2023年5月アーカイブ

■西宮市立浜脇中学校(5月26日、対象・2年生12人) 神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。生徒たちは「好きなもの」をテーマに互いにインタビューして紙面化したり、この日の朝刊から気になる記事を選んで疑問点を調べたりした。新聞の読み方や記者の仕事についても学んだ。

生徒の感想 

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神戸新聞アドバイザーが講師に

 お互いにインタビューして記事を書いたり、新聞記事を使って調べ学習したりするNIE授業が5月26日、西宮市宮前町3の浜脇中学校であり、2年生12人が参加した。神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。三好アドバイザーはインタビュー時に大切にしたいこととして、具体的に聞く▽過去・現在・未来について聞く▽相手のリズムに合わせる―などのポイントを挙げた。写真撮影では、テーマに関連した光景や小道具を写し込む―などを勧めた。

 続いて、生徒たちが「好きなもの」をテーマにインタビューし合い、日本史やICT、ゲーム「太鼓の達人」などが上がった。聞き手の生徒は「なぜ、それが好きなのか」と尋ね、メモを取り、話している途中の写真もしっかり押さえた。それぞれA3判の用紙に記事を書き、紙面を仕上げた。

 記事を使った調べ学習では、この日の神戸新聞朝刊から気になる記事を切り抜いて用紙に貼り付け、周りにネットで調べたことや感想を書き込んでいった。長野県中野市の猟銃立てこもり事件を選んだ生徒が目立った。

 三好アドバイザーは「関心をもった新聞記事を身近なことと関連づけたり、疑問点を調べたりして『深読み』しよう」と呼び掛けた。

[写真説明]インタビュー新聞を製作する生徒たち=浜脇中学校

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

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 兵庫県NIE推進協議会が2022年度、県内のNIE実践指定校の全24校で行った記者の出前授業が、過去最多の延べ40回に達した。すでに23年度の出前授業も始まり、同協議会は新聞を身近に感じ、情報の価値を再認識してもらう授業にいっそう力を入れる。

 出前授業には兵庫に取材拠点を置く新聞・通信計8社が記者を派遣する。派遣先のNIE実践指定校には小中高と小中・中高一貫校、特別支援学校が参加。外国籍の生徒が多く、NIEへの参加が珍しい夜間中学も含まれている。

 22年度は授業テーマが多岐にわたった。記者の仕事や新聞の読み方、記事の書き方、新聞製作の実践のほか、新型コロナウイルス禍やウクライナ危機、成人年齢の18歳への引き下げといったニュースを反映し、有事における情報の読み方、主権者教育と選挙報道なども目立った。

 高校では「総合的な探究の時間」の一環として、新聞を使った調べ学習や世論調査の意義、裏付けの大切さを学ぶ授業も行われた。

 この1年、授業を受けた児童・生徒から寄せられた感想は延べ約2200人に上り、同協議会サイトのコーナー「わたしの感想NIE」で紹介している。

 産経新聞記者らが授業を行った神戸市立白川小学校(同市須磨区)の長崎康子校長は「出前授業は、担当教師と記者の方が共につくり上げる授業。ねらいを共有するため、事前打ち合わせが非常に大切」と話している。

(兵庫県NIE推進協議会事務局長 三好正文)(2023年5月19日)

[写真説明]共同通信神戸支局の斉藤奏子記者の話を聞く生徒たち=2022年12月12日、尼崎市立南武庫之荘中学校

 県NIE推進協議会会員の新聞・通信社で人事異動があり、神戸新聞報道部長が小山優さんから小森準平さんに、毎日新聞神戸支局長が石川隆宣さんから岸桂子さんに交代した。人となりを自己紹介でー。

神戸新聞報道部長 小森 準平

新聞ができることは

 4年ぶりに編集部門に戻りました。外に出ていろんな方々とお会いし、話をできる機会が増えて、毎日ワクワクしています。

 神戸で生まれ育ちました。教職の道に進んだ同級生も割に多く、毎年春に兵庫県教委、神戸市教委が発表する「先生の異動」名簿の掲載紙面を隅から隅までチェックするのがひそかな楽しみです。50代半ばとなり、校長や教頭などとして活躍している旧友の名前を見つけるとうれしくなります。教えを受けた先生方はほとんど「卒業」されてしまいましたが...。

 小学校で水泳、中学校でバレーボール、高校・大学でラグビーと、ずっとスポーツに親しんできたため、自分や友人の戦績が新聞で紹介されることが何よりの励みでした。知らず知らずのうちに読むようになった新聞が、身近な地域のこと、この国のこと、世界のことを、ごく自然に教えてくれました。デジタル全盛の時代ですが、これからも児童・生徒、教職員の皆さんの日常にそっと寄り添う存在であり続けたいと願っています。

 ネット空間に玉石混交のニュースがあふれる中、次代を担う子どもたちには、正しい情報を選び取るスキルが不可欠です。そのために新聞ができることは何か。NIEの活動を通じて、学校現場の皆さんと一緒に考えていければ幸いです。よろしくお願いいたします。

毎日新聞神戸支局長 岸 桂子

兵庫との縁 かみしめて

 5月1日付で着任しました。1994年入社で初任地以来、2度目の神戸支局勤務です。姫路支局相生通信部、阪神支局にも在籍しました。全国紙記者なのに支局ライフは兵庫県だけ。神戸の街歩きをしたりひょうご五国の地図を眺めたりしては、ご縁の強さを感じ喜びをかみしめている毎日です。兵庫以外では、大阪・東京の両本社で美術を中心に文化芸術を長く担当してきました。

 新聞の立ち位置が激変しようとしています。若い世代では興味ある情報にしかアクセスしない傾向が強まる中、新聞が発信する正確で社会情勢を示す情報のために、どこまでお金を払っていただけるのか。私たちの姿勢こそ問われていると痛感します。

 10代に正確性とか多様性とかもっともらしい単語を振りかざしても意味がないでしょう。「新聞には多様な情報が詰まっていて、知らないことを教えてくれる」と感じてもらえることが必要なのだと思います。NIEの役割も一層大きくなるのかもしれません。どうぞよろしくお願い申し上げます。