教員によるNIE実践

【寄稿】中学生が小学生に教える「ヒロシマ」 愛徳学園の取り組み

 ※1月21日の小・中連携授業を担当した2人の先生にねらいや成果についてご寄稿いただきました。

                                廣畑彰久・愛徳学園中・高校教諭

 愛徳学園中・高等学校は、2020年度よりNIE実践指定校として活動を行い、21年度には、小中高合同のNIE研究会も発足しました。その最初の取り組みが、今回の小・中による連携授業です。

 本校の中学3年生は、修学旅行で広島を訪れます。21年度も、事前学習で被爆された方からお話を聞くことができたのですが、被爆者の高齢化が進み、記憶の継承が課題とされています。そこで、生徒に、平和学習の受け手に終わらず、主体的に発信する側の立場になってもらうのが、取り組みのねらいです。

 生徒の感想には「修学旅行を終えて時間がたち、忘れかけていた平和に対する関心が高まった」という意見が多く見られました。また、「小学生相手にわかりやすく伝えることに苦戦した」という意見も多く、コンテンツはもちろん、言葉選びやレイアウトに至るまで、彼女たちなりに工夫した跡がうかがえます。

 反省点は、準備の時間が十分でなかったこと、感染症対策や欠席者の対応でスムーズにいかなかったことです。平和学習の面では、修学旅行の体験から少し時間を空けて取り組むことで、失われつつあった生徒たちの関心を取り戻せたこと、表現について学習するという面では、年下を聞き手とすることで、生徒の意識が高まったことに大きな手応えを感じています。

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                                 彦野周子・愛徳学園小学校教諭

 愛徳学園小学校と中・高等学校は同じ敷地内に隣接しているため、普段からさまざまな場面で交流が盛んです。

 本校のNIE研究会はそのような環境の下、中・高等学校が2020年度からNIE実践指定校になったことをきっかけに発足しました。

 今回、中学3年生は公民科、小学6年生は社会科の授業の一環として「連携平和学習」を行いました。

 小学校社会科の大きな目標は「平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を養う」ことです。そのため歴史的事象の意味を多角的に考え、深めることが必要となってきます。

 その手立てとして、戦争に関する複数の新聞記事を読み解き、内容や感想を共有することが効果的な学習方法だと考えました。しかし、第2次世界大戦について初めて学ぶことの多い小学生だけでは記事の内容を正しくとらえ、考えを深めるまで至るには難しい面がありました。

 そこで、中学生との連携学習という形をとりました。小学生は教科書や資料だけでは知り得なかったことを知り、中学生から「戦争を語り継ぐ」意味や大切さを伝えてもらうことによって、過去の戦争から学び、平和を守り、つくっていくとはどういうことなのか考える機会になったと思います。

※小・中連携授業の記事はこちら。