記者派遣

震災を語ろう 神戸・須磨友が丘高で出前授業

241213sumatomogaokakou.jpg神戸新聞記者らが講師に

 発生から30年になる阪神・淡路大震災をテーマにした出前授業が12月13日、神戸市須磨区友が丘1の須磨友が丘高校であり、1年生約240人が参加した。神戸新聞報道部の中島摩子記者と、神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校で、新聞を使った防災教育にも力を入れている。

 授業で、中島記者は発生直後、ラジオ関西が神戸市長田区の火災現場から生中継した放送音源を紹介。生徒たちに「震災遺族が取材に応じてくれるのは『当時のことを若い人に知ってほしい』との思いがあるから。大地震の時、どうしたら被害を減らせるか考えて」と呼びかけた。

 三好アドバイザーは震災発生日、神戸・三宮にあった神戸新聞本社で宿直勤務をしていた。当日のまちの惨状を紹介し、「当時、被害情報とともに、同じ安全安心情報を繰り返し伝えることが求められた」と振り返った。

 同校の生徒たちは近隣の横尾小学校や多井畑小学校での防災授業も続けている。三好アドバイザーは「当時を知らない世代こそ、震災を語るべきだ。記憶のバトンをつないでほしい」と語りかけた。

 今年8月、気象庁が初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表したことにも触れ、「兵庫は備えができているか、再点検が必要だ」と強調した。

 授業を受けた浅野十偉(とい)さん(16)は「被災写真を見ても神戸であったこととイメージしづらかったが、当時の話は、被災者の気持ちを考える力になった」、石田瑠梨(るな)さん(16)は「震災関連死を含め、想像以上の命が失われたことを実感した。次の災害に備えたい」と話した。

 阪神・淡路で同校のある神戸市須磨区内では399人が犠牲になった。校内には、神戸新聞社が所蔵する同区内の被災写真も展示された。

[写真説明]「若い人たちこそ震災を語ろう」と呼びかけた出前授業=須磨友が丘高校

※震災発生直後のラジオ関西の音声は神戸新聞「1.17つなぐプロジェクト」の「ラジオ関西の記録音声」のコーナーから再生できます。須磨友が丘高校の生徒たちが神戸市立多井畑小学校で行った防災授業の記事はこちら