1月 4日 に掲載された記事

 阪神・淡路大震災で被災した百貨店「大丸」の家具バイヤー、小林昭彦さん(49)=神戸市東灘区=が、東日本大震災の被災地・岩手県の特産品などを集めた物産展を企画した。7日から神戸・六甲アイランドの神戸ファッションマートで開催。自らの被災体験を重ね、「商売復興を応援し、東北の伝統工芸を守りたい」と店頭に立つ。

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▲岩谷堂箪笥の魅力と岩手県支援の思いを語る小林さん=神戸市東灘区向洋町中6


 阪神・淡路大震災で被災した百貨店「大丸」の家具バイヤー、小林昭彦さん(49)=神戸市東灘区=が、東日本大震災の被災地・岩手県の特産品などを集めた物産展を企画した。7日から神戸・六甲アイランドの神戸ファッションマートで開催。自らの被災体験を重ね、「商売復興を応援し、東北の伝統工芸を守りたい」と店頭に立つ。(宮本万里子)


 小林さんは1986年の入社以来、大丸神戸店などで家具の買い付けを担うバイヤーとして奔走。現在は六甲アイランドの大丸インテリア館「ミュゼ エール」に勤める。


 95年の阪神・淡路大震災は、東灘区の自宅マンションで被災。家族と家は無事だったが、周辺は多くの家屋が全壊し、崩れた建物から人々を救助した。


 当時勤務していた神戸・元町の大丸神戸店も全壊。同店は修復後の全館再開まで2年を費やし、家具売り場も近くのビルでの営業を余儀なくされた。「家具の下敷きになって亡くなった人もいた。派手な売り込みはできなかった」。震災前のような活気が売り場に戻ったのは、地震から約5年後だったという。


 東日本大震災では、仕入れ先である岩手県奥州市の伝統工芸品「岩谷堂(いわやどう)箪笥(たんす)」の製作所が被災した。岩谷堂箪笥は約200年の歴史を持ち、美しい漆塗りの木目や金具の彫刻が特徴。経済産業省の外郭団体「伝統的工芸品産業振興協会」が認定した伝統工芸士が技術を受け継いできたが、地震で多くの製品が壊れ、一時出荷もできなかった。


 被害を聞いた小林さんは「商売復興は、物を買ってもらってこそ」と発奮。岩谷堂箪笥など岩手の伝統や特産品を守り、復興を支えたい、と物産展の開催を決めた。


 物産展は7~9日午前10時~午後6時。名産の「ごま摺(す)り団子」や「盛岡冷麺」などを販売し、岩谷堂箪笥の伝統工芸士が金具製作を披露する。

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