社会貢献の大切さなど実感
新聞を教材として活用するNIE(教育に新聞を)活動に取り組む網干高校(姫路市網干区新在家)の生徒が、子どもらに無料で食事を提供する「子ども食堂」の運営にボランティアで参加している。子ども食堂の現状や役割を新聞記事で学びつつ、同区内の施設で子どもの面倒を見たり配膳を手伝ったりしている。月1回、子どもたちの居場所づくりに協力し、社会貢献の大切さを感じている。(辰巳直之)
同校は、日本新聞協会のNIE実践指定校。授業で、新聞やインターネットを使って地域防災を学習する。
生徒がボランティアで運営に当たるのは「ここぬかこども食堂」(同市網干区和久)。保育園や児童発達支援事業所を運営するNPO法人「ここ」と、社会福祉法人「姫路潮(うしお)会」が昨年夏から開き、来訪者全員に無償で食事を提供するとともに、高齢者も含めた多世代の交流拠点にもなっている。
ボランティアのきっかけは昨年11月、同校のNIE担当、佐々木浩二教諭(53)が通りすがりに同食堂を見つけ、見学したことだった。生徒たちに地域の課題や実情を知ってもらおうと、子ども食堂の関連記事を添えて参加を募った。
初めて生徒が参加したのは同12月。以降、保育や福祉などに興味がある生徒計約30人が手伝った。佐々木教諭は「校外でも学べることはたくさんある。実社会での経験は、将来の進路にも役立つだろう」と期待する。
4月28日には、網干高校生ら7人が参加。訪れた家族連れや高齢者にカレーライスを配り、屋外では子どもたちと遊んで交流した。
2回目の参加となった同校3年生の山口倖愛(ゆきな)さん(17)は「記事を読み、子ども食堂が地域交流の場になっていると知れた」。作業療法士を目指している3年加茂結菜さん(17)は「面識のない子どもや大人と会話できたのは貴重な経験。やりがいを感じられた」と目を輝かせた。
同校は今年夏、神戸市であるNIE全国大会で、地域防災をメインに、子ども食堂での活動についても発表する。=5月14日付神戸新聞朝刊姫路版
[写真説明]「子ども食堂」で配膳を手伝う網干高校の生徒(奥)ら=姫路市網干区和久