教員によるNIE実践

気になる記事保存、授業で活用 神戸・湊川高

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政治、暮らし、クイズ...共有フォルダーに蓄積

 神戸市長田区の湊川高校(定時制)で、各教諭がNIE活動に役立ちそうな新聞記事をパソコンの共有フォルダーに蓄積し、他の教諭を含めて授業時などに自由に取り出して利用できる試みを始めた。学校全体でたやすく取り組めるNIE実践例といえそうだ。(兵庫県NIE推進協議会事務局長・三好正文)

 同校は2024年度から、日本新聞協会のNIE実践校に指定され、新聞活用の取り組みを進めている。新聞記事の共有フォルダーには現在、政治や国際問題、暮らしなど幅広い分野の記事のほか、4こま漫画やクイズなども保存されている。

 蓄積する素材は、切り抜いた記事をデータ化するなどして集めている。担当科目の違う各教諭が選んだ記事を互いに利用することで、新聞活用の幅が広がるメリットもあるという。

 同校は11月18~22日、校内の教諭を対象に授業を公開。住本拓自教諭(32)は歴史総合の授業で「東西冷戦中の変化」をテーマに取り上げた。第2次世界大戦後、米国とソ連(現ロシア)を軸に展開された冷戦の概要や歴史を3年生10人に説明し、北大西洋条約機構(NATO)の拡大と、ロシアによるウクライナ侵攻の関係を考えてもらった。

 その中で紹介したのが、共有フォルダーにあった「『トランプ次期米大統領がロシアのプーチン大統領と電話会談』と米報道」(ロシア側は会談実施を否定)の記事。神戸新聞の11月12日付朝刊に掲載された原稿で、住本教諭は「東西冷戦と現在の国際情勢がつながっていることを理解してもらうため、最近の記事を利用した」と話す。

 同校は来年夏の「第30回NIE全国大会神戸大会」で、共有フォルダーを活用した授業について実践発表する予定だ。

 大会は日本新聞協会が主催し、神戸新聞社と兵庫県NIE推進協議会が主管。阪神・淡路大震災から30年、戦後80年の節目に開催されることを踏まえ、「時代を読み解き、いのちを守るNIE」を大会テーマに掲げる。=12月13日付神戸新聞朝刊教育面

[写真説明]共有フォルダーの新聞記事を使って授業が進められた=神戸市長田区寺池町1、湊川高校