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 発生から29年がたつ阪神・淡路大震災を学ぶ出前授業が、小野市新部町の河合小学校であり、4、5年生72人が参加した。神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 三好アドバイザーは大震災当日、神戸・三宮の神戸新聞本社で宿直勤務だった。今月7日にあった出前授業では「震度7の瞬間、爆発時のように窓ガラスが割れた」と振り返り、当日書いた記事や当時のまちの惨状を紹介。「当時、どこに行けば入浴できるかなど、生活情報を日々紙面に載せることが大切だった」と話した。元日に発生した能登半島地震にも触れて「災害は繰り返す。南海トラフ巨大地震に備えたい」と力を込めた。

 授業では児童たちに、災害時に使える新聞紙スリッパや段ボールベッドを作ってもらった。授業を受けた小東応祐君(5年)は「阪神・淡路大震災、能登半島地震とも被害の大きさに驚いた。防災バッグを用意するなど災害に備えたい」と話した。

[写真説明]新聞紙スリッパを作る児童たち=河合小学校

※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

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 東日本大震災から13年を迎えた3月11日、尼崎市南武庫之荘4の南武庫之荘中学校で、東京電力福島第一原発事故について考える授業があり、1年生36人が参加した。同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。授業は、兵庫県NIE推進協議会の吉田尚美コーディネーターが講師を務めた。

 東日本大震災では巨大津波が沿岸地域を襲い、福島第1原発でメルトダウン(炉心溶融)が起きた。吉田コーディネーターは新聞記事をもとに原発事故の経緯や、放射能が人体に及ぼす影響を説明した。

 また、大学時代の友人が当時、原発事故で帰還困難区域となった福島県浪江町に住んでおり、震災から3年半後、友人とともに同町を訪れた経験を語った。生徒たちは放射能汚染のため復興が進まない現状を知り、被害の深刻さについて認識を新たにしたようだった。

 生徒たちは数人ずつの班に分かれ、これからのエネルギー問題を話し合ったり、神戸新聞社が記事や社説をもとに作成している「新聞ワークシート」を解きながら、処理水問題について考えたりした。

◆神戸新聞NIEワークシートはこちら

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2024年3月13日)

[写真説明]吉田コーディネーターが浪江町訪問時に着用した放射能防護服も紹介された=尼崎市立南武庫之荘中学校

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神戸新聞アドバイザーが講師に

 新聞から気になる記事を選んで壁新聞を作る「まわしよみ新聞」の授業が3月11日、神戸市東灘区住吉本町1の甲南小学校であり、3年生60人が参加した。神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 同校は2024年度から日本新聞協会のNIE実践校に指定され、新聞を活用した授業などに取り組む。

 まわしよみ新聞作りは、数人ずつの班に分かれて作業。神戸新聞写真ニュースの昨年12月~今年3月号や、最近の毎日小学生新聞、読売KODOMO新聞の紙面から各自が関心をもった記事を選び、選んだ理由を発表し合った。

 続いて、トップ記事を何にするかを決め、紙面構成はどうするかなどを話し合いながら、記事を模造紙に貼り付け、新聞を仕上げていった。

 トップ記事は、大谷翔平選手の米大リーグでの活躍や、元日に発生した能登半島地震、1月17日で発生から29年を迎えた阪神・淡路大震災の追悼のつどいなどにした班が目立った。

 注目ニュースとして、1日の長さに1秒を加える「うるう秒」を2035年までに廃止する話題を選んだ班もあった。

 記事にちなんだ俳句も考えた。中国における旧暦の正月「春節」の記事では「お正月 みんな違って みんないい」と詠んだ。

[写真説明]まわしよみ新聞を作る3年生たち=甲南小学校

児童の作品の一例

※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

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社説読み解き、発想広げる 甲南高・中で講座

 新聞社が記事や社説をもとに学校向けに作成している「ワークシート」。教育現場での新聞活用を進める兵庫県NIE推進協議会の吉田尚美コーディネーターが、県内の学校でワークシートを活用した出前授業を行っている。甲南高校・中学校(芦屋市山手町)では2月20日、吉田コーディネーターによる「新聞から学ぶイノベーション(革新)講座」があり、経済や会社経営に興味のある高校1年生36人が参加した。

 同校は日本新聞協会のNIE実践校で、2023年度から新聞を使った授業を続けている。この日、活用したワークシートは、吉田コーディネーターが週に数回作成し、電子版神戸新聞NEXTのNIEサイトに掲載している教材の一つ。1月12日付神戸新聞朝刊に掲載された社説「日常の先の紛争」を読み、問いに答える。

 社説では、スマホなどの部品のレアメタル(希少金属)が、コンゴで長年続く民族紛争の資金源になっており、消費者は企業が「何を使っているか」を知り「何を買うか」で社会的責任を果たそうと呼びかけた。ワークシートは、文中にある米国の「紛争鉱物」の法規制でどんな効果が生まれたかを短文でまとめるなどして記事を読み解く。

 授業では、生徒たちにこのワークシートに取り組んでもらい、「売る側」「買う側」ともに人権や環境、SDGs(持続可能な開発目標)の視点が欠かせないことを伝えた。

 さらに、「革新的な技術や発想が新たな価値を生み出す」として、登山ブームの中で低山に特化した商戦が地域経済を潤す―など、イノベーションのヒントになりそうな最近の記事を紹介した。

 授業を受けた男子生徒(16)は「紹介された新聞記事を通し、発想を広げることができた」と言う。別の男子生徒(16)は「能登半島地震の被災者にドローンで医薬品を運ぶ発想を知り、知識が増えた」と話した。

 吉田コーディネーターによるワークシート活用授業は3月11日、同じくNIE実践校の尼崎市立南武庫之荘中学校でも予定されている。

◆神戸新聞NIEワークシートはこちら

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(3月4日)

[写真㊤]新聞ワークシートに取り組む生徒たち=芦屋市山手町、甲南高校・中学校

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[写真㊨]神戸新聞の社説をもとに作成したワークシート

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会長 竹内 弘明

  みなさん、こんにちは。兵庫県NIE推進協議会会長の竹内です。

 本日は大変お忙しい中、2023年度の兵庫NIE実践発表会にお運びくださりありがとうございます。平素はNIE活動にご理解、ご協力をいただき誠にありがとうございます。 また、重ねてお礼申し上げます。

  さて、今年は元日の16時10分、能登半島で大地震が発生するという痛ましい年明けとなりました。地震によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

  倒壊した家屋や火災など阪神・淡路大震災を経験している私たちにとっては、フラッシュバックのように当時の状況がよみがえってきました。

 29年前の1月、神戸の町は壊滅状態でした。

 今、神戸新聞が毎日「震災ダイアリー」と題して阪神・淡路大震災からのその後を毎日報じています。今日は震災23日目、休校が続いていた兵庫高校が鈴蘭台高校を間借りして授業が再開されたという記事が掲載されていました。

 地震のあった1月17日、あの大震災の中、神戸新聞は夕刊を出しています。

 でも神戸新聞本社も被害を受けコンピューターも使えません。そこで京都新聞に協力を頼み、京都まで車を飛ばし、そこからまた神戸新聞の製作センター向かい、できあがったのは午後8時、そこから県内各所に配達をしてくれたのです。

 当時、他の新聞各社の方々も神戸支社・総局・支局は被害を受け、それでも阪神・淡路大震災の状況、つらく悲しい現実、被災地の人々の絆、全国からかけつけたボランティアの方々への感謝、強く生き抜いている被災地の人々の姿、いろいろなことを新聞は伝えてくれました。

 今、能登半島地震についてもいろんなメディアが報じています。

 29年前に比べるとSNS(交流サイト)が飛躍的に発達し、被害状況や被災地の様子もすぐに発信されています。確かにSNSは早いのですが、一方で偽情報やデマという危険性もあります。今回の能登半島地震でも架空の住所を記して助けを求めたり、被害状況だと偽って別の津波動画を流したりし、不安をあおる嘘の投稿が相次いでいます。

 テレビは映像とともにいち早く正しい情報を報道してくれます。デマや偽情報はありません。でもテレビは一過性というか手元に残りません。正確な数字は伝えてくれますが、聞いた私たちはすぐに忘れてしまいます。

 新聞はニュースとしての価値判断をし、その必要性を考慮して、偏ることなく公平公正に、正しい情報、信頼性の高い情報を、見やすく、わかりやすく、無駄なく伝えてくれています。紙媒体として伝える新聞は手元に残ります。見返すことも簡単にできます。やっぱり新聞は優れものです。

 新聞は、記者が足を運んで地道な取材をするところから始まり記事を書き、それを編集をする人、そして印刷をする人、さらに配達をする人から、多くの人が熱い思いを込めて、魂を込めて作り上げている素晴らしい作品です。

 そんな新聞を教育に取り入れることは大きな意義があります。

 今日の新聞にはNIEの活動として、須磨友が丘高校と横尾小学校の小高連携の取り組みが掲載されていました。阪神・淡路大震災と能登半島地震の新聞記事から高校生が小学生に防災の大切さを伝える授業を行った記事が掲載されていました。

 29前の新聞記事と今の新聞記事が、震災について伝えつないでいく、とても素晴らしい取り組みです。

 教育に新聞を活用するNIE活動を推進してくださっています皆様方には改めて敬意を表しますとともに、これからもどうぞ自信を持って、そして胸を張ってNIE活動を推進してくださることをお願い申し上げます。

 今日はそんな素晴らしい実践を発表していただきます。私もとても楽しみにしているところです。今日の発表会が皆さまの心に残る素晴らしい発表会になりますことを願って開会のあいさつとさせていただきます。本日の実践発表会、どうぞよろしくお願いいたします。

2024年2月8日