1月 6日 に掲載された記事

 東日本大震災で津波被害に遭った岩手県山田町の町立山田南小学校で児童の心のケアを担う徳山ほのか教諭(49)が5日、阪神・淡路大震災で被災した学校現場や児童の変化について学ぶため、兵庫県を訪れた。神戸、芦屋市で被災児童と向き合ってきた教師や、震災遺児らと懇談。児童に寄り添い、復興の道のりを歩む手がかりを探った。

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▲芦屋市の教師に、被災地の現状を伝える徳山さん(中央)=5日午後、芦屋市浜町、宮川小学校


 東日本大震災で津波被害に遭った岩手県山田町の町立山田南小学校で児童の心のケアを担う徳山ほのか教諭(49)が5日、阪神・淡路大震災で被災した学校現場や児童の変化について学ぶため、兵庫県を訪れた。神戸、芦屋市で被災児童と向き合ってきた教師や、震災遺児らと懇談。児童に寄り添い、復興の道のりを歩む手がかりを探った。


 山田南小は、震災で5年生の男児1人が亡くなり、教職員も3割が家を失った。兵庫県臨床心理士会のカウンセラーが同校を訪れた縁で徳山さんの兵庫入りが決まった。


 この日、徳山さんは芦屋市立宮川小で、被災児童を支えた教師3人と意見交換。津波を目撃した児童が3割近くいることや、仕事を失った保護者が多い現状を伝え、「子どもの心の変化が心配だ」と打ち明けた。


 教師3人は、震災の記憶や追悼の気持ちを児童と共有する重要性を強調。市立山手小の乾芳(かおり)教諭(53)は「亡くなった児童を思い出す場所を校内に設けては」、市立打出浜小の金川秀人教諭(51)は「震災を語り継ぐため、写真や文集を残して」と助言した。


 徳山さんは、意欲を失う児童が増えたことも報告。芦屋市立宮川小の瀧ノ内秀都(ひでと)教諭(48)は「学校を楽しい所と思える場にしてほしい」と提案した。


 その後、徳山さんは、阪神・淡路で母を亡くした神戸市長田区の女性(24)と会い、「支えは何だったか」と質問。女性は「高校で祖父母を亡くした同級生に会い、一人じゃないと思えた。助けを求める時期は人によって違う。必要な時に支える人がいることが大切」と伝えた。


 徳山さんは8日まで兵庫に滞在し、カウンセラーらに助言を求める。(宮本万里子)

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