1月18日 に掲載された記事

 神戸大の六甲台キャンパス(神戸市灘区)と、深江キャンパス(同市東灘区)で17日、阪神・淡路大震災で亡くなった学生らの追悼式典が催された。遺族や大学関係者らが慰霊碑に花を手向け、亡きわが子や学友たちをしのんだ。

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▲慰霊碑に刻まれた信宏さんの名前に触れる藤原宏美さん=神戸大六甲台キャンパス


 神戸大の六甲台キャンパス(神戸市灘区)と、深江キャンパス(同市東灘区)で17日、阪神・淡路大震災で亡くなった学生らの追悼式典が催された。遺族や大学関係者らが慰霊碑に花を手向け、亡きわが子や学友たちをしのんだ。


 震災では神戸大の学生39人と教職員2人、神戸商船大(現・神戸大海事科学部)の学生5人と教員1人が犠牲になった。


 六甲台では、午後0時半に約140人が黙とうし、献花した。


 津市から参列した藤原宏美さん(71)は、経営学部4年だった長男の信宏さん=当時(22)=を亡くした。下宿が倒れ、信宏さんは下敷きになった。


 公認会計士に合格し、就職も決まったばかり。「運を使い果たしたのか。勉強ばかりして、これからというときに...」


 父親として後悔の念は尽きず、今も仏壇の前で古い建物に住ませたことを謝る。同世代から孫の話を聞くようになり、息子のいない寂しさがいっそう募るようになった。


 「東日本で『想定外』が問題になったが、わたしたちも地震が起きて初めて、恐ろしさが分かった。今は神戸を訪れることが生きる目標です」


 そう話し、慰霊碑の前で手を合わせた。(本田純一)

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