神戸新聞アドバイザーが講師に
兵庫教育大学付属中学校(加東市山国)の1、2年生14人が、国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」に関連した記事を選び、調べたことを新聞にまとめ、ポスターセッションで発表する。1月27日、同校で、記事選びを前にしたSDGsの学習会があり、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。
三好アドバイザーは、コロナ後の社会について「災害・感染症対策に取り組む新産業が生まれたり企業の地方移転が進んだりするなど、SDGsに通じる『持続可能な復興』が進む」と予測。「気候変動対策やジェンダー平等の実現、飢餓や貧困の根絶などSDGsには17の目標がある。関心をもった目標を、自分に関わる問題としてとらえることが大事」と強調した。3月に発表会がある。
また三好アドバイザーは、この日までに生徒たちが行った新聞の読み比べについて「細部まで読み込んでいる」と評価。「トップ記事が違うニュースなら、なぜ違うのか。各新聞社の価値判断の違いを考えてみよう」と呼び掛けた。
1月19日付朝刊各紙「新型コロナ国内感染、初の3万人超え」の記事を読み比べたグループには「感染者は6万、7万と急増している。節目節目のコロナ報道を継続して読み比べてほしい」と話した。
[写真㊤]台風被害を報じたブロック紙や地方紙を読み比べる生徒たち=いずれも兵庫教育大付属中
※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。
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続く授業では、生徒たちは新聞各紙から関心のある記事を選び、その内容がSDGsのどの目標に沿ったものかを考えた。
蓄電池による再生可能エネルギーの安定供給や、個人の温室効果ガスの削減量の「見える化」、脱炭素のものづくりの記事を選んだ生徒は、SDGsの「気候変動に具体的な対策を」の目標達成に向けた課題は何かを考え、新聞を製作する。
このほか、複数の生徒が、プラスチックごみの問題や、軍のクーデターから1年になるミャンマーに関するニュースを選んだ。ある生徒は、ミャンマーの治安を安定させることは、SDGsの「人と国の不平等をなくそう」「平和と公正をすべての人に」「質の高い教育をみんなに」の目標達成につながると考える。
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2月3日の授業では、三好アドバイザーが、そのニュースに対する賛成・反対意見を調べる▽例えば、プラスチックごみの問題解決に向け、各々の取り組みをどうシステム化できるか考える▽兵庫の取り組みはどうなのか、自分のこととして考える▽新聞作りでは、写真や図解を入れるなどビジュアル化を図る―などをアドバイスした。
[写真㊨㊤]脱炭素社会の実現、ミャンマー国軍クーデター1年、プラスチックごみ問題など、テーマ別に分かれ、選んだ記事について意見交換する生徒たち
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生徒たちは、神戸新聞社が開発したアプリ「ことまど」を活用し新聞を作る。
※アプリを使って新聞づくりを体験した授業の記事はこちら。
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2月22日の授業では、三好アドバイザーが、生徒一人一人にどんな仮見出しを考えているかを尋ねた。記事を書き出す前に仮見出しを考えると、前文(リード)が容易に書ける―と助言したほか、「SDGsという難しいテーマを扱うときこそ、やわらかい見出しも考えよう」と呼び掛けた。
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[写真㊨]SDGsの新聞作りは佳境に入った=2月24日
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3月3日の授業では、新聞作りにあたって、取り上げた記事が、SDGsのどの目標に沿ったものかを見出しに取る▽目標達成に向け、「私ができることは何か」を書く、などを提案した。三好アドバイザーは「ウクライナ有事も海の向こうの戦争としてではなく、日本に関係のあること、自分のこととしてとらえることが大切」と話した。
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3月10日の発表会の記事はこちら。