提案! 新聞で遊ぼう  ~「知の伏流水づくり」を ~

兵庫県NIE推進協議会会長 秋田久子

新型コロナ禍で大変です。

先生方は今、子どもたちの学力とやる気と習慣を守ろうと、懸命に工夫をしておられると拝察いたしております。限られた環境と条件の中でのご苦労、お察し申し上げます。

ご家庭も大変です。私も働く2人の子の母親でした。学校・先生が頼りでした。STAY HOME……保護者の皆さんは今、子どもの安全と学力が気になり、目の前のゴロゴロ、キィーキィーで頭がぐらぐらなさっているだろうと思います。想像するだけで頭痛がしてきます。

そこで、提案申しあげます。こんなときに、「新聞を使った遊び」はいかがでしょう。

「遊び」といっても、新聞です。ご存じのとおり、新聞の朝刊1日分には新書1冊に相当する情報が入っています。ですからこの機会に、一緒に遊びながら、社会や世界に子どもの関心を向けてみませんか。たとえば、普段はなじみが薄い経済欄もこの機会にいかがでしょう。新型コロナの影響を手掛かりに、消費動向の変化や業界ごとの株価の動きなどを身近に感じることができますよ。

STAY HOMEの今こそ、新聞遊びで、子どもたちの「知の伏流水づくり」をいたしましょう。

では、新聞ゲーム「『この中で…これ!』~写真から推理する~」を紹介します。

用意するもの:新聞
対象年齢:小学校低学年から無制限
最適人数:2~5人

手順:
(1)真ん中に新聞を広げる
(2)一斉に「この中で…これ!」を合図に、それぞれが写真を一つ指さす
(3)解説する人の記事をみんなの手で隠す
(4)写真の場面を推理して解説する
(5)隠した記事をみんなで読んで、種明かしをする
※(3)~(5)を繰り返す。解説が終わってから「つっこむ」。「いつ」「どこ」「なにしてるの」など。解説がより詳しくなると種明かしが面白い

突飛な推理が面白さを倍増します。テレビ欄の新番組紹介写真や広告写真の解説のときにはゲラゲラと笑い転げました。中・高生なら外交面などは意外性があって面白いと思います。種明かし後に写真のGood Job判定もどうぞ。テンポよく、短時間で。慣れてくると「受ける」解説もやりだしますよ。

ただ、解説中には口を出さないことです。じっと聴くことです。新聞は古くてもOKです。図鑑や教科書の写真でも面白いですよ。  

「へぇー」という知的な驚きが「知の伏流水」を蓄えさせます。この機会に、どうぞ。 

先日、新聞にこんな川柳が載っていました。

― 弟は 学校知らない 1年生 (東京都・桑澤 凛さん8歳、朝日新聞4/29朝刊)」―

一日も早く収束しますように。

令和2年4月29日

新着ニュース

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 学校教育の現場で新聞の活用を進める「兵庫県NIE推進協議会」の総会が5月29日開かれた。新型コロナウイルス対策として記者がオンライン授業を行ったり、小中・中高一貫校で実践を進めたりする事業計画を承認した。本年度の実践指定校は例年通り20校とする。日本新聞協会の承認を得て7月に正式決定する。

 同協議会は学識経験者や兵庫県教育委員会、神戸市教委、県内の学校、新聞・通信社で組織。

 総会はテレビ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使って実施。同協議会の秋田久子会長が「現場の状況に合わせ、柔軟に活動したい」とあいさつした。

 県教委の西上三鶴教育長は「大変な時期だが、子どもたちが充実した教育活動をできるよう、NIEの協力をお願いしたい」、神戸市教委の長田淳教育長は「休業中、子どもたちは大変だったが、社会を意識した学びに触れた。そこにNIEの重要性を感じる」と述べた。(三好正文)=30日付神戸新聞朝刊

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     新型コロナウイルスの感染拡大で休校が長引き、子どもたちの学力向上をどう図ればいいか―。家庭学習に頼ることが多く、各家庭の協力にとても感謝しています。そして、学校は何ができるのかを日々模索してきました。

    伊丹市立天神川小学校が4~5月の休校中に行った、各家庭への課題プリントのポスティングは計5回に及びました。アナログな作業で、たくさんのプリントを印刷し封筒に入れ、子どもたちの顔を思い浮かべながら、こんなにも回ったことがないというくらい一軒一軒を回りました。

 算数や国語の宿題だけでなく、何か強く興味をもてる課題はないかと模索しているとき、読売新聞ワークシート(小学生版)が目に留まりました。各新聞社が作成しているワークシートは家庭での学習にとても役立つと感じています。読売新聞東京本社の教育ネットワーク事務局に問い合わせたところ、ワークシートを印刷して配布することを快諾していただきました。

 使用させてもらったのは、5月13日付の「明石・天文科学館 紙芝居や体操配信」です。明石市立天文科学館が、同館の人気キャラクター「軌道星隊シゴセンジャー」による紙芝居や簡単にできる体操の動画「おうちで天文科学館」をつくり、投稿サイト「YouTube」で配信しているという内容で、兵庫県の話題だったのも大きな理由です。

   ワークシートの「あなたは、手を洗っていますか」という質問に、ある子どもは「ちゃんとしっかり20秒洗っています」と回答していました。

 新聞には、リアルタイムで必要な情報が掲載されていることに気づいてほしい。こんな時期でも明るいニュースも載っていることも知ってほしいー。そんな思いがありました。

 まだまだ新型コロナウイルスの感染は心配ですが、「みんな待っているよ」を合言葉に、つながりを大切にした取り組みを進めています。NIEについても子どもたちの笑顔につながる実践を推進していきます。

竹安 雄一(伊丹市立天神川小学校教諭)(5月29日)

[写真説明]児童が回答を書き込んだ新聞のワークシート

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    兵庫県NIE推進協議会の記者派遣事業として、共同通信神戸支局の小島鷹之記者に1月23日、姫路市立豊富小学校で「新聞を使った調べ学習」と題したワークショップを行っていただき、5年生88人が参加しました。「調べることのプロ」である記者から学ぶ良い機会になりました。

 ワークショップは4、5人のグループに分かれ、「こども新聞」各紙から気になる記事を選ぶことから始まりました。記事を選んだ後、分からない言葉や記事の背景にあるものを調べる→情報を関連づける→模造紙に記事を貼り付け、周りに調べた内容を書き込んでいく→全員の前で発表する―という流れで進みました。

   児童たちは小島記者のアドバイスをもとに、インターネットや図書室の本で調べたり、他のグループにアンケートしたり、インタビューしたりしながら一つ一つの内容を掘り下げていきました。

   例えば―。「小学生8割、外遊びしません」という記事を取り上げ、児童ら30人に「月~金曜、外遊びを何回しているか」を尋ねたグループは「遊ぶ場所が制限されたり、門限があったりするが、もっと外遊びすれば健康になる」と発表しました。

  「新紙幣発行」の記事を選んだグループは、新しい肖像の渋沢栄一(1万円札)、津田梅子(5千円札)、北里柴三郎(千円札)の経歴を調べ、グラフで分かりやすく表していました。

   自分で調べ、仲間と相談し、伝える相手のことを意識しながらまとめる。「調べる」「集める」「まとめる」「伝える」のプロセスを主体的に進める子どもたちの姿が印象的でした。

 小島記者からは「新聞は簡潔に情報がまとまっているが、足りないと思えばさらに調べよう」「いろいろな情報があふれている時代。何が正しいか最後に判断するのは自分」「いつも『なぜ』という素朴な疑問や不思議を見つける目を大切に、身の回りの物事を見つめよう」とアドバイスをいただきました。

   今回の記者派遣事業は、ワークショップを通して調べ方を体感できた素晴らしい機会でした。本校は今年4月、隣接する姫路市立豊富中学校と一つになり、9年制の義務教育学校として開校し、新聞を「つかう」「つくる」活動を通した情報活用能力の育成を目指しています。20年度も記者派遣事業を積極的に活用していきたいと思っています。

   現在、新型コロナウイルスの感染拡大で臨時休業が継続中ですが、「みんな待っているよ」を合言葉に、つながりを大切にした取り組みを進めています。NIEについても、子どもたちの笑顔につながる実践を推進していきます。

井上幸史(姫路市立豊富小中学校教頭)(5月15日)

[写真説明]「新聞を使った調べ学習」に取り組む児童たち

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西上三鶴・兵庫県教育長

 生徒の誰もが先生に

  平成から令和に時代も変わり、これからの日本は、国際化・情報化に伴い、多様な価値観をもつ人々と出会う社会となります。NIEの活動は、国内外の記事を通じて、世界を知るだけでなく、問題・興味を探す力、解決策・新たな展望を考える力、そして、自分の意見を伝え、他人の意見を聞くことを通して多様な考えをもつ人々と共生する力も育てています。

  昨年9月に行われた尼崎市立大庄北中学校の発表は、生徒誰もが先生であり生徒でした。生徒が生き生きと授業に向かう姿に感動しました。担当された先生の3年間の積み上げに敬意を表します。

    11月には県立津名高等学校の発表会に伺いました。地域の課題を基にNIE活動で学んだことを、生徒達はポスターセッションの中で発揮していました。

   昨年7月に行われた「NIEセミナー」にも参加しました。新聞をどう活用するかなど、活動の成果を左右する先生の授業力は、とても重要です。

   ICT技術が発達しても、多様な情報を限られた紙面で提供する新聞は最も身近な社会に触れるツールです。これからもNIE活動を応援していきます。

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長田 淳・神戸市教育長

 「世界の中の私」学ぶ

 2020年度から順次始まる学習指導要領には、学校で学んだことが「生きる力」となって、その先の人生につながってほしいという願いが示されており、そのために新聞を活用することも総則に明示されています。

 このような折、新聞各社のご理解とご協力を賜り、学校の授業等において、新聞記事の二次利用が行えていることは、すばらしいことだと思います。もちろん、新聞記事を印刷利用するには、著作権法に留意する必要があります。「学校の教育活動」という理由で著作権を軽んじてはいけません。子どもたちに遵法の精神を醸成することも大切で、著作権を守りつつ、NIE活動を推進しています。

 さて、19年度のNIE実践校に神戸市からは小学校2校、中学校1校、高等学校1校が指定を受け、活動しています。神戸市で過去最多です。実践校では、記者派遣活動、新聞6紙の無償配布などを通し、児童生徒の世の中を見る目に変化が表れました。自分は、他者との関係性の中で存在する。つまり、自分のありようは、世界と無関係ではないという相互承認の力が向上しており、NIE活動は、よりよい社会の担い手の育成につながっていくものだと感じています。

 ※「兵庫NIEニュース」第62号に掲載しています。

 日本新聞協会は「第11回いっしょに読もう!新聞コンクール」の作品を募集している。興味を持った新聞記事を家族や友人と読み、感想や意見を専用の応募用紙に書き、あわせて記事の切り抜きも送る。

 対象は小・中・高・高等専門学校生。記事は2019年9月9日~20年9月8日の新聞から選ぶ。個人賞と学校賞の各部門で校種別に審査、12月上旬に結果を発表する。

 応募要領・応募用紙は日本新聞協会NIEウェブサイト(http://nie.jp/)からダウンロードできる。兵庫県内の受け付けは、〒650-8571 神戸新聞社内、兵庫県NIE推進協議会「いっしょに読もう!新聞コンクール」係。9月9日必着。問い合わせは同協議会☎078・362・7054