

◆実践された洲本高校の大石昇平教諭の寄稿(授業のねらいや成果、課題)はこちら

◆参加者の感想はこちら    生徒のみなさんの感想はこちらに掲載しています。

米田俊彦・愛徳学園中学校高校教諭(日本新聞協会NIEアドバイザー)

 10月3日、兵庫県立洲本高校で行われたNIE公開授業に参加した。大石昇平先生が担当される「公共」の授業で、米ハワイのヒロ高校の生徒10人と洲本高校の生徒41人が出席した。日米の高校生が同じ教室で肩を並べ、最初はやや戸惑いながらも新聞を真ん中に置き、実際にめくり、手に取りながら意見を交わす光景はとても新鮮で、見学している私にとっても大きな刺激となった。

 授業のテーマは「日本(地元紙と全国紙)とヒロ高校の生徒が持ってこられたアメリカの新聞(ハワイの地元紙)を比較する」というものだった。生徒たちは、日本の新聞にアメリカの記事がどれだけ載っているか、またハワイの新聞に日本の記事がどの程度掲載されているかを調べ、自国の扱われ方の違いを考えた。その結果、日本の新聞にはアメリカの関連記事が多く見られる一方、ハワイの新聞では真剣に英文を読み、懸命に探すも日本の記事はほとんど見当たらず、生徒たちは驚きの表情を浮かべていた。ただし、大谷翔平選手の記事はしっかり掲載されており、その存在の大きさを改めて実感する場面もあったのが印象的である。

 さらに、それぞれの国レベルの記事の掲載のされ方には大きな差がある一方で、兵庫とハワイという「地元」同士を比べると報道量にほとんど違いがないことも分かった。その理由の考察や、互いをもっと知るために相互の新聞にそれぞれの地元を掲載するためにどうすればいいのか、何ができるかなどを考えてみる実践はどうかなど、見ていた私も大いに可能性を感じ、触発された授業であった。

 これまで、国内の全国紙と地方紙を比較する授業は見たことがあったが、海外の高校生と顔を合わせて新聞を読み比べる取り組みは初めてであり、学びの広がりと進化、深まりを感じた。洲本市とハワイ島は以前より継続的な交流を重ねているとのことだが、新聞を使った交流学習が実現したのは、NIE実践指定校ならではの成果だと思う。生徒たちの真剣な表情や、時折見せる笑顔を目にしながら、紙の新聞がリアルな国際交流の橋渡しになる可能性を強く感じた。まさに NIEの新しい地平を見る思いがした。公共としての学びはもちろん、国語や英語、家庭、総合的な探究の時間や教科横断型の授業にまで対応できる幅広い学びの可能性を感じた。まさに NIEの真骨頂。次年度のハワイでの NIEが見られるなどこの取り組みのさらなる展開をぜひ見たいと心から思った。

 

 7月31日~8月1日、神戸市で開かれた「第30回NIE全国大会神戸大会」の関連記事をご紹介します。詳しくは下記リンクをご参照ください。

<リレー寄稿 NIE神戸大会を振り返る 全19回>こちらから

<当日の模様について、新聞各社の関連記事>こちら

<推進協会長からのメッセージ> 日本新聞協会「NIEニュース」第106号

  あす全国大会 神戸で開幕 7月30日付読売新聞朝刊兵庫県版

  基調提案 行動する力 新聞が育む 8月1日付神戸新聞朝刊特集面

<神戸大会実行委が初会合の記事>こちら

<神戸大会に向けて発行した「ひょうごNIE通信」全12号>こちらから

<記念講演する作家小川洋子さんが西宮・浜脇中のNIE授業を見学の記事>こちら

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  「NIE全国大会神戸大会」2日目の分科会で、愛徳学園小中学校(神戸市垂水区)は修学旅行で広島を訪れた中学3年生が新聞を作って、小学6年生に平和や日常生活の大切さを伝えるNIE活動について実践発表した。

 戦後80年となった今、兵庫の中学生が「ヒロシマの記憶」を伝える側にいる。心強い。神戸大会リレー寄稿は、この実践発表で助言いただいた、広島県呉市立荘山田小学校の高下千晴教諭(日本新聞協会NIEアドバイザー)の寄稿で締めくくる。

 NIE全国大会は、子どもたちの「平和への思い」を乗せ、今年夏の神戸から来年夏の広島へ受け継がれる。

                        ◆

兵庫と広島の児童 ともに「平和学習」実施へ

 愛徳学園小中学校の実践発表から、新聞づくりを通して子どもがどのような成長をするのかを学ばさせていただいた。中学3年生が作成した新聞は、広島での修学旅行における学びを、自分の言葉で丁寧に説明したものである。生徒が広島での修学旅行で受けとめた戦争の記憶を、小学生に語り継がなければという「使命」と「責任」を感じていたからこそできたものと考える。

 そして、その新聞を読んだ小学6年生は,戦争の記憶だけでなく、作成した生徒の思いも理解し受けとめたことを、自分の言葉で真剣に生徒に伝えていた。

 愛徳学園の取り組みは、新聞を作成するだけでなく、このような子どもたちのつながりまでをきちんと考えて実践されている素晴らしいものだった。

 来年2月には、愛徳学園小の児童と私が勤務する小学校の児童で作成した新聞を交換するなどの交流平和学習を計画している。兵庫の子どもから見た「戦争の記憶」と、広島の子どもから見た「戦争の記憶」を交流することで、子どもたちをつなぎ、自分たちの生きる未来について考えることができればと思う。

 来年夏のNIE広島大会では、子どもたちが新聞を介して学びを深める姿、自分の成長に向き合う姿を報告したいと思う。

高下千晴(広島県呉市立荘山田小学校教諭、日本新聞協会NIEアドバイザー)(10月13日)

[写真説明]愛徳学園小中学校が行った「中学3年生と小学6年生が伝え合う原爆と平和」の実践発表=8月1日、甲南大学岡本キャンパス

※【神戸大会リレー寄稿】は今回で終了します。

 神戸市立鶴甲小学校 酒井秀幸校長(兵庫県NIE推進協議会特任アドバイザー)=実践発表「新聞を通して学ぶ」の担当校校長

 NIE全国大会神戸大会に、全国から多くの実践者の方々をはじめ、関係者の方々にお越しいただき、誠にありがとうございます。
 本校の実践発表を担当した藤岡敦洋教諭は、NIE活動に取り組み始めて2年目を迎えます。子どもたちの活字離れが進んでいる中、NIE神戸大会が終わった今でも朝の会等で新聞記事を使ったスピーチを行っています。また、国語や家庭科等の教科学習の中でもインタビューの仕方や新聞等への記事のまとめ方を生かし、児童が身の回りの事象に関心をもち、多様な学びに向けた実践を行っています。
 実践発表では、福本靖・神戸市教育長より「情報があふれている現代社会の中で鶴甲小の実践は、情報活用力はもちろん、コミュニケーション力の向上にもつながる取り組みだ」とご助言をいただきました。
 さらに、神戸大会後に本校の実践を聞いてくださった、南さつま市立川畑小学校の先生からご連絡をいただき、本校と実践交流を続けることとなりました。本大会が両校の架け橋となったことは大変喜ばしいことです。
 本校としては今後、地域の方へのインタビューを通して校区のよさや課題に目を向け、将来、地域の担い手としての意識につながる学びを進める予定です。

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[写真説明]「新聞を通して学ぶ」をテーマにした実践発表。神戸大会をきっかけに、兵庫県外の小学校との「NIE交流」が始まった。兵庫県NIE推進協議会では今後も、NIEの輪の広がりを伝えていく=8月1日、神戸市東灘区岡本8、甲南大学岡本キャンパス

 

神戸市立塩屋中学校 赤松三菜子校長(兵庫県NIE推進協議会特任アドバイザー)=兵庫県立洲本高校の実践発表「地域住民とつながり生徒の世界を広げるNIE」で司会を担当

 兵庫県立洲本高等学校の発表では、1953(昭和28)年創部の同校新聞部が冬の時代を経て復活し、読売新聞販売店「YC洲本」と手を携えてミニコミづくりに取り組んだ実践を、大石昇平先生が軽快に語り、会場は終始和やかな雰囲気でした。
 地域の高齢者グループとの新聞記事を通じた意見交流会では、世代間の考え方や価値観の違いが話題に上り、参加していた高校生から生の声を聞くことができました。
 同校の卒業生や北海道、京都の新聞社の方など、さまざまな年代、職業の方々の「地域のNIE」への思いを感じられる発表会で、「新聞を生徒の世界を広げるきっかけに」という心持ちをさらに強くしました。
 最後にスクリーンに映し出された新聞部員3人の背中がこれからのNIEの明るい未来を物語っていました。ご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

兵庫県立北神戸総合高校・神戸甲北高校 橿千種校長(兵庫県NIE推進協議会特任アドバイザー)=公開授業「新聞に❝ツッコミ❞を」の担当校校長、兵庫県立湊川高校の実践発表「定時制高校でのNIE活動」で助言

 神戸大会にご参加くださいました全国のみなさま、ありがとうございました。
 本校1年生たちにとっては、公開授業にて全国のさまざまな方々と直接意見を交わす機会を得たことは大きな刺激になりました。生徒たちの事後感想にあふれた「もう1回やりたい」「次はこうしたい」という声がそれを物語っています。
 全国へ、未来へバトンをつないでいきましょう。

251011北神戸総合高.jpg[写真説明]「新聞に❝ツッコミ❞を」をテーマにした公開授業。生徒たちが、新聞を読んで疑問に思ったことを「ツッコミ新聞」としてまとめた経験などを発表した。「ツッコミ新聞」―。記事の内容に対し、生徒が「問う(ツッコミを入れる)」。関西ならでは?のNIE活動が、参加者の関心を集めた=8月1日、神戸市東灘区岡本8、甲南大学岡本キャンパス

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愛徳学園中・高校 米田俊彦教諭=実践発表「ICTで拓くNIEの新たな地平」を廣畑彰久教諭、武藤邦生・神戸新聞社教育ICT部次長とともに担当

 北海道から沖縄まで全国各地のみなさまのご来場、感激いたしました。これまで取り組んできたNIE活動と、現在のAI(人工知能)やICT(情報通信技術)が進化する中でのNIEの在り方、さらには、今後の可能性について発表させていただきました。
 発表後、会場からはAIについてのご質問をいただいたり、姫路市立英賀保小学校の井上幸史校長先生(日本新聞協会NIEアドバイザー)からは「『のりしろ』としての新聞とは何か、を考えては」という助言をいただいたりしました。
さらに、法政大学の坂本旬教授には、ご講評の中で、AIの仕組みを理解することの重要性や、メディアリテラシーやコミュニケーションの在り方などを幅広くお教えくださいました。
 ご参加くださったみなさまとご一緒に新しい地平を見ることができました。本当にありがとうございました。

姫路市立英賀保小学校 井上幸史校長=神戸大会のグラフィックレコーディング(グラレコ)を担当、愛徳学園中・高校などの実践発表「ICTで拓くNIEの新たな地平」で助言

 このたびは、私たちグラフィックレコーディングチーム「らくがきレコーダーズ神戸」に活動の機会をいただき、ありがとうございました。神戸ポートピアホテル、そして甲南大学で描いたグラレコに「学びが深まった」「大会の要点が俯瞰(ふかん)できる」など、多くのポジティブなフィードバックをいただき、メディアとしてのグラレコ、そしてNIEとの親和性に大きな手応えを感じた時間となりました。
 また、愛徳学園中・高等学校の素晴らしい実践発表「ICTで拓くNIEの新たな地平」では、グラレコも活用しながら、さまざまな情報をつなぐ「『のりしろ』としての新聞」について全国からの参加者のみなさんと共有することができました。
 この貴重な経験を力に、今後もグラレコの力でNIEの新しい可能性を模索していきたいと思っています。ありがとうございました。

「ICTで拓くNIEの新たな地平」の様子を伝えるグラレコ  グラレコ.pdf

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 こちらから大会で描かれたすべてのグラレコを見ることができます

グラフィックレコーディング(グラレコ)とは 会議などの内容を文字やイラスト・図・記号で模造紙などに描きだす、その場の学びや雰囲気をリアルタイムで可視化するツール

兵庫県立洲本高校 大石昇平教諭=実践発表「地域住民とつながり生徒の世界を広げるNIE」を担当

 神戸大会では、実践発表という貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
 私は、本年度から日本新聞協会のNIEアドバイザーの職を拝命した若輩者です。そのような私の分科会にも全国各地から足をお運びいただき、恐縮の限りでした。
 今回の私の実践発表は、高校生と地域の高齢者グループの方による新聞記事を通じた意見交流会と、当校の新聞部員が読売新聞販売店「YC洲本」とコラボして行ったミニコミづくりに関するものでした。会場の聴衆のみなさまから、新聞を通じた地域との関わり、そして、新聞を媒介とした交流を継続するよう激励をいただいたことは、今後の私の活動の指針になるものでした。
 全国大会をピークとせず、今大会での経験と出会いを糧とし、今後のNIE活動に尽力してまいります。

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[写真説明]「地域住民とつながり生徒の世界を広げるNIE」をテーマにした実践発表。地域の高齢者グループと生徒有志が、コメ問題や少子高齢化がテーマの新聞記事について意見交換したことなどを報告した。大石教諭は今年10月3日、洲本高校2年生と、ホームステイ中の米国ハワイ・ヒロ高校2年生が参加する公開授業を実施。生徒たちが日米の新聞読み比べを行うなど、国際色豊かなNIEにも取り組んでいる=8月1日、神戸市東灘区岡本8、甲南大学岡本キャンパス

尼崎市立南武庫之荘中学校 中嶋勝教諭=姫路市立飾磨中部中学校の実践発表「NIE俳句」で司会を担当、南武庫之荘中学校のポスター発表「新聞ノートで読む力と書く力を育てる」を担当

 スーパーキッズ・オーケストラによる演奏から始まったNIE神戸大会。指揮者の佐渡裕さんの「生徒は教師の『鏡』ですよね」という言葉が胸に刺さりました。小川洋子さんの記念講演は、教育現場で実践している者に自信を与えてくださいました。続くパネルディスカッションでは、「これからは『News In Education』の時代です」という古田大輔さんの問題提起が斬新でした。大変勉強になる全体会でした。
 実践発表「NIE俳句」では、「新聞を使った俳句作り」について姫路市立飾磨中部中学校の佐伯奈津子先生が報告されました。新聞の写真からイメージしたことを俳句にしていく授業の過程など、具体的な内容が紹介され大変勉強になりました。創意工夫された実践に対して、日本各地から参加されたみなさんからたくさんのご意見やご感想をいただき、内容の濃い報告会となりました。
 また、特製ロゴ入りのマッキー(黒マジック)を使い、実際に分科会の参加者同士で「クロヌリハイク」作りに取り組み、近くに座った方と俳句を披露し合うなど、とても和やかな雰囲気であったと感じます。みなさんが応募されたクロヌリハイクが入選することを願っております。
 交流会やNIEアドバイザー会議では、私の知らなかった各地のNIE活動を知ることができました。貴重な経験をさせていただき本当にありがとうございました。これからも精進して、生徒たちの「鏡」となれるよう頑張ります。

新聞ノートで読む力と書く力を育てる=出展されたポスター、写真㊨㊦ ポスター.pdf 

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西宮市立浜脇中学校 渋谷仁崇主幹教諭=公開授業「NIEノート」を通して、主権者としてのまちづくり」と実践発表「アイデアミーティングで住み続けられるまちづくりをデザインしよう」を野上耕佑教諭とともに担当、大会1日目のパネル討議「情報で、いのちを守る」にパネリストとして登壇

 全国大会では、全国の実践者のみなさまと直接語り合える貴重な機会をいただき、心から感謝申し上げます。記念講演された小川洋子先生(芥川賞作家)の「新聞が子どもたちの目を輝かせるとは思わなかった」という言葉が印象的でした。
 公開授業の後、生徒が「新聞って面白い」と話していた姿に、NIEの力を改めて実感しました。8月末、「EXPO2025大阪・関西万博」でNIEの取り組みを発表する機会をいただき、さらなる活動の広がりを感じました。
これからも、子どもたちの学びと社会をつなぐNIEの可能性を信じ、官民産学で連携を深め、「いのち輝くまちづくり」への実践を重ねていきたいと思います。

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[写真説明]「アイデアミーティングで住み続けられるまちづくりをデザインしよう」をテーマにした実践発表。大阪・関西万博と絡めた取り組みも参加者の関心を集めた=8月1日、神戸市東灘区岡本8、甲南大学岡本キャンパス

 

兵庫県立網干高校 佐々木浩二教諭=実践発表「地域に根差した小高連携NIE実践」を担当

  NIE全国大会神戸大会では、全国から多くの実践者にお越しいただき、心より感謝申し上げます。
 中尾順二・養父市教委こども学び課課長から「地域と協働する姿勢が次世代を育てる礎となる」との助言を、今宮信吾・大阪大谷大学教授からは「時代を読み解き、命を守る静かな問いを持ち続けてほしい」との講評をいただき、大変励まされました。
 今後は、防災ツーリズムの発展や小中高連携の深化を進め、新聞を羅針盤として「地域課題」を「自分ごと化」するNIE実践・探究学習を広げていきたいと考えています。
 また、生徒一人ひとりが成果を発信し行動につなげられる場を増やし、学びを地域社会へ循環させる実践を重ねてまいります。

[251007網干高.jpg写真説明]網干高校の実践発表。同校は今年2月、「地域防災」をテーマに、近くの姫路市立網干西小学校と公開授業を行うなど、地域に根差したNIE実践を続けている=8月1日、神戸市東灘区岡本8、甲南大学岡本キャンパス

  

 

 兵庫県立伊川谷高校 福田浩三主幹教諭=実践発表「多文化共生への橋がけ」を担当、ポスター発表「はがきと學年通信でNIE」「○○教育を包括した學年通信の提案と実践」を担当

 外国人も小さい子どもも理解しやすい「やさしい日本語」を新聞記事から書き換える取り組み。実践発表の教室を埋め尽くすほどの参加者の方々には感謝の言葉しかありません。また、質疑応答ではたくさんの意見や感想をいただき、ありがとうございました。
 在留外国人の方との多文化共生なくしては成り立たない日本の状況と、これらの対応をどのように教育で行っていくか、その問題意識を全国の多くの方が共通認識としてもたれていることが分かり、今後の「やさしい日本語」を用いた教育実践への励みとなりました。
 そして、今回の実践発表を機に兵庫県外で発表の機会を設けていただいた長野県NIE推進協議会の方々に深く感謝いたします。本実践にさまざまなアレンジが加わりながら、全国各地で活用されていくことを切に願います。

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[写真説明]「やさしい日本語」の実践発表。今年9月、7回目となる「新聞をつかった『やさしい日本語』研究会」(世話人=福田浩三・伊川谷高校主幹教諭)の交流会(オンライン)が開かれ、今回初めて琉球新報社(沖縄県)と信濃毎日新聞社(長野県)から参加があった。大会をきっかけにNIEの輪が広がることを期待したい=8月1日、神戸市東灘区岡本8、甲南大学岡本キャンパス

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 NIE全国大会神戸大会が終わって2カ月がたつ。大会がとどこおりなく閉幕した最大の功労者は、兵庫県内の各校で新聞活用を深め、広めてきたNIEアドバイザーの先生方だ。

 兵庫県では現在、県NIE推進協議会が推薦し、日本新聞協会が認定した小中高の先生11人と、同協議会が特任アドバイザーに認定した小中高の校長先生3人の計14人が活躍中だ。

 全国各地から大会に参加いただいたみなさんに、アドバイザーの先生たちから感謝のメッセージを届けたい―。

明石市立大久保小学校 若生佳久教諭=実践発表「新聞4コママンガで『起承転結』を考える」を担当、ポスター発表「新聞記事から『大きな数』さがし」を担当

 NIE全国大会神戸大会へのご参加ありがとうございました。本大会では、たくさんの実践発表や公開授業、ポスターセッションなどがあり、学びの多い大会であったのではないかと思います。
 特に初日のオープニングの佐渡裕氏とスーパーキッズ・オーケストラによる演奏から始まり、記念講演、パネル討議と続き、脳内からアドレナリンがドバドバと出てきました。
 実践発表では、助言者からの指導要領との関係、講評者からは、4コママンガの作者の新聞の4コママンガへの思い、「なぜ、新聞に4コママンガがあるのか」という新聞社の意図などを知ることができ、非常に有意義な会になりました。たくさんの学びのあるNIE全国大会、来年も楽しみです。

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[写真説明]「新聞4コママンガで『起承転結』を考える」をテーマにした実践発表。若生教諭が長年取り組んでいるワークで、児童がとっつきやすい実践例として、「新聞で授業が変わる NIEガイドブック・小学校編」(日本新聞協会、2020年発行)でも紹介されている=8月1日、神戸市東灘区岡本8、甲南大学岡本キャンパス

姫路市立豊富小中学校 川村かおり教諭(前期課程)=同校(後期課程)の実践発表「『?』を『!』に 新聞から始まる継続型探究学習」を古寺和子教諭(後期課程)とともに担当、ポスター発表「豊富小中学校のNIEを紹介せよ!」を主導

 ポスター発表と実践発表を通して、各地の先生方と交流できたことは、私たちにとって大変貴重な経験となりました。特に「(小学)1年生から(中3に相当する)9年生までが常に新聞と触れ合っているからこそ、このような素晴らしい授業、実践ができる」というお言葉や、「御校の児童生徒たちは、課題山積みの社会における希望の光です」という温かいメッセージをいただき、日頃の取り組みは間違っていなかったと、感激と大きな励みをいただきました。みなさまの温かいお声と熱意に触れ、日々の実践が価値あるものだと改めて感じることができ、本当にうれしかったです。この大会が、全国のNIE活動のさらなる発展につながることを願っています。本当にありがとうございました。

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[写真説明]「『?』を『!』に 新聞から始まる継続型探究学習」をテーマにした実践発表。子どもたちは前期課程から後期課程にかけて、2年分の新聞記事から姫路の情報を収集したり、姫路市のよさや課題についてまとめたり、姫路城周辺のフィールドワークを計画したりするなど、姫路の魅力発見に取り組んできた=8月1日、神戸市東灘区岡本8、甲南大学岡本キャンパス

 

 

姫路市立飾磨中部中学校 佐伯奈津子教諭=実践発表「NIE俳句」を担当

 「NIE俳句」と題して実践発表の機会をいただきまして本当にありがとうございました。神戸大会開催が分かったときから「チームNIE兵庫」として何ができるだろうかと考えてきました。NIEが盛んな兵庫だからこそ、魅力的な発信が多数できるであろうという期待もありました。
 発表にあたって助言の村上ともこさん(愛媛新聞社)、講評の伍賀正晃先生(神戸市教委)にも多大なご支援をいただき、愛媛新聞社さんからは、新聞記事に隠された俳句を発掘する「クロヌリハイク」のワークシートや、クロヌリハイクの黒マジックをご提供いただき、参加者にとってもよい記念となりました。
 実践発表後の意見交流においても、次々と日本全国から来られた方の活発な意見や感想を聞くことができ、温かい雰囲気の中、「これぞ、全国大会であるな」と実感できました。参加者にクロヌリハイクの作品披露を気さくにしていただいたり、授業の中での創作活動の悩みや楽しみも共有したりすることができました。
 さらに「うちの地方紙でも魅力的な写真が掲載されているので活用したいです」という声も聞かれ、参加者それぞれに気づきや発見があり、NIE活動のこれからの広がりを実感する場となりました。このような発表となったのも参加者の方々のおかげです。本当にありがとうございました。

■姫路市立あかつき中学校(9月25日、対象・約20人) 産経新聞神戸総局の香西広豊記者が「新聞記者の仕事」と題して授業を行った。多様な国籍と幅広い年代の生徒が在籍する同校。香西記者は仕事内容や取材時に使う七つ道具などを紹介。実際の記事を使い、記事を読み取る方法を解説した。

生徒の感想

 

 

■伊川谷高校(9月22日、対象・3年生27人) 日本経済新聞神戸支社の海野太郎支局長が講師を務め「多文化共生」について考えた。アフリカルーツの髪型で高校の卒業式に出席した生徒が校則違反に問われた記事などを紹介し「異なる文化や宗教を認め、試行錯誤の先に共生がある」と強調した。

生徒の感想

 

兵庫県内の中学2年生が地域の事業所などで働く「トライやる・ウィーク」。生徒がそれぞれの職業体験を振り返り、個人新聞などをつくったり、発表したりする取り組みが今年も活発で、兵庫県NIE推進協議会が各地の中学校で、取材や新聞製作、パワポ作成のノウハウを伝える出前授業を続けている。

 ◆姫路市立夢前中学校(2025年5月8日、6月10日、対象・2年生162人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆姫路市立坊勢中学校(2025年9月8日、対象・2年生26人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆神戸市立高倉中学校(2025年10月17日、11月28日、対象・2年生125人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 10月17日の出前授業の記事はこちら  ※記事の末尾に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

   

 阪神・淡路大震災の発生から30年が過ぎた。兵庫県NIE推進協議会が震災授業を続けている。30年を過ぎたいまこそ、授業を続ける意味があると感じている。若い世代に記憶と教訓のバトンをつなぐために―。

◆岡山市立福浜中学校(2025年5月12日、対象・2年生208人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら

◆大阪教育大学(2025年5月13日、対象・中国人留学生20人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に学生のみなさんの感想を掲載しています。

◆蒼開高校(2025年9月24日、対象・1年生51人)=予定 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※記事の末尾に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆神戸市立糀台小学校(2025年12月19日、対象・5年生61人)=予定 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー

◆明石市立藤江小学校(2026年1月15日、対象・6年生約150人)=予定 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー

◆姫路市立飾磨中部中学校(2026年1月16日)=予定 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー