教員によるNIE実践

【寄稿】新聞記事を授業導入のきっかけに

高校公民科・公共での取り組み

 兵庫県高等学校(社会系教科)研究会が主催する「授業創り&考査作成 学びと悩み解決ワークショップ」が8月20日、神戸市・三宮で行われ、講師として参加した。

 この研究会は兵庫県の地歴・公民科教員を中心に運営されており、普段は月1回のオンライン勉強会や、同じく月1回ペースのオンライン読書会を行っている。年1回ペースで今回のような対面形式の会も開いており、今回は群馬から参加された先生をはじめ、県内外から46人の先生方が参加した。

 私は灘中学校・高校(神戸市東灘区)の池田拓也先生とともに「公共」の授業づくりを担当した。ワークショップでは、私が公共の導入部分を担当し、池田先生には探究的な学びへの接続部分を担当していただいた。

 私が紹介したのは、新聞記事を授業の導入に活用する方法だ。私が導入教材に選ぶ新聞記事のポイントは、①生徒の感性に訴える、②キャッチーな見出しがついている、③多面的にとらえられる、④価値判断をめぐって葛藤できる、といった要素が含まれている記事だ。

 具体的には、朝日新聞朝刊(2024年5月5日付)に掲載されていた「『女の子なんだから』浪人許されず」という記事を使った公共の授業を紹介した。この記事は、大学受験の際に姉には許されなかった浪人・県外受験が、弟には許されたという事例を伝えるもの。「大学進学をめぐるジェンダーバイアス」をテーマに生徒とともに考えた教材としてご紹介した。

 続いて、参加された先生方に7月31日付、8月1日付の朝日新聞、神戸新聞、読売新聞を実際にめくっていただき、「公共」の授業で使えそうな記事を探していただいた。先生方の目に留まったのは、「ふるさと納税最高1.2兆円」「最低賃金1100円超へ」などの記事だった。

 また「新聞広告から社会が見えてくるのではないか」という指摘された先生もいた。アンケートからは「2学期以降の授業作成に活かしたい」「手軽に面白い記事を見つけることができる」「新聞が学びのきっかけになる」といった感想が寄せられた。

 後半の灘中学校・高校の池田先生からは、新聞データベースを活用した授業の実践方法や、横浜市にあるニュースパーク(日本新聞博物館)からの貸し出しキットの案内、そして、公共での探究的な学びのための外部団体・組織との連携について説明があった。

 今後も新聞教材の活用法を考え、発信していきたい。

大石昇平(兵庫県立洲本高校教諭、日本新聞協会NIEアドバイザー)(9月8日)

[写真説明]新聞記事を授業の導入に活用する方法について発表があった=神戸市・三宮

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