教員によるNIE実践

姫路・豊富小中学校、朝に「NIEタイム」

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読む力 書く力、新聞で育む 児童ら「正確な言葉遣い分かった」

 兵庫県の代表的なNIE(教育に新聞を)活動校の一つ、姫路市立豊富小中学校(同市豊富町御蔭=児童生徒数550人)が、朝の時間などに継続して新聞を読む「NIEタイム」を全校で導入している。昨年の2学期から始め、教諭らは「活字に親しむことで児童生徒の読む力や書く力が育ってきた」と手応えを感じている。(兵庫県NIE推進協議会事務局長 三好正文)

 NIEタイムは日本新聞協会の関口修司NIEコーディネーターが2006年、東京都北区の小学校長時代に提唱、導入した。「隙間の時間で実践でき、学習効果も大きい」として、全国の小中高校に広がりをみせている。

 豊富小中は20年4月の開校時、「NIE推進」を目標に掲げ、多様な活動を展開。24年9月、全児童生徒が取り組めるものとして、NIEタイムを始めた。

 前期課程(小学校)は週1回、朝の学習の時間に新聞を活用。内容も低学年は新聞ちぎり遊び、授業で習った文字を探す、中学年は気になる記事を紹介し合う、高学年は記事を読み、肯定や否定の立場から意見を書く―など多彩だ。後期課程(中学生)は「NIE週間」を設け、集中的に記事の要約などを行っている。

 4月25日朝のNIEタイムでは、6年生78人が朝日小学生新聞のコラム「天声こども語」を5分間でどこまで書き写せるかを競った。1組の小坂颯介(そうすけ)さん(11)は「新聞を読むのが楽しい。正確な言葉遣いや正しい漢字が分かるようになった」。学習効果について、担任の前野翔大教諭(38)は「子どもたちに集中力や文をまとまりでとらえる力が育ってきている」と話す。

 関口コーディネーターは「NIEタイムの主役は子ども。『新聞は子どもには難しい』という先生はいるが、子どもはそう思っていない。新聞には子どもの興味関心が詰まっている。日常的に新聞に親しんでいるうちに、学び生きるためのさまざまな力が育つ。学校組織で取り組めばなおさら」と効果を話している。=5月30日付神戸新聞朝刊ひょうご総合面

[写真説明]子ども新聞のコラムを書き写す小学6年生たち=姫路市立豊富小中学校