
愛徳学園中学校(神戸市垂水区)の3年生が2月20日、同校で、平和学習の成果をまとめた新聞を使って、平和の大切さを同学園の小学生に伝える授業を行った。
新聞を教育に活用する「NIE」(教育に新聞を)の一環。生徒らは昨年9月、同校で、生後8か月の時に広島県で被爆した近藤紘子さん(80)に話を聞いた。10月には修学旅行で広島を訪れて戦争の記憶を継承する語り部を取材し、新聞にまとめた。
授業は中学3年生14人と、小学6年生18人が参加。生徒たちは、被爆し、亡くなった中学生の遺体の下にあった焼け焦げた弁当箱の写真を掲載した新聞を示し、「戦争のむごさを私たちが伝えていかないといけない」などと児童たちに伝えた。
講師役を務めた山道真子さん(15)は「取材して感じたことを児童にもわかるように文章にまとめるのは難しかったけど、真剣に読んでくれてうれしかった」と話していた。=21日付読売新聞朝刊神戸明石、阪神、三田、淡路、但馬の各版
[写真説明]新聞を通して児童(右)に平和の大切さを伝える生徒ら(神戸市垂水区で)
◆

愛徳学園中3年生 新聞作り原爆伝える 小学6年生に授業
広島の原爆被害をテーマに中学3年生が自作した新聞を使って、小学6年生に平和や日常の大切さを伝える授業が、愛徳学園中学校・高校と小学校(神戸市垂水区歌敷山3)であった。
NIE(教育に新聞を)活動の一環。同学園の中学3年生は昨年10月、修学旅行で広島を訪れた。事前学習として生後8カ月で被爆し、国内外で自身の体験などを伝えてきた近藤紘子さん(80)の話を聞いた。
新聞づくりは3学期から取り組んだ。原爆投下時に、中学1年生が持っていた弁当が真っ黒になったエピソードや、語り部の証言などを紹介した。
中学生は小学生に内容を解説。「戦争体験者は高齢で、私たちが語り継ぐことが大事」と語りかけた。
中学3年の山道眞子さん(15)は「真剣に話を聞いてくれて『一日一日大切にしたい』と受け止めてくれて良かった」。小学6年の山口愛実さん(12)は「普段、当たり前と思っていることがありがたいと感じた」と話した。
愛徳学園中学校・高校と小学校は今年7月31日~8月1日に神戸市である「第30回NIE全国大会神戸大会」で、取り組みを発表する。(長沢伸一)=27日付神戸新聞朝刊神戸版
[写真説明]自作の新聞を使って広島の原爆被害について小学生に説明する愛徳学園の中学3年生たち=神戸市垂水区歌敷山3
◆

新聞を使った平和教育 神戸市の愛徳学園小・中学校 NIE授業の一環で実施
修学旅行で訪れた広島で学んだ平和の意義を、中学生が新聞にまとめて小学生に伝える小中連携授業が2月20日、兵庫県神戸市垂水区の愛徳学園小・中学校で開かれた。同学園が続けているNIE授業の一環で、2回目の試み。
学園の中学3年生21人は昨年秋、修学旅行で広島市を訪れた。平和記念公園で広島平和記念資料館や原爆ドームなどを見学。原爆被害の資料を目の当たりにして平和への思いを強くしたという。
修学旅行後の授業では4グループに分かれ、核兵器の恐ろしさ、戦争について、平和の大切さなど議論を続けた。その結果や次の世代に伝えたいと思ったことを各グループが新聞にまとめた。兵庫県NIE推進協議会の三好正文事務局長が新聞製作を指導した。
完成した新聞はいずれも原爆ドーム、一瞬で溶けた鉄などの写真を使い、被ばくして亡くなった中学生が持っていた黒く焦げた弁当箱のこと、平和記念公園で34万4千人を超える原爆死没者の名が書かれた慰霊碑の話などを記事にした。また修学旅行の事前学習で招いた原爆の語り部から聞いた「2歳で被ばくし、12歳で白血病のため亡くなった少女」の話を紹介するなどしている。
そして小学生たちに「楽しみにしていたお母さんの弁当を食べられないまま亡くなった子がいた。いつものように『行ってきます』と家を出て被ばくした人がたくさんいた。家族や友達といられる一日一日を大切に過ごして」「同じ悲劇を繰り返さないために私たちが戦争のこと、広島のことを後の世代に残していくことがとても大切」などと記事で呼び掛けた。
連携授業には同学園小学校の6年生18人が参加。中学生がグループごとに分かれたテーブルを小学生が順に回りながら対面するかたちで進められた。中学生たちは新聞に込めた思いなどを直接小学生たちに話し、メモを取りながら話を聞いていた小学生たちは、「平和な日常は当たり前ではない」、「今でも原爆で苦しんでいる人がいる」など新聞を読み、話を聞いてわかったことや感想などを中学生たちに伝えていた。
教える側に立った中学3年の山道眞子さんは「イメージがふくらむように弁当箱の写真を使うなど工夫して新聞をつくったので、小学生が真剣に話を聞いてくれてよかった。見たことを文章にすることは難しかったが平和を伝えていくことは大切。積極的に声を上げて平和な世界をつくっていきたいと思います」と話した。
小学6年の山口愛実さんは、「白血病など後になっても亡くなる人がいて、核兵器は本当に存在してはいけないものだと分かった。私は直接戦争をとめることができないけれど、募金とか少しでもできることをしていきたい」と話していた。
小学生たちも今回学んだことを授業で新聞にまとめ、中学生たちに伝えるという。(伊藤周)=2月26日付新聞情報
[写真㊤]中学生がつくった新聞を題材に平和について話し合う小・中学生たち[写真㊦]中学生が作った新聞
※生徒たちが「ヒロシマ」をテーマに作った新聞はこちら
※授業を担当された愛徳学園中学校・廣畑彰久先生と愛徳学園小学校・彦野周子先生の寄稿(ねらいや感想)をこちら 児童生徒のみなさんの感想をこちらに掲載しています。
日本新聞協会NIEサイトにもリポートが掲載されています。リポートはこちら
.