2023年6月アーカイブ

神戸で7月6日、NIEセミナー 参加者を募集します

 NIE兵庫セミナーが7月6日、神戸ハーバーランドの神戸新聞本社で開かれます。兵庫県NIE推進協議会の主催。「わが校の『NIE活動』を紹介し合い、企画を磨く」と題した意見交換会では、参加者のみなさんに校種別に教育現場での新聞活用について語り合っていただきます。

 記者講演は、時事通信神戸総局の水島信総局長が「通信社から見たNIE(仮)」と題して話します。実践事例発表では、神戸市立白川小学校の長﨑康子校長▽姫路市立飾磨中部中学校の佐伯奈津子教諭▽愛徳学園高校の米田俊彦教諭が、記者の出前授業やNIE授業について紹介します。

 無料。午後2時~4時半。参加希望者は6月27日までにメールまたはファクスで申し込んでください。申込書はPDF案内またはWord版をクリックして取り出してください。同協議会事務局☎078・362・7054、ファクス078・362・7424 

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 学校教育現場で新聞の活用を進める「兵庫県NIE推進協議会」の総会が6月21日、神戸市内であり、新会長に竹内弘明神戸親和大教授(68)が就いた。総会では2023年度の実践指定校26校を内定。高校と特別支援学校が連携してNIE活動に取り組む新規事業などの事業計画と予算案を承認した。

 竹内会長は県立須磨友が丘高校(同市須磨区)、県立神戸高校(同市灘区)、親和中学・親和女子高校(同)で校長を歴任。就任あいさつで「新聞には書き手の熱い思いがつづられている。子どもたちが思いをしっかりと受け止め読み解くことで、社会や未来、人の心が見えてくる」とした。

 15年から8年間会長を務めた秋田久子前会長が22年度の活動を報告。顧問の藤原俊平県教育長と長田淳神戸市教育長は、教育現場での新聞活用の現状を報告し「新聞は、子どもたちが情報を正しく活用する力を身に付けるために有効な教材だ」と強調した。

 同協議会は学識経験者や県教育委員会、同市教育委員会、新聞社や通信社の代表者らで構成。実践指定校への記者派遣などを通じ、NIEの普及・支援に努めている。(安藤真子)=22日付神戸新聞朝刊ひょうご総合面

 実践指定校は次の通り。

 【日本新聞協会認定】〈小学校〉新規=神戸市立鶴甲、姫路市立網干西▽継続=神戸市立白川、神戸市立横尾、姫路市立大塩〈小中連携〉新規=姫路市立豊富〈中学校〉新規=神戸市立高倉、明石市立高丘、西宮市立浜脇▽継続=尼崎市立南武庫之荘、神戸市立丸山・西野分校、加古川市立加古川、南あわじ市・洲本市組合立広田〈中高連携〉新規=甲南〈高校〉新規=県立有馬、県立西宮、県立尼崎、県立三木北▽継続=県立伊川谷、県立須磨友が丘、県立加古川西、神戸市立葺合、神港学園、クラーク記念国際〈特別支援〉新規=県立のじぎく
 【県推進協認定】〈小学校〉新規=愛徳学園

[写真説明]就任あいさつで新聞の価値について語る竹内弘明会長=神戸市中央区栄町通1

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実践指定校 26校決まる 県NIE推進協議会 総会

 教育現場での新聞の活用に取り組む県NIE推進協議会の総会が6月21日、神戸市内で開かれた=写真。NIEを積極的に推進する、令和5年度の実践指定校には26校が決まった。また、中学校と大学・企業が連携してNIEに取り組むなどの新規事業計画を承認した。

 総会には、推進協議会を構成している県教委や神戸市教委、県内の小中高、新聞社・通信社の代表者らが参加。あいさつに立った長田淳神戸市教育長は「信頼性の高い情報が掲載されている新聞は良質な教材になる。今後もより一層、新聞を活用した教育を進めたい」と話した。

 5年度の実践指定校には、前年度から継続して指定される13校に加え、新規校12校、県NIE推進協議会が独自に認定した1校が決まった。日刊紙の提供を受けたり、記者派遣事業を利用したりしながら、NIEに取り組む。

 また、8年間会長職を務めた秋田久子会長が退任し、竹内弘明・神戸親和大教授が就任する人事も承認された。竹内新会長は「新聞には書き手の熱い思いがつづられている。その思いを子供たちが受け止めて読み解くことで、社会が見え、未来が見え、人の心が見えてくる。NIE活動をますます充実させていきたい」と述べた。=22日付産経新聞朝刊阪神・神戸版

                                                               ◆

新会長に竹内氏 県推進協  

 教育現場での新聞活用を進める県NIE推進協議会は6月21日、神戸市中央区の読売新聞神戸総局で総会を開き、新会長に竹内弘明・神戸親和大教授を選任した。竹内会長は「NIE活動によって、子どもたちは情報を活用して自分の問題として考え、発信する力が伸びていく」とあいさつした。

 総会では、2025年の全国大会神戸大会を見据え、NIE実践校が26 校になったことや、大学、企業と連携してNIE活動に新たに取り組むことなどが報告された。=22日付読売新聞朝刊神戸明石版             

■伊川谷高校(6月20日、対象・1年生30人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが「新聞の持つ表現力」をテーマに授業を行った。読者によく伝わるよう、記事は「5W1H」を押さえ「逆三角形」で書く▽写真はテーマに沿った材料を写し込む▽レイアウト上の禁じ手がある、などと説明した。

生徒の感想

230620ikawadanikoukou.jpg 記事の書き方から写真の撮り方、紙面レイアウトまで、新聞の持つ表現力を学ぶ授業が6月20日、神戸市西区伊川谷町長坂の伊川谷高校であり、1年生30人が参加した。神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。三好アドバイザーは「新聞の持つ多様な表現法は、より伝わりやすくする工夫」として、「記事は5W1Hを押さえ、初めに大事なことを書く『逆三角形』が基本スタイル」「写真は記念写真と違って、記事のテーマに沿った材料を写し込むのがポイント」などと具体例を挙げて説明した。

 レイアウト上の禁止事項として、飛びおりや飛びこえ、腹切り、なきわかれ―などを挙げ、「読者が読み間違えないように工夫している」と解説した。

 三好アドバイザーは「多様な表現法を使って『何を伝えるか』が大事。軍縮・平和問題や地球温暖化、感染症対策など、地球規模の課題解決に向け、若い人たちと手を携えたい」と話した。

 新聞の特長である網羅性や一覧性を知ってほしいと、この日の朝刊から「夏」を感じる記事を探すワークショップも行った。

[写真説明]新聞の表現法を学んだNIE授業=伊川谷高校

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

2022年度兵庫県NIE実践報告書をアップしました。左の「実践報告書」をクリックしてご覧ください。

■明石市立高丘中学校(6月15日、対象・2年生126人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。生徒たちは、就業体験「トライやる・ウィーク」で見聞きしたことを新聞にまとめよう―と「何を記事にしたいか」を考え、記事の書き方や見出しの付け方、紙面整理の要点を学んだ。

生徒の感想 01  生徒の感想 02

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神戸新聞アドバイザーが講師に

 就業体験「トライやる・ウィーク」で見聞きしたことを新聞にまとめるのを前に6月15日、明石市大久保町高丘5の高丘中学校で記事の書き方や紙面づくりのポイントを学ぶ授業があり、2年生126人が参加した。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。教室で新聞活用の取り組みを進めている。

 この日の授業は、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。生徒たちは6月5~9日、小学校や病院、郵便局、図書館、ファストフード店、ケーキ屋、ペットショップなど47事業所を訪問した。

 生徒たちはまず、「何を一番記事にしたいか」を30字以内でまとめ、数人ずつで「トライやる」で楽しかったことや苦労したことを意見交換した。小学校で就業体験した生徒は「先生の仕事は忙しんだなと思った」、別の生徒は「保育園で園児に囲まれて楽しかったけど、みんなに対応するのは大変だと感じた」と話した。

 三好アドバイザーは「記事を書き出す前に仮見出しを考え、テーマを意識しながら書き進めよう」と呼び掛けた。レイアウトでは「メリハリとバランスを意識して」「記事などは適量を心掛けたい」とアドバイス。「腹切り」「なきわかれ」など、レイアウト上の禁止事項についても説明した。

 実際の記事に見出しをつけるワークショップも行った。

[写真㊤]「何を記事するか」を30字以内でまとめる生徒たち=いずれも高丘中学校[写真㊦]「トライやる・ウィーク」の思い出を話し合う生徒たち

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。 230615takaokatyu2.JPG

※この「トライやる新聞づくり」の授業は、兵庫県NIE推進協議会がNIE(教育に新聞を)活動の一環として取り組んでいます。日本新聞協会NIEサイトにも「『トライやる』新聞をつくろう」としてリポートが掲載されています。リポートはこちら

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 2023年度は県NIE推進協の独自認定校として1校を指定する。抱負を紹介する。(敬称略)

正しい情報を選び、読み解く力を
【愛徳学園小】
        校長    眞浦由美子
        実践代表者 彦野 周子
 膨大な情報に誰もが簡単にアクセスできる現代社会において、正しい情報を選び、読み解く力を子どもたちに身につけさせたい。そのために低学年では、写真や見出しなどから社会で起こっているさまざま事象に興味をもつこと、高学年では新聞記事に書かれている内容の事実と意見を区別して読むことや複数の新聞を読み比べて多面的に物事を捉えることを大切にしたい。

 継続校に続いて、2023年度の新規NIE実践指定校の抱負を紹介する。(敬称略)

新聞を学びにつなげる
【神戸市立鶴甲小】
        校長    酒井 秀幸
        実践代表者 松下 真寛
 本年度よりNIE活動に参加するにあたり、学習指導要領で明記されている「主体的な学びに向かう力」の育成で、新聞がどのように学びにつなげられるのかを研究する。活字離れが叫ばれている昨今、子どもたちの主体的な学びに新聞が果たす役割を模索し、学習資料として新聞を効果的に活用して、子どもたちの「深く知りたい」という欲求に寄り添っていく。

「書く力」の向上図る
【姫路市立網干西小】
        校長    岡﨑 由佳
        実践代表者 北上 順公
 本校児童の課題「書く力」を向上させるため書くことへの抵抗感をなくし、考える力をつけたい。新聞を読んで感想を書いたり、意見を投稿したりして考えたことをアウトプットし、書くことに慣れさせる。それにより多様な考え方を受け入れ、新しい考えを身につけることで心豊かな児童の育成を図る。また、低学年は新聞にふれる機会を設け、社会に関心が持てるように進めていく。

情報活用能力を育成
【姫路市立豊富小中】
        校長      畑本 秀樹
        前期実践代表者 川村 かおり
        後期実践代表者 古寺 和子
 本校は本年度より、主体的・対話的で深い学びの基盤となる情報活用能力のさらなる育成を目指し、「情報活用能力ベーシック」のプロセスに基づいた探究的な学びを展開する方法を実践研究していく。ICTの活用だけでなく、NIEを通した言語能力、情報活用能力を育成する実践事例を蓄積していきたい。そして1~9年生の体系表を作成したいと考えている。

輝く心と力を育むNIE
【神戸市立高倉中】
        校長    赤松三菜子
        実践代表者 新山 大輔
 多くの情報が多様な手段で届けられる高度情報化社会の中で、生徒が新聞を活用した学習に取り組み、バランスの取れた情報を主体的に学び、仲間との対話により自分の考えを深めることは「生きる力」につながると考える。NIEの実践を通じて視野を広げ、時代を読み取る力やしなやかな心を醸成し、本年度の学校教育目標である「人として輝く心と力」を育みたい。

表現力、情報発信力を育成
【明石市立高丘中】
        校長    植垣 文夫
        実践代表者 三嶋祐貴子
 本校は毎日、各クラスに新聞が2紙ずつ配布され、生徒たちはそこからさまざまな情報を得、社会への関心を高めることができている。本年度は、朝読書の時間を通じて、自分が興味のある記事の感想を書いて廊下などに掲示したり、朝の集会で選んだ記事を各クラスの代表が発表したりという取り組みを予定している。それを通して、主体的な学び・探求を行い、自己表現力や情報発信力を身につけることを目指したい。

コミュニケーション力を育成
【西宮市立浜脇中】
        校長    佐々木 理
        実践代表者 野上 耕佑
 本校は社会科の授業でNIEノートを作成し、主体的に自分で記事を選び、その記事について感想を書いたり、提案・意見交流などを行ったりしている。新聞記事を通して、身の周りの事象に関心をもち、多面的・多角的に判断することで、自分の視野を広げ、考えを深めている。今後は、クラスメートとの対話の中で、さらなるコミュニケーション力の育成にも努めていきたい。

主体的な学びにつなげるNIE
【甲南高・中】
        校長    山内 守明
        実践代表者 足立 恵英
  一貫校である本校では、中高複数の学年・教科においてNIE活動を展開する。公民や総合的な学習においては、平和、環境など社会的事象への関心を惹起(じゃっき)し、公正で客観的な立場からの問題点の探究と、私見の構築、発表をおこない、以後の主体的な学びへとつなげていく。 国語科では言語技術的な側面から新聞を活用し、適切な文章構築の探究、表現力の向上を目指していく。

社会と自己とをつなぐNIE
【県立有馬高】
        校長     萩原 健吉
        実践代表者  中村可奈子
 本校は総合学科として、社会の諸問題と自己との関わりの中から課題を設定し、情報を集め活用しながら解決を目指す、探究的な活動に力を入れている。NIEを通じて、社会と自己とのつながりの理解に基づいた課題設定力、複数の資料を比較する資料活用力、適切な情報に基づいた解決策の提案力の育成を目指す。

課題解決へ探究力育てる
【県立西宮高】
        校長    楠田 俊夫
        実践代表者 河辺有希生
 本校の「総合的な探究の時間」の目標は、身の回りにある課題を見つけ、解決にむけて探究する力をつけることである。1年次ではSDGsの視点から地域・世界的な課題のつながりを新聞記事を通して発見し、まとめ・発表する活動を行っている。NIEを通して主体的に問題発見能力や資料活用能力の伸長を目指し、2年次からの探究活動に活かしている。

地域に貢献するNIE
【県立尼崎高】
        校長    水嶋 正稔
        実践代表者 平家 靖久
 本校は地域住民の強い要望から多額の寄付を得て創設された経緯があり、本年度で100周年を迎える。この節目となる時期に、新たな取り組みとしてNIE活動を進めることで、情報の宝庫である「新聞」という媒体を通じ、学びを地域貢献に活かしていきたい。また地域を越え、国際的な視野に立って足元から一歩ずつ行動できる人材を育成したい。

NIE×SDGs×総合的な探究
【県立三木北高】
        校長    田中 良季
        実践代表者 石田 武史
 本校はユネスコスクールの理念を教育活動の柱の一つとしている。全校生が取り組む、総合的な探究の時間では第1学年は「SDGsの理解」、第2・3学年は「体育・栄養」「国際異文化理解」「地域」「環境と科学」の4分野に分かれて「探究のプロセス」を重視した活動を行っている。これらの活動がNIEを活用し、さらに充実したものなること目指したい。

読む、書く、聞く、伝える力伸ばす
【県立のじぎく特別支援学校】
        校長    田邉 勝彦
        実践代表者 藤本 友美
 昨年度、地域のニュースを取り上げ、新聞に親しむ授業を行った。地域の記事を取り上げることで、意欲的に記事を読むことができた。また、伝える力を養うために、体験実習の様子を新聞にしてまとめた。本年度は交流校と連携して授業を行い、さらに「読む 書く 聞く 伝える」力を伸長したい。

 2023年度のNIE実践指定校全26校の校長と実践代表者から抱負が届いている。多様な取り組みが並ぶ。まずは、継続校から―。(敬称略)

主体的に行動する力育成
【神戸市立白川小】
        校長    長﨑 康子
        実践代表者 勝田 耕介
 子どもたちが自ら思考・判断し主体的に行動する力の育成を目指す。実践2年目となる本年度は、校内研修「聞く・話す・書く・読む力の育成」と関連させたい。記事の内容をまとめたり、相手に分かりやすく伝えたり、興味をもったことを探求したりする活動を継続していく。新聞を通して子どもたちの社会的事象への見方・考え方を育て、主体的な思考・判断につなげたい。

書く・話す力の向上図る
【神戸市立横尾小】
        校長    辻  丈治
        実践代表者 吉川 拓郎
 指定2年目を迎える本年度は、さらに新聞を身近なものに感じられるような環境整備に加え、教科を問わず、授業の中に新聞を活用できる場面を積極的に見いだし、意図的に取り入れていくようにしたい。そして、主体的に情報収集・活用・発信する子どもたちの姿を目指すとともに、本校の本年度の研修目標「書く・話す力の向上」の実現へとつなげていきたい。

全学年で「NIEタイム」
【姫路市立大塩小】
        校長    田中 彰子
        実践代表者 西沢  恵
 本校はNIE実践指定校2年目となる。前年度の活動では、高学年を中心に新聞に関心を持つ児童が増えたように思う。本年度は全学年で「新聞タイム」を設け、全児童が新聞に親しめる環境づくりを目指すとともに、子どもたちが自ら思考・判断し、主体的に行動する力を育てていきたい。


言語・情報活用能力育てる
【尼崎市立南武庫之荘中】
        校長    毛登山一郎
        実践代表者 中嶋  勝
 「新聞を活用し『言語能力・情報活用能力』の育成を図る」をテーマにして、前年度に引き続き国語科を中心にNIE活動に取り組む。1年生では主に新聞を読む機会を増やし、新聞に親しみながら、コラム写しを通じて文章力をつける。2、3年生では新聞ノートを使い、記事の要約や自分の意見をまとめ、記事を読んで知ったことを自分で調べ、主体的に学ぶ力を高めたい。

記事をほぐして伝える
【神戸市立丸山中西野分校】
             校長    林  竜弘 
         実践代表者 阿部 俊之
 本校は生徒の約8割が外国人の夜間中学校である。年齢・国籍・文化・宗教などの違いを互いに認め合い、日々の学習に取り組んでいる。昨年度は新聞記事に触れる方法を模索した。本年度は特に小学生新聞を用いて「記事をほぐして伝える」ことに挑戦したいと考えている。一人ひとりの生徒が新聞に興味・関心を持ち、言語力と社会に対する視野を広げることを目指す。

新聞から考え、新聞にまとめる
【加古川市立加古川中】
        校長     山本 照久
        実践代表者  小池      徹
 新聞記事を通してSDGsに注目しながら社会で起きている事象や課題にふれ、世の中の出来事に興味・関心を持たせたい。また、新聞から得た情報について自分の意見を持ち、生徒同士の意見交換を通して、より多様な考え方を知り、思考を深め、そのまとめを新聞という形に表したい。さらには、新聞活用により情報活用能力を高めさせたい。

自分ごととして捉え行動する
【南あわじ市・洲本市組合立広田中】
        校長    松下 哲也
        実践代表者 河野 真也
 本校は思考スキルの向上やキャリア教育の充実に取り組んでいる。世の中の出来事を「自分ごと」として捉え、課題解決に向けて行動できる生徒を育てたい。本年度は実践校2年目となり、教科を超えた実践の広がりと各社新聞記事の読み比べを通じ、さらに多様な価値観の育成や表現力の向上を図りたい。

やさしい日本語の実践的活用
【県立伊川谷高】
        校長    衣笠 正人
        実践代表者 福田 浩三
 「やさしい日本語」の学習を通して母語である日本語について見つめ直すとともに、平易な日本語で書かれた小学生新聞を活用して日本に在留する外国籍の人たちとの交流を図る中で、多文化共生時代における日本の役割について考えていく。本年度はNIE活動を「学ぶ」から「使う」に移行し、新聞の持つ表現力を他者との相互理解に活用する実践に取り組んでいく。

新聞を通して社会と自分を知る
【県立須磨友が丘高】
        校長    大久保 隆
        実践代表者 岩本 和也
 昨年度は、課題研究や各教科、朝読を通して新聞を活用した学習に取り組み、生徒は新聞に親しみを感じ、社会への関心を持つ機会をつくることができた。本年度も継続してこれらの活動に取り組み、特に公共などの授業での活用を発展させたい。また、近隣の横尾小学校との小高連携授業についても、昨年度の実践を踏まえて新たな取り組みができることを期待している。

新聞から「探究」を究める
【県立加古川西高】
        校長    魚井 和彦
        実践代表者 蓬莱 真吾
 2年目となる本年度は、昨年度よりさらに新聞に触れる機会を増やす。本校の特色クラスである国際市民類型では、新聞のコラムの英語版と日本語版を読ませる実践に取り組み始めた。また、探究の時間には、テーマ設定やテーマの裏付けとなる証拠・関連資料を集める際に新聞を活用する。2年生ではディベートを行うので、立論・反駁などの資料、データとして活用する。

探究のベースとしてNIE活動
【神戸市立葺合高】
        校長    森田 哲司
        実践代表者 高野 剛彦
 NIE実践指定校2年目となる本年度は、「探究のベースとしてのNIE」をテーマとする。「総合的な探究」「学校設定科目」「各教科・科目」での探究活動において、リサーチテーマ、記事の読解、データリソース、文章見本(レイアウトや表記)に新聞を活用することで探究能力の向上を図るとともに、"探究プラットフォーム"としての新聞の可能性を追求したい。

新聞を通し多様な力を養う
【神港学園高】
        校長    中野 憲二
        実践代表者 小樂﨑一基
 本年度は第2学年の朝の0校時を主に使用しNIEに取り組む。新聞を普段読まない生徒が多い中、さまざまな視点から新聞記事に触れさせていくことで知識・理解力・思考力・判断力・表現力・課題発見能力等、生徒の力を養う取り組みに臨みたい。また、教科とも連携した取り組みにも挑戦したいと考える。

使う・作る・伝えるNIE活動
【クラーク記念国際高】
        校長    片山 義弘
        実践代表者 井上 翔太
 本校では、特色である専攻の授業を中心に、新聞に〝触れる〟から、新聞を〝読む〟〝使う〟ことにつなげていく。さらに、新聞を〝作る〟を通して、メディアリテラシーや情報を〝伝える〟力を育んでいきたい。自分の興味・関心の種を拾い集め、社会の課題を自分ごととして捉えられるように、主体的・共同的な学びとともにNIE活動を進めていきたい。

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神戸新聞アドバイザーが講師に

 今年6月の就業体験「トライやる・ウィーク」で見聞したことを新聞にしようーと5月23日、加古川市加古川町備後の加古川中学校で、取材やインタビューのコツを学ぶ授業があり、2年生295人が参加した。神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 生徒たちは6月5~9日、美容室や飲食店、介護施設、電器店などで働く予定で、「釣具店で釣竿2本は売りたい」「記者に興味があり、新聞社を訪問するのが楽しみ」などと抱負を語った。

 三好アドバイザーは、取材の仕方について、「5W1H」を押さえる▽ある程度下調べしておく▽具体的に質問する▽情景描写や自分が感じたこともメモしておくーなどとアドバイス。生徒たちに「訪問先では敬意をもって話を聞こう」「『トライやる』を夢を見つけるきっかけにしよう」と呼びかけた。

 生徒たちは次回6月14日、三好アドバイザーから新聞づくりのノウハウを学ぶ予定。

[写真説明]訪問先のどんなところに関心があるか話し合う生徒たち=加古川中学校

                   ◆

 生徒たちは「トライやる・ウィーク」の体験を新聞にまとめるのを前に6月14日、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーから新聞づくりのポイントを教わった。

まず、「何を一番記事にしたいか」を30字以内でまとめ、数人ずつで意見交換。小学校で就業体験した生徒は「児童にどう教えたらいいか、大変な仕事だと感じた」と話した。

 三好アドバイザーは、記事の書き方について「正確に書くとは具体的に書くこと」と強調。「主語と述語を近づけることや、マンネリ表現を避けることも大切」と話した。レイアアウトでは「メリハリとバランスを考えよう」と呼び掛け、「紙面中央に写真や絵を置くと、紙面が引き締まる」「横見出しや横書き記事を入れると視覚効果がある」などとアドバイスした。

 記事に見出しを付けるワークショップも行った。

[写真説明]「トライやる・ウィーク」で楽しかったことや苦労したことを話し合う生徒たち=加古川中学校

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※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

※この「トライやる新聞づくり」の授業は、兵庫県NIE推進協議会がNIE(教育に新聞を)活動の一環として取り組んでいます。日本新聞協会NIEサイトにも「『トライやる』新聞をつくろう」としてリポートが掲載されています。リポートはこちら

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■専修学校クラーク高等学院芦屋校(5月30日、対象・3年生4人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。生徒たちが職業実習の体験を新聞にまとめるのに役立ててもらおうと、記事の書き方やレイアウトのポイントを説明した。記事に見出しを付けるワークショップも行った。

生徒の感想

230530kura-kuasiyakou.JPG神戸新聞アドバイザーが講師に

 職業実習の体験を新聞にまとめる授業が、芦屋市上宮川町の専修学校クラーク高等学院芦屋校であり、3年生4人が参加した。同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 生徒たちは老人ホームや保育園などで実習。三好アドバイザーは、記事は5W1Hを押さえ具体的に書く▽レイアウトでは真ん中に写真を置くと紙面が引き締まる▽記事と写真は詰め込みすぎず適量を心がける―などとアドバイス。記事に見出しを付けるワークショップもあった。

 受講した生徒は「他の人と違う、特徴ある新聞になるよう工夫したい」などと話した。=6月6日付神戸新聞朝刊阪神版

[写真説明]紙面づくりを学ぶ生徒たち=芦屋市上宮川町

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

 日本新聞協会が任命するNIEアドバイザーに2023年度から、姫路市立豊富小中学校(前期課程)の川村かおり教諭▽尼崎市立南武庫之荘中学校の中嶋勝教諭▽西宮市立浜脇中学校の西村哲教諭▽県立伊川谷高校の福田浩三教諭▽愛徳学園高校の米田俊彦教諭―の5人にご就任いただいた。NIEの実践豊かな教諭として、兵庫県NIE推進協議会が新聞協会に推薦した。5人の先生に抱負を寄せていただいた。

                               ※NIEアドバイザーの名簿はこちら。

新聞を「つくる」「つかう」が未来を拓く 姫路市立豊富小中学校(前期課程)教諭 川村かおり 

 NIEアドバイザーに就任した川村です。令和2年度に義務教育学校として開校した姫路市立豊富小中学校の前期課程の教員として働いています。「新聞を『つくる』と『つかう』が未来を拓く」をテーマに、さまざざまな取り組みを行ってきました。本校はICTを活用した実践にも力を入れており、新聞とICTが当たり前にある風景を子どもたちとつくる取り組みを行ってきました。まわしよみみ新聞や新聞製作アプリ「ことまど」を使った新聞づくりなどを中心に、子どもたちが楽しみながら取り組める活動をしてきましたが、今後はさらにNIE教育を通した言語能力・情報活用能力を育成する実践を行い、義務教育学校として9年間を網羅した事例を蓄積し、発信していきたいと考えています。

NIE活動の裾野を広げたい 尼崎市立南武庫之荘中学校教諭 中嶋  勝

 「あっ、オレもやってみたいな亅
 新任間もないこ頃、神戸大学附属住吉中学校で、遠藤瑛子先生の新聞を使った授業内容を聞いてそう感じました。教員になりたての私も生徒が意欲的に取り組むそのような授業をしたいと思い、新聞を使い始めました。後年、NIE実践校に指定されてからは、選んだ記事について班で討論したり、調べてきたことを発表したりすることを継続的に行ってきました。
 未来を担う生徒たちには、ネットだけでは決して得ることができない、世の中の事象に関心を持ち、多様な意見に耳を傾け、互いの価値観を共有しながら、自分の意見を持てる人に成長してほしいと願っているからです。
 今、学校現場は課題が山積し、教員は多忙を極めており、授業研究に取り組む余裕すらありませんが、生きた教材を使うNIE活動の裾野を少しでも広げていきたいと考えています。

生徒の探究心伸ばすNIEを 西宮市立浜脇中学校教諭 西村 哲

 NIEという語句を知らなかった平成のころ、中3社会での内閣の単元。当時の小泉内閣総理大臣に中学生に手紙を送らせようという授業を考えた。最近の新聞記事を持ち寄って、中学生の意見を書こうということにして、総理に送った。いま思えばこれが私の初めてのNIE。それから10年以上たったある年、NIEを社会科授業で挑戦することとなった。今回は、毎時間1人ずつ、気になる記事を発表してクラスで共有している。発表5分、質疑応答5分、記事の共有と意見記述5分の合計15分。記事を共有するとき、僕が記事を持って机の間をまわるのだが、この時、生徒達が身を乗り出して記事を読もうとする、あの瞬間がなんとも言えず心地よい。そんな出来事があったんだという素直な驚き、テレビで見たあの事件の真相は何なんだろうという探究心、今年もNIEがとても楽しみだ。

新聞の持つ表現力を活用 県立伊川谷高校教諭 福田 浩三

 新聞好きが高じて生徒や保護者との交流に活用するための校内発行新聞を発行し始めて11年がたちました。事実を伝えるだけでなく、「どうすれば読んでもらえるか」「どのような表現だと相手に楽しく伝わるか」など、新聞を通し研究してきました。
 このたび、NIEアドバイザーという役割を与えていただき、今まで蓄積してきた「新聞の持つ表現力」をより幅広く伝えていくことが可能となり、うれしく思う限りです。
 新聞は文字と写真だけで事実を正確に伝えます。この手法こそが今のSNSに慣れた世代にとって学び活用すべきものです。「はがき新聞作り」や「やさしい日本語」を中心とする教育実践により、生徒や若い世代の教育者に母語である日本語の素晴らしさを伝えていきたいと考えます。この活動の輪を今後も広く大きくと願います。

新聞の役割を問い直すとき 愛徳学園高校教諭 米田 俊彦

 インターネットの高速化やデジタル化により、私たちは日々、高速、大量の情報の中でつながりを持ち、極めて便利になった社会で生きている。その中で、紙を用いて、人の手によって配達され、必ずしも高速ではない「新聞」と言うメディアの役割が、改めて大切になっている。
 新聞は、人によって集めた情報を、時間をかけ、エビデンスに基づいて取捨選択された、実際に触れることができる実感のあるメディアである。
 時に今、これまでとは次元を異にするさまざまなAIが登場し、新たな地平を開きつつある。また戦争や紛争、地球レベルでの環境の変化や、さらには少子化や物価高など多くの課題や問題に直面しつつ毎日を生きている。そんな時代を知り、未来を見通し、考える確かなツールとして新聞を活用した授業に微力ながら取り組んでいきたい。