2022年2月アーカイブ

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神戸新聞アドバイザーが講師に 

「有事におけるメディアリテラシー」をテーマにした授業が2月28日、尼崎市三反田町2の立花南小学校であり、6年生110人が参加した。神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが、ロシアのウクライナ侵攻について取り上げ、真偽入り交じった情報とどう向き合うかを説明した。

 同校は日本新聞協会のNIE実践校に指定されている。メディアリテラシーはメディアの情報を正しく見極めて使いこなす技術。三好アドバイザーは、ウクライナ有事の背景などを解説。「軍事侵攻などの有事には、会員制交流サイト(SNS)などを通じ、フェイクニュースやデマが拡散しやすい。出所はどこか、裏付けはあるか、情報の真偽を見極めよう」と話し、「ウクライナを取り巻く世界情勢を知り、日本がどうかかわっているか知ろう」と呼び掛けた。

 さらに「新聞が果たすべき役割の中で、平和な世界を築くこと以上に大切なものはない」と強調した。

 数人の班ごとに、神戸新聞「写真ニュース」の昨年12月号~今年3月号からイチオシ記事を選ぶワークショップも行った。三好アドバイザーは「大きなニュースや関心を持った出来事について、友達や家族で話し合ってみよう」と勧めた。

[写真説明]有事に情報とどう向き合うかを考えた授業=尼崎市三反田町2、立花南小学校

授業で使った資料から抜粋

※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

■兵庫教育大付属中学校(2月17日、対象・1、2年生12人) 神戸新聞社教育ICT部の武藤邦生記者が、同社が開発したクラウド型アプリ「ことまど」を使った新聞作成を指導した。2人一組になって「興味を持っていること」などをインタビュー。見出しや記事を入力し、写真を取り込んで、新聞を仕上げた。

生徒の感想

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 NIE(教育に新聞を)の一環として、アプリを使って新聞づくりを体験する授業が2月17日、加東市山国の兵庫教育大学付属中学校であった。神戸新聞社教育ICT部の武藤邦生記者が講師を務め、1、2年生12人が参加した=写真。

 神戸新聞社が開発したアプリ「ことまど」を活用。パソコンやタブレットを使って、本格的な新聞を簡単につくることができるクラウド型アプリで、2021年度は全国59校で約6800人が利用している。

 この日は、キャリア探究総合「ニュースです! 編集長」を選択した生徒が受講。2人1組になって、お互いに「最近、興味を持っていること」「学校で取り組んでいること」などをインタビューし、相手の写真を撮影した。

 武藤記者は「新聞はいろんな人が読む。みんなのことを知らないぼくが読んでも、『この人は、こんな人なんだな』とわかるように、読む人を意識して書いてみよう」とアドバイス。「ことまど」の操作方法を教わりながら、見出しや記事を入力、写真を取り込んで、新聞を仕上げた。

 今回の体験を踏まえ、生徒たちは調べ学習のまとめとして、「ことまど」で新聞を作成。3月に校内で発表する。

 生徒が作った紙面の一例はこちら。

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

 1月27日から続くSDGsの新聞作り、授業の記事

※昨年12月17日、県内4小学校の児童たちが合同で作った新聞のオンライン発表会が行われました。担当した4校の先生にねらいや成果についてご寄稿いただきました。

                              藤岡絵美・神戸市立淡河小学校教諭

 「NIEで4校を繋(つな)ぐ会」では、各校の高学年児童が、各地域の事柄について調べたことを新聞記事にまとめ、内容をオンラインで発表し合った。

 オンライン交流に向けて、本校の6年生は地域の歴史について、5年生は地域の産業について調べ活動を行った。地域に取材に出かけ、新聞記者になったつもりで見出しを考え、文字数に気を付けながら文を作成した。子どもたちは制限された文字数の中で自分の考えをまとめることの難しさを感じつつも楽しみながら活動していた。オンライン交流では、他校の児童の発表を聞いたり、他校の児童の前で発表したりと、少人数では体験が難しい貴重な経験をすることができた。

 児童は、新聞づくりを「限られた字数の中で自分の思いを表現するのは難しい。でも、面白い」と話し、みんなに興味をもってもらえるよう文の構成を考えていた。また、オンライン交流会では、「いろんな学校の人と交流ができて楽しかった」「その学校の地元のことを知り、行ってみたくなった」と話すなど、日ごろできない体験に大きな刺激を受けていた。

 子どもたちは、言語力の育成はもちろん、地域取材をきっかけとした古里を愛する心の育成、他校の児童との交流によるコミュニケーション能力の向上など、非常に多くの力を培うことができたと感じている。

                      ◆

                                   豊田耕司・神戸市立有馬小学校教諭

 4小学校をつないで、合同新聞の製作とオンライン発表会をすることになり、有馬小学校の6年生が選んだテーマは「有馬川のホタルを守りたい」という内容であった。

 本校は30年にわたって、ホタルの飼育に取り組んでいて、毎年、近くの有馬川に放流している。そんな中、昨年、ホタルのすみかを奪う河川工事が始まった。子どもたちから「何とか生息地を守りたい」という声が上がり、ホタルを飼育していることを知ってもらうことで、観光地・有馬の整備とホタルが棲(す)める環境の両立についてみんなに考えてもらいたいという思いで、新聞づくりに取り組んだ。

 新聞づくりに当たっては、デスクやカメラマンなど子どもたちが役割分担をして主体的に進めることができたことも、各自の意欲を高めることにつながった。

 県内の小規模校の友達と意見交流する機会が持てたことも、子どもたちにとって大きな経験になったと感じている。また、他の小学校がそれぞれの地域を調べ、発表したニュースについて、とても興味深く聞くことができていた。

 今後、小規模校であることをメリットととらえ、オンラインのいっそうの活用など新たな交流の方法を模索したい。

                      ◆

                              栄羽麻里・養父市立宿南小学校教諭

 5年生は、兵庫で一番高い氷ノ山について調べ、記事にまとめた。関心を持ったのは、昨年9月の自然学校が契機になった。登山を前に標高や自然、頂上の様子を調べたことで、美しさや雄大さ、険しさを体感した。その感動をぜひ発信したいという思いで交流会に臨んだ。

   6年生は、宿南地区の先人で、江戸期の儒学者である池田草庵先生についてまとめた。草庵先生については3年生から学び、草庵先生が教えを説いた私塾「青谿(せいけい)書院」を訪ね、地域の方の話も聞いてきた。その体験から、各自が大切にしている草庵先生の教えを披露した。

 記事をまとめ、発表の練習を行う中で、児童に交流会を楽しみにする気持ちが生まれた。はっきりした目標を持つことで、一人一人が意欲的に臨めた。

 当日は堂々と発表できた。日ごろは少人数のため、声が小さいなどの課題がみられるが、この日は他校の児童を意識し、大きな声で、ゆっくり、はっきりと発表した。感想も一人一人がよく考え、他地域の環境や産業、歴史的建造物のすばらしさや発表方法の工夫についてしっかりと伝えることができた。

 児童は、県内にはさまざまな地域があり、特性を生かした取り組みが行われているのを知った。小規模校でもオンラインを使えば他校とつながり、見聞が広がることも実感した。来年度も4校で協力したい。

                      ◆

                             大下真季・淡路市立大町小学校教諭

 今回、このような「ふるさと新聞」の製作を通して、兵庫県内の4地区の小学校で交流することができ、担任、児童ともども、貴重な経験をさせてもらうことができた。

 事前に自己紹介する記事を選ぶときに、他地区に伝えるとしても、「淡路島」や「淡路市」というくくりではなく、主語が校区である「大町」であることも、担任としては大きな発見だった。子どもたちが、慣れ親しんだ地元の大町に愛着をもち、その良さを伝えたいという気持ちの強さをあらためて確認することができた。

 現在、コロナ禍で他校との交流が積極的にはできない中、小規模校である本校の児童たちにとって、オンラインを通じての他地区との交流は、新鮮で刺激的、かつ視野を広げられる、よいきっかけとなったようだ。

 自分たちが発表することだけでなく、発表に対して、他校の児童から質問を受けたり、感想をもらったりして、照れながらもとても喜んでいる児童の表情がとても印象的だった。

 一方的なものだけではなく、交流することで、子どもたちもやりがいや達成感を強く感じ、さらに自分たちのふるさとへの想いを強めていると感じた交流会だった。

※4小学校によるオンライン発表会の記事はこちら。

■神戸市立神陵台中学校(2月9日、対象・1年生102人) 共同通信神戸支局の浜田珠実記者が「情報の正しさ 見極めよう」と題して授業を行った。フェイクニュースの危険性や犯罪性を指摘し「情報発信は責任が伴う。違う意見の人に話を聞いたり、誰が言っているのか確認したりすることが大切」と強調した。

生徒の感想 01

生徒の感想 02

生徒の感想 03

■伊川谷高校(2月14日、対象・2年生39人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが阪神・淡路大震災の記憶と教訓を伝える授業を行った。震災当日、神戸・三宮にあった神戸新聞本社で宿直勤務だった体験を語り「27年前の大震災を知らない世代こそ、記憶を語り継いでほしい」と呼び掛けた。

生徒の感想 01

生徒の感想 02

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神戸新聞アドバイザーが講師に

 阪神・淡路大震災の記憶と教訓を伝える授業が2月14日、神戸市西区伊川谷町長坂の伊川谷高校であり、2年生39人が参加した。神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務め、「27年前の大震災を知らない世代こそ、記憶を語り継いでほしい」と呼び掛けた。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。生徒たちは、校内に展示された神戸新聞の災害写真を事前に見学した。

 三好アドバイザーは大震災の日、神戸・三宮にあった本社で宿直勤務だった。神戸新聞社は、震度7の激震で本社屋が壊滅したが、京都新聞の協力を得て新聞発行を続けた。三好アドバイザーは「新聞は『有事のライフライン』を果たす義務がある」と話し、「安全安心情報を繰り返し届けたり、読者を励ます記事を書いたりすることが大切」と強調した。

 また、今年は、1・17の追悼行事に大学生ボランティアの姿が目立ったことを挙げ、「記憶の継承は新たな段階に入った。あの日々のことを語り継ぎ、若い世代にバトンを渡したい」と話した。

 松村杏音(もね)さん(17)は「震災の記憶を体験していない世代に伝えることは大切だと思った。南海トラフ巨大地震にしっかり備えたい」、松下弘輝さん(17)は「小中学校での震災学習よりも『人間の無力さ』を感じた。よく覚えているのは東日本大震災だが、神戸で起きたことを語り継いでいきたい」と話していた。

[写真説明]神戸新聞本社、壊滅--。当日の様子を話す三好アドバイザー=伊川谷高校

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

 ※1月21日の小・中連携授業を担当した2人の先生にねらいや成果についてご寄稿いただきました。

                                廣畑彰久・愛徳学園中・高校教諭

 愛徳学園中・高等学校は、2020年度よりNIE実践指定校として活動を行い、21年度には、小中高合同のNIE研究会も発足しました。その最初の取り組みが、今回の小・中による連携授業です。

 本校の中学3年生は、修学旅行で広島を訪れます。21年度も、事前学習で被爆された方からお話を聞くことができたのですが、被爆者の高齢化が進み、記憶の継承が課題とされています。そこで、生徒に、平和学習の受け手に終わらず、主体的に発信する側の立場になってもらうのが、取り組みのねらいです。

 生徒の感想には「修学旅行を終えて時間がたち、忘れかけていた平和に対する関心が高まった」という意見が多く見られました。また、「小学生相手にわかりやすく伝えることに苦戦した」という意見も多く、コンテンツはもちろん、言葉選びやレイアウトに至るまで、彼女たちなりに工夫した跡がうかがえます。

 反省点は、準備の時間が十分でなかったこと、感染症対策や欠席者の対応でスムーズにいかなかったことです。平和学習の面では、修学旅行の体験から少し時間を空けて取り組むことで、失われつつあった生徒たちの関心を取り戻せたこと、表現について学習するという面では、年下を聞き手とすることで、生徒の意識が高まったことに大きな手応えを感じています。

                      ◆

                                 彦野周子・愛徳学園小学校教諭

 愛徳学園小学校と中・高等学校は同じ敷地内に隣接しているため、普段からさまざまな場面で交流が盛んです。

 本校のNIE研究会はそのような環境の下、中・高等学校が2020年度からNIE実践指定校になったことをきっかけに発足しました。

 今回、中学3年生は公民科、小学6年生は社会科の授業の一環として「連携平和学習」を行いました。

 小学校社会科の大きな目標は「平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を養う」ことです。そのため歴史的事象の意味を多角的に考え、深めることが必要となってきます。

 その手立てとして、戦争に関する複数の新聞記事を読み解き、内容や感想を共有することが効果的な学習方法だと考えました。しかし、第2次世界大戦について初めて学ぶことの多い小学生だけでは記事の内容を正しくとらえ、考えを深めるまで至るには難しい面がありました。

 そこで、中学生との連携学習という形をとりました。小学生は教科書や資料だけでは知り得なかったことを知り、中学生から「戦争を語り継ぐ」意味や大切さを伝えてもらうことによって、過去の戦争から学び、平和を守り、つくっていくとはどういうことなのか考える機会になったと思います。

※小・中連携授業の記事はこちら。

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「升田の里芋」の魅力を伝えようと壁新聞を作る児童たち=加古川市立東神吉小学校

 加古川市立東神吉小学校の3年生33人が、地元で採れる「升田の里芋」のキャラクター「里ねばちゃん」を作った。PRソングやアニメCM、グッズも作り、升田の里芋のおいしさをアピールしている。兵庫県NIE推進協議会が、キャラクターの作り方に始まり、キャラクターを選ぶ「総選挙」、里芋の魅力をPRする壁新聞作りまで関わった。

 里ねばちゃんは、里芋の大きな葉を傘のように広げ、かわいらしい小芋が二つくっついている。粘りがあっておいしいから「ねば~」が口癖だ。「ありがとねば~」「よろしくねば~」という風に使う。

 同校の西垣美由紀教諭から「里芋のゆるキャラ作りを教えてほしい」と推進協議会事務局に電話が入ったのは、昨年9月。里芋は同校の校区を中心に栽培され、作付面積は約1.7㌶に上る。やわらかな食感が人気だ。私も加古川市での記者経験があるので特産品なのは知っていた。

ゆるキャラの里ねばちゃん(東神吉小学校提供)

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 聞けば「子どもたちが地元農家にも取材した。いずれ里芋の魅力を伝える壁新聞も作りたい」という。「取材をもとにして、ゆるキャラを作る」「壁新聞も作る」のであれば、「これもNIE」と引き受けた。

 キャラクターの作り方の授業では、くまモンやひこにゃんなどの人気キャラを例に、「何をアピールするか考える」「目や表情に性格を反映させる」などを伝えた。キャラクターは児童33人全員が一つずつ考えた。「総選挙」は、同校教諭のほか、市教委やJAの職員らも(もちろん私も)投票し、昨年10月、一児童の作品を選んだ。名前や口癖もみんなで考え、「ねば~」が決めゼリフの「里ねばちゃん」が誕生した。

 さらに、児童たちは里ねばちゃんのポスターやのぼりを作り、学校近くにあるJAの直売所に掲示した。店内には、児童らが作詞したPRソングが流れている。

 2月2日、一連の取り組みや里芋の魅力を壁新聞にまとめる授業を行った。「『5W1H』はニュースの基本」「見出しで興味関心を引く」などを伝えた。

 昨年9月から続いてきた、私の授業もひとまずこの日で終わり。私が子どもたちに感じてほしかったのは「古里を大切に思う心」と、「みんなで取り組む喜び」だ。それと「新聞を作る楽しさ」も少し。5カ月間にわたる、楽しいNIEの取り組みとなった。

 児童の作った壁新聞はこちら。

 児童たちが作詞、西垣教諭が作曲したPRソング「♪ハッピー 里いも♪」の音源はこちら。

※「わたしの感想NIE」 に児童のみなさんの感想を掲載しています。感想はこちら。

                                   アニメCMのワンシーン

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2月10日)Screenshot 2022-02-02 11.37.06.png

■加古川市立東神吉小学校(2月2日、対象・3年生33人) 地元で採れる特産品「升田の里芋」のキャラクター「里ねばちゃん」を作った児童たちが、里芋の魅力を伝える壁新聞作りに取り組んだ。神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務め、記事の書き方や見出しのつけ方などを教えた。

児童の感想 01  児童の感想 02

 壁新聞ができたよ! 児童の感想はこちら。

感想 01  感想 02

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 NIE(教育に新聞を)の一環として、共同通信神戸支局の浜田珠実記者が2月9日、神戸市垂水区神陵台3の神陵台中学校で「情報の正しさ 見極めよう」と題した授業を行い、1年生102人が参加した。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。浜田記者は、2016年の熊本地震で「ライオンが放たれた」という誤った情報が被災地を混乱に陥れた出来事などを例に、フェイクニュースの危険性や犯罪性を指摘した。

 浜田記者は「誤解や勘違いから広がるデマもある」と話し、「情報発信には責任が伴う。違う意見の人に話を聞いたり、誰が言っているのか確認したりすることが大切」と強調した。

 授業を受けた吉村大志さん(13)は「会員制交流サイト(SNS)上のニュースは、真偽を見分けることが大事だと思った」、清水厚双(あつな)さん(13)は「記者には、正しい情報を届けるため頑張ってほしい」と話した。(三好正文)=10日付神戸新聞朝刊神戸版

[写真説明]「デマの拡散は社会の混乱を招く」と共同通信の浜田珠実記者が話した授業=神戸市垂水区神陵台3、神陵台中学校

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

 ■尼崎市立南武庫之荘中学校(1月26日、対象・2年生234人) 朝日新聞阪神支局の西見誠一支局長が「SNSといじめ」をテーマにリモートで講演した。ネットいじめは世界的な問題で、生徒たちは「言葉がとがりやすい」「いつまでも残る」などの特徴や、いじめの構造を新聞記事を参考にしながら考えた。

生徒の感想 01

生徒の感想 02

■愛徳学園小・中学校(1月21日、対象・中学3年生約30人、小学6年生17人) 中学3年生が「ヒロシマ」をテーマに作った新聞を通し、小学6年生に平和の尊さをオンラインで伝えた。同学園教諭でつくる「NIE研究会」の企画。生徒たちは、被爆76年となった広島への修学旅行の体験を新聞にまとめた。  

生徒の感想 01  生徒の感想 02  生徒の感想 03

児童の感想

兵庫NIEニュースを発行しました。第66・67合併号となる今回は、教員によるNIE研究会の活動やNIEアドバイザーの座談会のほか、2021年度の記者派遣事業、NIE兵庫セミナー、公開授業(発表)の様子などを紹介しています。

下記リンクからPDFファイルをご覧いただけます。

 NIEニュース(66・67号)・PDFファイルを開く

 姫路で実践を重ねてきたNIEアドバイザー3人に、子どもの力を伸ばす新聞活用術について語り合ってもらった。(本記は兵庫NIEニュース第66・67号に掲載)

 姫路市立豊富小中学校教頭 井上幸史さん
 姫路市立青山小学校教諭  万寿本寛之さん
 姫路市立朝日中学校教諭  佐伯奈津子さん
      (司会は石原丈知・兵庫県NIE推進協議会コーディネーター)

 NIE実践例の紹介を。

 万寿本 よくやっているのは、子どもたちが新聞記事をスクラップし、記事を要約するなどの取り組みだ。児童は社会の動きに興味を持つようになる。スクラップした記事を子ども同士が交換して見出しを考えたり、オンラインでつないで、5年生が3年生に見出しのつけ方を教えたりもした。子どもたちは新聞を通して主体的な学びができる。最近では、世界遺産になった「北海道・北東北の縄文遺跡群」について、新聞記事と教科書の解説を関連づけ、自分の意見をまとめた子どももいた。 

                                                                     万寿本教諭

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 また子ども新聞の閲覧場所を設け、そばに辞書や地球儀などを置いている。

 佐伯 前任校のときから週1回、新聞記事を題材にワークシートを作成し、10分間の「朝の学習」で使う取り組みを続けている。ある週はクイズ、ある週は書き写し。現在、クイズは教員が当番制で出題している。記事にグラフや表が付いている場合は、そこからクイズを出題し、記事の内容を読み取らせたりしている。

 最近のクイズでは、月食の影の部分の色は何色か、というのを出した。正解は「黒」ではなくて「赤銅色」で、家族で話題にした生徒がいた。生徒の新聞に対する関心が高まり、自宅でニュースを調べ直している子もいる。

 井上 これからNIEを始めてみようという先生にとって、お二人の事例発表がヒントになる。ワークシートは「朝の学習」で取り組むとよい。新聞の閲覧場所に辞書や地球儀を置けば、調べ学習できるようになる。ちょっとした工夫が大切だ。

 NIE活動は「新聞に親しむ」というより、情報をどう活用するかという視点でとらえたい。そこで、学校での新聞活用は、情報を専門としている空間である学校図書館や、各自に1台端末が与えられているICTの活用とどう連携を図るかがキーポイントになる。

 ―実践で工夫している点は。

 万寿本 新聞記事のスクラップは教師が中身を強制せず、まずは、子どもたちが興味関心のある分野の記事だけ切り抜いてもいい。阪神タイガースの記事ばかりでも、歴史の記事ばかりでもいい。記事を読むというより、最初は、むしろ「探す」。最初は面白い写真を探すことから始めてもいい。

 佐伯 私も前任校で、新聞の写真に着目し、季節ごとの美しい写真を切り抜いて掲示した。生徒が面白いと思う、楽しめる取り組みが必要では。今でも心に残る写真を教室に貼ったりしている。NIE活動は面白いと感じてもらうことが大切だ。

                                          佐伯教諭

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 井上 NIE実践校に指定されたら、新聞6紙が4カ月無償で届く。まず、新聞のある環境づくりを進めたい。さらに、実践者以外の先生にも関心を深めてもらうには、教科書で「新聞」「情報」が取り上げられるとき、記者の出前授業を紹介するなど、どんな機会を提供できるかもカギになる。

 ―今後のNIE展開は。

 万寿本 新聞記事をスマホで撮影し、グーグルメモに感想を書き込むとか、ICTを活用したスクラップなら、子どもたちはよりいっそう取り組みやすいのではないか。

 佐伯 フェイクニュースがはんらんする中で、情報の真偽を見抜く力が必要になっている。どこを見たら正しい情報にたどり着くのか、そういった教育も必要かと思う。

 井上 現在、アクセスできる情報量は膨大だが、SNSだけでは情報が偏りがちだ。NIE活動を通じ、取材をもとにした、多様な情報を入手できる新聞が見直されるべきだと思う。

   井上教頭 

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 3人のNIEアドバイザーに新聞活用の工夫を語っていただいた。長年の実践経験に裏打ちされたアドバイスは、これからNIEに取り組まれる先生方の参考になったのでは、と思う。

 万寿本先生や佐伯先生が言われるように、子どもたちの「好きな分野」「楽しめること」から始めることも、井上教頭先生が言われるように「子どもたちの立場に立った、ちょっとした工夫」も大切だと感じた。

 教育現場での新聞活用は、情報を見極める力や使う力を身に付け、自分の考えを広げていけることを再確認できた座談会だった。

                       兵庫県NIE推進協議会コーディネーター 石原丈知 

                                     

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神戸新聞アドバイザーが講師に

 兵庫教育大学付属中学校(加東市山国)の1、2年生14人が、国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」に関連した記事を選び、調べたことを新聞にまとめ、ポスターセッションで発表する。1月27日、同校で、記事選びを前にしたSDGsの学習会があり、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 三好アドバイザーは、コロナ後の社会について「災害・感染症対策に取り組む新産業が生まれたり企業の地方移転が進んだりするなど、SDGsに通じる『持続可能な復興』が進む」と予測。「気候変動対策やジェンダー平等の実現、飢餓や貧困の根絶などSDGsには17の目標がある。関心をもった目標を、自分に関わる問題としてとらえることが大事」と強調した。3月に発表会がある。

   また三好アドバイザーは、この日までに生徒たちが行った新聞の読み比べについて「細部まで読み込んでいる」と評価。「トップ記事が違うニュースなら、なぜ違うのか。各新聞社の価値判断の違いを考えてみよう」と呼び掛けた。

   1月19日付朝刊各紙「新型コロナ国内感染、初の3万人超え」の記事を読み比べたグループには「感染者は6万、7万と急増している。節目節目のコロナ報道を継続して読み比べてほしい」と話した。

[写真㊤]台風被害を報じたブロック紙や地方紙を読み比べる生徒たち=いずれも兵庫教育大付属中

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

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                     ◆

 続く授業では、生徒たちは新聞各紙から関心のある記事を選び、その内容がSDGsのどの目標に沿ったものかを考えた。

 蓄電池による再生可能エネルギーの安定供給や、個人の温室効果ガスの削減量の「見える化」、脱炭素のものづくりの記事を選んだ生徒は、SDGsの「気候変動に具体的な対策を」の目標達成に向けた課題は何かを考え、新聞を製作する。

 このほか、複数の生徒が、プラスチックごみの問題や、軍のクーデターから1年になるミャンマーに関するニュースを選んだ。ある生徒は、ミャンマーの治安を安定させることは、SDGsの「人と国の不平等をなくそう」「平和と公正をすべての人に」「質の高い教育をみんなに」の目標達成につながると考える。

                        ◆

 2月3日の授業では、三好アドバイザーが、そのニュースに対する賛成・反対意見を調べる▽例えば、プラスチックごみの問題解決に向け、各々の取り組みをどうシステム化できるか考える▽兵庫の取り組みはどうなのか、自分のこととして考える▽新聞作りでは、写真や図解を入れるなどビジュアル化を図る―などをアドバイスした。

[写真㊨㊤]脱炭素社会の実現、ミャンマー国軍クーデター1年、プラスチックごみ問題など、テーマ別に分かれ、選んだ記事について意見交換する生徒たち

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

                                                               ◆

 生徒たちは、神戸新聞社が開発したアプリ「ことまど」を活用し新聞を作る。

※アプリを使って新聞づくりを体験した授業の記事はこちら。

                        ◆

 2月22日の授業では、三好アドバイザーが、生徒一人一人にどんな仮見出しを考えているかを尋ねた。記事を書き出す前に仮見出しを考えると、前文(リード)が容易に書ける―と助言したほか、「SDGsという難しいテーマを扱うときこそ、やわらかい見出しも考えよう」と呼び掛けた。

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

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[写真㊨]SDGsの新聞作りは佳境に入った=2月24日

                       ◆  

 3月3日の授業では、新聞作りにあたって、取り上げた記事が、SDGsのどの目標に沿ったものかを見出しに取る▽目標達成に向け、「私ができることは何か」を書く、などを提案した。三好アドバイザーは「ウクライナ有事も海の向こうの戦争としてではなく、日本に関係のあること、自分のこととしてとらえることが大切」と話した。

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

                     ◆

 3月10日の発表会の記事はこちら。

 

 

兵庫教育大付属中学校(2月3日、対象・1、2年生14人) 脱炭素の取り組みや無国籍の子の増加など、生徒たちが「SDGs」に関連した記事を選び、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが、兵庫の取り組みや賛成・反対意見を調べるーなどを助言した。生徒たちは調査し新聞にまとめる。 

生徒の感想

2月10日 生徒の感想

2月22日 生徒の感想

3月3日 生徒の感想

■播磨特別支援学校(1月28日、対象・2年生6人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが阪神・淡路大震災をテーマに授業を行い、震災の日、宿直勤務だった体験を語った。障害者の災害対応について「仮設住宅のバリアフリー化や、広域避難の際の移動手段の確保が課題となる」と指摘した。 

生徒の感想

■愛徳学園中・高校(1月26日、対象・高校1~2年61人) 毎日新聞神戸支局の中田敦子記者が記事ができる過程をリモートで話した。医療用かつらの購入を補助する県の制度が、患者の居住地によっては使えないと指摘した自身の記事を題材に「弱い人の立場になって考えることを意識している」と語りかけた。 

生徒の感想