2024年12月アーカイブ

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 来年1月で発生から30年になる阪神・淡路大震災をテーマにした出前授業が12月16、芦屋市立精道中学校(南宮町)であった。1年生226人が当時、震災取材に当たった神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザー(64)から話を聞いた。

 阪神・淡路では、同校の生徒5人や精道小学校(精道町)の児童8人も犠牲になった。

 授業で三好アドバイザーは、9割以上の建物が全半壊した芦屋市津知町などの発生当日の写真を紹介。被災地全体の死者6434人のうち921人は、過酷な避難生活などが原因で亡くなった関連死だったことにも触れた。

 三好アドバイザーは「当時を知らない世代こそ、震災を語るべきだ。記憶のバトンをつないでほしい」と呼びかけ、「次の災害に備えることが大切」と強調。発生当日、全壊した神戸・三宮の神戸新聞本社で宿直勤務中で、震度7の瞬間や神戸の惨状についても伝えた。

 授業を受けた林諒多さん(13)は「阪神・淡路の記憶を僕たちが引き継ぎたい」、宮本茜里(あかり)さん(13)は「普段から油断せず、地震の時に正しく行動できるようにしたい」と話した。=20日付神戸新聞朝刊阪神版

[写真説明]阪神・淡路大震災当日の様子や、その後の追悼式などについて伝えた出前授業=芦屋市南宮町、精道中学校

■神戸甲北高校(11月15日、対象・3年生16人) 神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが、来年1月で発生から30年になる阪神・淡路大震災をテーマに授業を行った。当時書いた記事や発生直後の神戸の惨状を紹介し、「あの日の悲しみや怒りを伝えなければならない」と強調した。

生徒の感想

 日本新聞協会は、家族や友達と新聞を読み、話し合ってまとめた感想文が対象の第15 回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の最優秀賞に、広島市の安田学園安田小学校5年、村上正真さんら3人を選んだと発表した。

 国内外の小・中・高・高専生から6万1576点の応募があった。兵庫県内からは1484点の応募があり、個人の奨励賞に3人、学校奨励賞に2校が選ばれた。

 県内の入賞は次の通り。(敬称略)
 【奨励賞】宮下夏姫(尼崎市立南武庫之荘中3年)山本栞璃(西宮市立浜脇中2年)西村拓朗(御影高1年)
 【学校奨励賞】尼崎市立南武庫之荘中、有馬高

■神戸市立白川小学校(12月12日、対象・5年生57人) 神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが「インタビューして記事を書く」をテーマに授業を行った。児童たちが「それぞれが好きなもの」をテーマにお互いに質問し、200字にまとめた。新聞記者の仕事についても紹介した。 

児童の感想

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政治、暮らし、クイズ...共有フォルダーに蓄積

 神戸市長田区の湊川高校(定時制)で、各教諭がNIE活動に役立ちそうな新聞記事をパソコンの共有フォルダーに蓄積し、他の教諭を含めて授業時などに自由に取り出して利用できる試みを始めた。学校全体でたやすく取り組めるNIE実践例といえそうだ。(兵庫県NIE推進協議会事務局長・三好正文)

 同校は2024年度から、日本新聞協会のNIE実践校に指定され、新聞活用の取り組みを進めている。新聞記事の共有フォルダーには現在、政治や国際問題、暮らしなど幅広い分野の記事のほか、4こま漫画やクイズなども保存されている。

 蓄積する素材は、切り抜いた記事をデータ化するなどして集めている。担当科目の違う各教諭が選んだ記事を互いに利用することで、新聞活用の幅が広がるメリットもあるという。

 同校は11月18~22日、校内の教諭を対象に授業を公開。住本拓自教諭(32)は歴史総合の授業で「東西冷戦中の変化」をテーマに取り上げた。第2次世界大戦後、米国とソ連(現ロシア)を軸に展開された冷戦の概要や歴史を3年生10人に説明し、北大西洋条約機構(NATO)の拡大と、ロシアによるウクライナ侵攻の関係を考えてもらった。

 その中で紹介したのが、共有フォルダーにあった「『トランプ次期米大統領がロシアのプーチン大統領と電話会談』と米報道」(ロシア側は会談実施を否定)の記事。神戸新聞の11月12日付朝刊に掲載された原稿で、住本教諭は「東西冷戦と現在の国際情勢がつながっていることを理解してもらうため、最近の記事を利用した」と話す。

 同校は来年夏の「第30回NIE全国大会神戸大会」で、共有フォルダーを活用した授業について実践発表する予定だ。

 大会は日本新聞協会が主催し、神戸新聞社と兵庫県NIE推進協議会が主管。阪神・淡路大震災から30年、戦後80年の節目に開催されることを踏まえ、「時代を読み解き、いのちを守るNIE」を大会テーマに掲げる。=12月13日付神戸新聞朝刊教育面

[写真説明]共有フォルダーの新聞記事を使って授業が進められた=神戸市長田区寺池町1、湊川高校

241213sumatomogaokakou.jpg神戸新聞記者らが講師に

 発生から30年になる阪神・淡路大震災をテーマにした出前授業が12月13日、神戸市須磨区友が丘1の須磨友が丘高校であり、1年生約240人が参加した。神戸新聞報道部の中島摩子記者と、神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校で、新聞を使った防災教育にも力を入れている。

 授業で、中島記者は発生直後、ラジオ関西が神戸市長田区の火災現場から生中継した放送音源を紹介。生徒たちに「震災遺族が取材に応じてくれるのは『当時のことを若い人に知ってほしい』との思いがあるから。大地震の時、どうしたら被害を減らせるか考えて」と呼びかけた。

 三好アドバイザーは震災発生日、神戸・三宮にあった神戸新聞本社で宿直勤務をしていた。当日のまちの惨状を紹介し、「当時、被害情報とともに、同じ安全安心情報を繰り返し伝えることが求められた」と振り返った。

 同校の生徒たちは近隣の横尾小学校や多井畑小学校での防災授業も続けている。三好アドバイザーは「当時を知らない世代こそ、震災を語るべきだ。記憶のバトンをつないでほしい」と語りかけた。

 今年8月、気象庁が初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表したことにも触れ、「兵庫は備えができているか、再点検が必要だ」と強調した。

 授業を受けた浅野十偉(とい)さん(16)は「被災写真を見ても神戸であったこととイメージしづらかったが、当時の話は、被災者の気持ちを考える力になった」、石田瑠梨(るな)さん(16)は「震災関連死を含め、想像以上の命が失われたことを実感した。次の災害に備えたい」と話した。

 阪神・淡路で同校のある神戸市須磨区内では399人が犠牲になった。校内には、神戸新聞社が所蔵する同区内の被災写真も展示された。

[写真説明]「若い人たちこそ震災を語ろう」と呼びかけた出前授業=須磨友が丘高校

※震災発生直後のラジオ関西の音声は神戸新聞「1.17つなぐプロジェクト」の「ラジオ関西の記録音声」のコーナーから再生できます。須磨友が丘高校の生徒たちが神戸市立多井畑小学校で行った防災授業の記事はこちら

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神戸新聞アドバイザーが講師に

 小学生がお互いをインタビューして記事にまとめる出前授業が12月12日、神戸市須磨区白川台7の白川小学校であった。5年生57人が質問の仕方や文章の書き方を学んだ。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。インタビュー体験を通し、新聞記者の仕事の一端を知ろうという企画で、神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 インタビューのテーマは「それぞれが好きなもの」。三好アドバイザーは「友達を応援する気持ちで話を聞こう」と呼びかけ、具体的に聞く▽変化を聞く▽比較して聞く―などのポイントを伝えた。また「韓国旅行が好き」という教員にインタビューし、その場で記事にした。教員のインタビュー写真は児童が撮影した。

 さあ、インタビュー開始。児童たちは質問し合い、メモを見返しながら記事にまとめた。好きなものや打ち込んでいるものとして、ピアノやテニス、習字、ぬいぐるみ収集、オンラインゲーム、サッカー、お母さんのつくる唐揚げなどが挙がった。

 三好アドバイザーは新聞記者の仕事についても紹介。「名刺1枚で誰にでも取材でき、興味関心を記事にできるのが魅力」などと話した。

[写真説明]インタビューしたことを記事にまとめる児童たち=白川小学校

※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。 

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 高校生が小学生に防災の大切さを伝える授業が、神戸市立多井畑小学校(同市須磨区友が丘3)であった。防災クイズや骨折時の応急手当て、簡易トイレ作りなどのワークショップが行われた。

 防災を通じた小高連携に取り組む須磨友が丘高校(同市須磨区友が丘1)の1年生26人が、多井畑小4年の41人に教えた。授業は11月29日に行われた。

 防災クイズは、街角の写真から地震の時に危ない場所を探したり、防災バッグに何を入れておくか考えたりした。骨折時の応急手当ては、新聞紙やタオル、レジ袋など身近なもので腕を固定する速さを競った。

 須磨友が丘高1年の松田歩さん(16)は「小学生が真剣に考えながらクイズに答えてくれてよかった」、多井畑小4年の往田有蓮(あれん)さん(10)は「地震の時、周囲の建物を見れば自分が今どこにいるか分かることを学び、ためになった」と話した。(三好正文)=12月11日付神戸新聞朝刊神戸版

[写真㊤]高校生が出題する防災クイズに答える小学生=いずれも多井畑小学校[写真㊧㊦]屋外で地震に遭ったとき、どこに避難するかー。防災クイズを出題する高校生[写真㊨㊦]避難所で使える簡易トイレを作る小学生

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[写真㊧]骨折時の応急手当てを体験する小学生

※須磨友が丘高校は日本新聞協会のNIE実践指定校です。

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来年の「NIE全国大会神戸大会」に寄せて

 「第30回NIE全国大会神戸大会」までいよいよあと8カ月となりました。「時代を読み解き、いのちを守るNIE」をスローガンに掲げる神戸大会では、初日の7月31日に小川洋子さん(芥川賞作家)による記念講演や有識者・実践者によるシンポジウムなどを神戸ポートピアホテル(神戸市中央区)で開催。2日目は甲南大学岡本キャンパス(同市東灘区)に会場を移し、公開授業や実践発表、ポスター発表を通して、新聞の持つ魅力や可能性を引き出すとともに、変動する社会の中における新たな活用方法を探っていきます。

 さて、自然災害や感染症の世界的大流行(パンデミック)などの危機的状況において、正確で迅速な情報は命を守るために欠かせません。また、テクノロジーの進化により多様な情報源から情報を得たり発信したりできるようになった一方、誤情報やフェイクニュースが広まりやすく、情報の真偽の判断が非常に難しい時代になっていることを強く実感する毎日です。「既存メディアからSNS(交流サイト)の時代へ」などの声も聞きますが、既に新聞は過去のメディアであり、教育に新聞を活用するNIEも役割を終えようとしているのでしょうか。

 わたしはそうは思いません。逆に、かつてないほどメディアの在り方やニュースを読み解き判断する力に関心が集まっている今こそ、新しい時代のNIEを切り拓くチャンスだと思っています。そのためには、「新聞記事をいかに活用するか」から「新聞というメディアを切り口に、ニュースを読み解くリテラシーの育成」への視点の転換が大切だとも感じています。

 神戸大会の開催地、兵庫県は、摂津・播磨・但馬・丹波・淡路という歴史も風土も異なる個性豊かな五国からできており、地域の特色を色濃く反映した文化が根付いています。

 新聞記事をつかったやさしい日本語、新聞づくり、NIEノート、夜間中学校の実践、防災、平和学習、はがき新聞、NIE俳句、4コマ漫画の活用など、本大会で公開する実践も兵庫五国に負けないぐらい個性豊かです。これらの実践を「ニュース・リテラシー」(さまざまな情報を正しく読み解く力)の視点で見ていただくことで、きっとまだ出合っていないNIEの魅力を感じていただけると確信しています。

 港町神戸の地にNIE関係者が集う神戸大会のプログラムが、参加者の皆さまの未来の学びを形作る大きな一歩となるよう、開催地のNIEアドバイザーとして尽力していきます。

 最後になりますが、今回の大会では「グラフィック・レコーディング(グラレコ)」の手法を取り入れ、大会の様子を描いていきます。グラレコとは、会議やプレゼンテーションの内容を文字や図・イラストなどで視覚的に記録する手法で、場の雰囲気を可視化・共有化するツールとして注目を集めています。

 兵庫県NIE推進協議会は、2年前からメディアとしてのグラレコを取り入れ、実践発表会やNIEセミナーの様子などを描き残してきました。NIEの大会としては初となるグラレコもぜひお楽しみください。

井上 幸史(姫路市立城北小学校教頭、日本新聞協会NIEアドバイザー)(12日5日)

[写真説明]NIE全国大会神戸大会のイメージ(グラフィック・レコーディング)

■神戸市立鶴甲小学校(12月4日、対象・5年生約60人) 産経新聞神戸総局の安田麻姫記者が講師を務めた。能登半島地震や組切事故などの取材を例に、現場に行くことや記事を書くときに意識していることを話した。阪神・淡路大震災当時を知らない記者が遺族を取材し、新聞記事にする意味にも触れた。

児童の感想

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産経新聞記者が講師に

 教育現場で新聞を活用する「NIE」活動の一環として、神戸市立鶴甲小学校(同市灘区)で12月4日、産経新聞神戸総局の安田麻姫記者が5年の2クラス約60人を前に授業を行った。児童らは、普段はあまり聞くことができない新聞記者の仕事に興味津々な様子で、熱心にメモを取っていた。

 安田記者は、新聞が作られる過程やどんな情報が新聞紙に載っているかを説明。児童からは「大谷選手知ってる」や「斎藤知事が再選した」などと声が上がった。記者が取材で使う記者の持ち物として、パソコンやカメラを紹介した上で、社名入りの腕章や名刺も必須だと話し「名刺1枚で誰にでも会えて話を聞きに行くことができる」と記者の仕事の魅力を伝えた。

 授業の後半では、能登半島地震や踏切事故の現場などで取材した経験を踏まえ、見たことや聞いたことを文章にする際に意識しているポイントを伝授。オムライスを食べたときを例に「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「どうしたか」といった状況を伝えることで「読んでいる人の頭の中でイメージが広がり、話が伝わる」と、作文でも生かせるとアドバイスした。

 授業の最後に、安田記者は児童たちからの質問に答え、阪神淡路大震災の遺族取材でのエピソードに触れ、遺族から「新聞で伝えてもらうことで読者の方々の心に亡くなった娘が生き続ける」と掛けられた言葉が印象に残っていると話していた。=12月5日付産経新聞朝刊阪神・神戸版、播州版、但丹版、淡路版

[写真説明]記者の仕事について紹介する安田麻姫記者=神戸市灘区

※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

■播磨南高校(11月29日、対象・2年生26人) 毎日新聞明石通信部の入江直樹記者が、取材方法や見出しの付け方などについて解説した。見出しは記事の内容を一目で伝え、文字の大きさがニュース価値を示していると説明。記事中の5W1Hから特に重要な二つを取ると、的確な見出しになると強調した。

生徒の感想

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 新聞を教材にするNIE(教育に新聞を)活動の記者派遣事業として、県立播磨南高(播磨町)で11月29日、毎日新聞明石通信部の入江直樹記者が地域デザイン類型の2年生26人に講義した。取材方法や、見出しの付け方などを解説した。

 同校はNIE実践校で、地域課題の解決を目指す「HariMAP Ⅰ」の授業では、新聞などを活用して課題を探究している。

 見出しの役割について、記事の内容を一目で伝えることや、大きさでニュース価値を示していると解説。過去の記事を例に出し、記事中の「5W1H」(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)から特に重要な二つを取ると的確な見出しになると述べた。取材方法では「その人にしか語れない言葉を引き出すことが大事」とした。=30日付毎日新聞朝刊表兵庫地域面各面

[写真説明]新聞を手に説明する入江直樹記者(奥)=播磨町の播磨南高で

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

 ■甲南小学校(11月27日、対象・4年生57人) 阪神・淡路大震災の発生当時、取材に当たった神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーと、震源地になった淡路島で取材する神戸新聞津名支局長の中村有沙記者が、震災当時の話を語った。避難所で活用できるダンボールハウスも作った。

 児童の感想 01   児童の感想 02

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神戸新聞記者ら阪神・淡路発生時を語る 

 来年1月で発生から30年になる阪神・淡路大震災をテーマにした授業が11月27日、甲南小学校(神戸市東灘区住吉本町1)であった。神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザー(64)と、淡路総局津名支局長の中村有沙記者(28)が震災時の状況を語り、4年生57人が聞き入った。

 同校は日本新聞協会のNIE実践校。三好アドバイザーは震災発生日、中央区の本社で宿直勤務をしていた経験に触れ「普段は寝ている時間だったが、その日は偶然、起きていた。寝ていたら死んでいたかもしれない」と振り返った。

 中村記者は、震源地になった淡路島で大きな被害を受けた北淡町(現淡路市)について、野島断層などの写真を示しながら説明。

 全町民の安否が震災当日の夕方に判明したことを紹介し、「救助に当たった消防団員が、民家の下敷きになった人の寝ている場所まで知っていたことが素早い救助につながった。家族のような深い地域の付き合いが生きた」と話した。

 同校の三浦駿介さん(10)は「震災の悲惨さを熱く語ってもらい、よく分かった。災害はいつ起こるか分からないので備えたい」と話した。=12月2日付神戸新聞朝刊神戸版

[写真説明]甲南小4年生に阪神・淡路大震災時の淡路島の様子を伝える中村有沙記者=神戸市東灘区住吉本町1(撮影・長嶺麻子)

※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

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 10月27日投開票の衆院選に合わせ、姫路市立豊富小中学校(姫路市豊富町御蔭)で、中学3年に相当する9年生99人が兵庫11区(旧姫路市)の模擬投票を行った。本物に近い「学校選挙」の実施で、主権者意識が高まったようだ。

 兵庫11区は4人が立候補し、自民前職が当選した。生徒たちは10月23~25日の朝学習の時間に新聞の選挙報道を読んだり、ネットで調べたりして、誰に投票するかを考えた。社会の授業で選挙制度についても学び、それぞれ1票を投じた。

 10月28日開票され、実際の選挙と候補者の得票順が異なった。生徒は年代によって選ぶ基準が異なることを実感したようだ。

 「家でも選挙のニュースを見るようになった」「当選者が国政でどういう動きをするか注目したい」―。生徒たちの感想からは選挙や政治への関心が高まったことがうかがえた。「3年後には18歳になる。しっかりと考えて投票したい」「若い世代が投票することが大切だと思った」との声が数多く寄せられた。

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 担当した坪田由樹子教諭は「自分たちと大人の思いに差異があり、『自身が投票しないと若者の意見が政治に反映されにくい』と危機感を抱いた生徒がいたのが印象的だった。有権者になったとき、今回のように各候補者の公約をしっかり理解して投票してほしい」と話した。

古寺 和子(姫路市立豊富小中学校教諭)(12月2日)

[写真㊤]模擬投票で1票を投じる生徒=いずれも姫路市立豊富小中学校[写真㊨]模擬投票を前に兵庫11区の候補者の記事を調べる生徒

※同様の実践が西宮市立浜脇中学校でも行われました。記事はこちら

 阪神・淡路大震災から間もなく30年。当時を知らない世代こそ、「震災」を語るべきだ。その思いを年々強くする。2024年8月、気象庁が初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表した。異例の警戒感が広がり、列島各地でミネラルウォーターなどの買いだめが発生した。あらためて問いたい―。兵庫は備えているか。

 兵庫県NIE推進協議会が震災授業を続けている。阪神・淡路だけで災害は語れない。一つ一つの災害から学び、児童・生徒に記憶と教訓のバトンをつなぎたい。

◆伊川谷高校(2024年9月10日、対象・1年生29人) 日本新聞協会のNIE実践指定校。講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆網干高校(2024年9月25日、対象・2年生40人) 日本新聞協会のNIE実践指定校。講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆神戸甲北高校(2024年11月15日、対象・3年生16人) 日本新聞協会のNIE実践指定校。講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆甲南小学校(2024年11月27日、対象・4年生57人) 日本新聞協会のNIE実践指定校。講師=神戸新聞津名支局・中村有沙支局長、神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

◆須磨友が丘高校(2024年12月13日) 日本新聞協会のNIE実践指定校。講師=神戸新聞報道部・中島摩子記者、神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら

◆芦屋市立精道中学校(2024年12月16日) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら

◆小野市立旭丘中学校(2025年1月16日)=予定 講師=同上

◆姫路市立飾磨中部中学校(2025年1月17日)=予定 兵庫県NIE推進協議会の独自認定校。講師=同上

◆神戸市立長坂中学校(2025年1月17日)=予定 講師=同上

◆神戸海星女子学院小学校(2025年1月21日)=予定 講師=神戸新聞報道部・名倉あかり記者、神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー

「ひょうごNIE通信」第4号を発行しました。衆院選に合わせた模擬投票(西宮市立浜脇中学校)や、ゲームを通じ英語を学ぶ「イングリッシュ・マラソン」(養父市立建屋小学校)など、来年夏の「第30回NIE全国大会神戸大会」のポスター発表の事例を紹介。兵庫に取材拠点を置く新聞・通信8社の記者による出前授業の記事も掲載しています。

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                             ひょうごNIE通信第4号.pdf