■西宮市立浜脇中学校(2月26日、対象・2年生248人) 産経新聞大阪本社編集局の岸本佳子夕刊編集長と神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが「阪神・淡路大震災30年」をテーマに授業を行った。ともに当時、被災地で取材した体験を伝え、備えることの大切さを強調した。
2025年2月アーカイブ
教育現場において新聞を活用する「NIE」活動の一環として、西宮市宮前町の市立浜脇中学校で2月26日、神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーと産経新聞大阪本社編集局の岸本佳子夕刊編集長が、「阪神淡路大震災年」をテーマに授業を行い、参加した2年生約250人が聞き入った。
三好アドバイザーは、平成7年1月17日に起きた大地震に関し、当時の新聞をスクリーンに映し出して状況を説明した。当日は全壊した神戸新聞本社で勤務中。自身も危険にさらされた経験談を交え、「後世の人が次の災害に備えられるよう、震災の記憶、教訓のバトンをつないでいってほしい」と呼びかけた。
岸本編集長は昨年の元日に起きた能登半島地震に触れ、「避難所の惨状が30年前とあまり変わっていないことに愕然(がくせん)とした」と阪神淡路大震災の教訓が生かされていない点を指摘。「神戸などで起きたことを報道し続け、各地で起こる災害に生かせるようにすることが重要」と強調した。
授業を受けた金子まゆさん(14)は「貴重なお話ばかりで『南海トラフ(巨大地震)』など、これから起こる大きな地震に備えなければいけないと思った」と振り返った。=27日付産経新聞朝刊阪神・神戸、播州、淡路、但丹版
[写真説明]「阪神淡路大震災30年」をテーマに授業を行う岸本佳子夕刊編集長(左)と三好正文シニアアドバイザー=西宮市立浜脇中学校
※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。
※2024年度、兵庫県NIE推進協議会が行った震災授業はこちら
県NIE推進協議会会員の新聞・通信社で人事異動があり、共同通信神戸総局長が高橋正也さんから大熊慶洋(のぶひろ)さんに交代した。人となりを自己紹介で―。
共同通信社神戸支局長 大熊 慶洋
変わらないメディアの役割
2月16日付で神戸に着任しました。1991年に入社し、地方勤務を経て国際ニュースを扱う外信部に配属。タイ、ベトナムに特派員として駐在するなど、主に東南アジアをカバーしてきました。直近は日本などのニュースを英文で世界に発信する海外部で勤務していました。
神戸とのご縁は、95年の阪神大震災の応援取材で短期間滞在したほか、大阪社会部のデスクだった10年ほど前に観光で訪れたくらいです。大きなニュース、見どころのいずれも多い兵庫県で勤務できることをありがたく思っています。
前任地の海外部では、中高生対象のNIEコンテンツである「英語子ども新聞」の配信にも関わりました。掲載新聞社を通した読者の反響も大きく、責任を感じたものです。ネット上で真偽入り交じる情報が飛び交う中、若い読者が情報を正しく判断する力を養う上で、NIEの果たす役割は大きいと思っています。
通勤ラッシュに苦しんだ東京と違い、神戸では通勤電車の中でも新聞紙面を広げることができるのはありがたいですが、車内を見てもそのような人があまりいないことに、時代の移り変わりを感じます。ただ媒体は替わっても、ニュースを正確、迅速かつバランス良く届ける新聞などのメディアの役割の重要性は変わらないと信じています。
■神戸市立有野中学校(1月31日、対象・2年生191人) 沖縄へ修学旅行に行く生徒たちに、神戸新聞報道部の津谷治英記者と兵庫県NIE推進協議会の三好正文事務局長が、沖縄戦の実相や平和の尊さを伝える授業を行った。神戸出身の島田叡沖縄県知事(当時)が住民保護に尽くしたことにも触れた。
愛徳学園中学校(神戸市垂水区)の3年生が2月20日、同校で、平和学習の成果をまとめた新聞を使って、平和の大切さを同学園の小学生に伝える授業を行った。
新聞を教育に活用する「NIE」(教育に新聞を)の一環。生徒らは昨年9月、同校で、生後8か月の時に広島県で被爆した近藤紘子さん(80)に話を聞いた。10月には修学旅行で広島を訪れて戦争の記憶を継承する語り部を取材し、新聞にまとめた。
授業は中学3年生14人と、小学6年生18人が参加。生徒たちは、被爆し、亡くなった中学生の遺体の下にあった焼け焦げた弁当箱の写真を掲載した新聞を示し、「戦争のむごさを私たちが伝えていかないといけない」などと児童たちに伝えた。
講師役を務めた山道真子さん(15)は「取材して感じたことを児童にもわかるように文章にまとめるのは難しかったけど、真剣に読んでくれてうれしかった」と話していた。=21日付読売新聞朝刊神戸明石、阪神、三田、淡路、但馬の各版
[写真説明]新聞を通して児童(右)に平和の大切さを伝える生徒ら(神戸市垂水区で)
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愛徳学園中3年生 新聞作り原爆伝える 小学6年生に授業
広島の原爆被害をテーマに中学3年生が自作した新聞を使って、小学6年生に平和や日常の大切さを伝える授業が、愛徳学園中学校・高校と小学校(神戸市垂水区歌敷山3)であった。
NIE(教育に新聞を)活動の一環。同学園の中学3年生は昨年10月、修学旅行で広島を訪れた。事前学習として生後8カ月で被爆し、国内外で自身の体験などを伝えてきた近藤紘子さん(80)の話を聞いた。
新聞づくりは3学期から取り組んだ。原爆投下時に、中学1年生が持っていた弁当が真っ黒になったエピソードや、語り部の証言などを紹介した。
中学生は小学生に内容を解説。「戦争体験者は高齢で、私たちが語り継ぐことが大事」と語りかけた。
中学3年の山道眞子さん(15)は「真剣に話を聞いてくれて『一日一日大切にしたい』と受け止めてくれて良かった」。小学6年の山口愛実さん(12)は「普段、当たり前と思っていることがありがたいと感じた」と話した。
愛徳学園中学校・高校と小学校は今年7月31日~8月1日に神戸市である「第30回NIE全国大会神戸大会」で、取り組みを発表する。(長沢伸一)=27日付神戸新聞朝刊神戸版
[写真説明]自作の新聞を使って広島の原爆被害について小学生に説明する愛徳学園の中学3年生たち=神戸市垂水区歌敷山3
※生徒たちが「ヒロシマ」をテーマに作った新聞はこちら
※授業を担当された愛徳学園中学校・廣畑彰久先生と愛徳学園小学校・彦野周子先生の寄稿(ねらいや感想)をこちら 児童生徒のみなさんの感想をこちらに掲載しています。
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※2月20日の小・中連携授業を担当した先生たちにねらいや成果についてご寄稿いただきました。
愛徳学園中学校・廣畑彰久教諭
本校の中学3年生は修学旅行で広島を訪れる。事前学習では、被爆された語り部の方からお話を聞くというプログラムを実施しているが、被爆者の方の高齢化が進み、記憶の継承が課題とされている。そこで、生徒に平和を積極的に発信する経験をしてもらう、というのがこの取り組みのねらいである。
限られた時間の中で、自分たちの思いをまとめるのは、難しい作業である。しかし、紙幅が限られているので伝える内容を焦点化できること、言葉で表現しきれない場合は写真を掲載することで表現を補えること、読み手の存在を意識して表現できること、このあたりに新聞というツールを用いたメリットがあったように思う。
どのように小学生に伝わったかは、これから検証をしていかなければならない。しかし生徒たちは、教員側が思っていた以上の熱量を交流の時間に発揮してくれたと感じている。
くしくもマスメディアの役割が問われる昨今、自分たちが体験したことを記事にして読んでもらうという体験の意味を、生徒たちにはぜひかみしめてほしい。
愛徳学園小学校・彦野周子教諭
本学園では3年前から、中学3年生が修学旅行で広島平和記念資料館を訪れたり、被爆被害を受けた方から話をうかがったりして、学んだことや感じたことを新聞にまとめ、小学6年生に伝える学習に取り組んできた。今回、講師として話を伝えた中学3年生は、3年前に小学6年生として当時の中学3年生から話を聞いた学年だ。
3年前の交流で、普段の授業や調べ学習だけではつかみ取れない被爆者の方の願いや市井の人々の被害の実態などを、現地を訪れ実際に話をきいた生徒たちから学べたことはとても意義があった。しかし、受け手である児童がそこから自分の考えを深め、発信するということができていなかった。
今回は、交流を通して学んだことや考えたことを児童が一歩進めて、平和の実現のため「自分たちができることは何か」を考え、中学3年生に新聞で伝えるという活動を学習の最後に取り入れた。
戦後80年を迎える今年、戦争を知らない世代から戦争を知らない世代へ、何のために何をどう引き継ぐのかを考え、今後も取り組みを続けていきたい。
兵庫県NIE推進協議会が修学旅行で沖縄へ行く中高生に、新聞記事を使って「沖縄戦」の実相や平和の大切さを伝える出前授業を続けている。神戸市須磨区出身で、映画化もされた当時の島田叡(あきら)沖縄県知事が住民保護に尽くしたことや、兵庫と沖縄の関わりについても解説している。
太平洋戦末期、沖縄は凄惨(せいさん)な地上戦が繰り広げられ、犠牲者は20万人を超え、その半分は民間人だった。出前授業は、沖縄戦を長く取材している神戸新聞報道部の津谷治英記者と、兵庫県NIE推進協議会の三好正文事務局長が講師を務める。
出前授業は2年前から行っている。1月31日、神戸市立有野中学校(神戸市北区)での出前授業には今年5月、沖縄に修学旅行に行く2年生191人が参加した。生徒たちは沖縄戦をテーマにした映画「島守の塔」(2022年公開、神戸新聞社など製作)を事前に鑑賞し、授業に臨んだ。映画は島田知事らを主役に、戦争の悲惨さや命の尊さを描いている。
授業で津谷記者は、島田知事は住民の疎開や食糧確保に奔走し、住民を守ろうとしたと紹介した。1945(昭和20)年4月1日、米軍が上陸、戦局は悪化の一途をたどり、犠牲者の増加を懸念した島田知事は軍と対立したが、戦闘を止められず、6月26日を最後に消息を絶った。津谷記者は「兵庫の先輩の行動から、命の大切さを学んでほしい」と訴えた。
三好事務局長は神戸、姫路空襲など太平洋戦争時の兵庫の被害から、戦後の世界の対立構造まで解説。明治中期の沖縄-本土航路の開設以来、神戸港は沖縄県民を受け入れ、今も多くの沖縄県人が兵庫で活躍していることにも触れた。三好事務局長は「戦争は絶対悪。中高生が戦争の記憶を語り継ぎ、平和な世界の実現に向けて『発信する側』になってほしい」と話した。
戦後80年を迎え、出前授業は続く。同協議会では広島などに修学旅行や平和学習に行く生徒たちにも記者による授業を行っている。
津谷 治英(神戸新聞報道部記者)、三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2月25日)
[写真説明]沖縄戦の話に聞き入る生徒たち=神戸市立有野中学校
※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。
■神戸大学附属中等教育学校(2月13日、対象2年生15人) 神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。生徒たちは調べ学習の成果を新聞スタイルでまとめる実践を行っている。授業では一番書きたいことを40字でまとめたり、トップに置く記事の見出しを考えたりした。
■洲本高校(2月6日、対象・1年生240人) 共同通信神戸支局の伊藤愛莉記者が、取材経験を基に仕事の面白さについて語った。昨年秋、台湾に台日震災復興の記念碑ができたという自身の記事を紹介し「何が起こっているのか記録に残せることも、責任は感じるが、この仕事のやりがいだ」と伝えた。
新聞や記者の仕事について学ぶ授業が、洲本市上物部2の洲本高校であった。共同通信社神戸支局の伊藤愛莉記者(27)が1年生240人を前に、これまでの取材経験を基に仕事の面白さについて語った。
同校は、教育に新聞を活用する日本新聞協会のNIE実践指定校に2024年度から指定されている。
伊藤記者は、愛媛県の松山支局から22年に神戸支局へ異動。現在は主に神戸市役所を担当し、選挙報道などにも関わっている。
発生から今年で30年になった阪神・淡路大震災の取材に力を入れてきたという伊藤さん。神戸と、1999年に地震が起きた台湾の被災地との交流を記念し昨年秋、台湾に石碑が建立されたことについて報じた自身の記事を紹介した。
「日本のメディアで取材したのは、共同通信だけだった。私が行かなければ、日本で知られることはなかったと考えると、意義があったと思う」と振り返り「それぞれの関心に基づいて取材できる。何が起こっているのか記録に残せることも、責任は感じるが、この仕事のやりがいだ」と伝えた。
同校の辻丈生(たける)さん(16)は「いろいろな人に話を聞け、さまざまな方向に仕事が広がる奥深さに、興味が湧いた」と話していた。(荻野俊太郎)=2月14日付神戸新聞朝刊淡路版
[写真説明]記者の仕事の面白さを語る共同通信社神戸支局の伊藤愛莉記者=洲本高校
※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。
教育に新聞を活用する「NIE」の授業が2月7日、三田市の県立有馬高校であった。生徒たちは新聞各紙の社説を読み比べて意見を交わし、広い視野で物事を見ることの大切さを学んだ。
有馬高は、日本新聞協会のNIE実践指定校。総合学科1年の生徒約200人が、「産業社会と人間」の授業で取り組んだ。
森沢亮介教諭(36)の担当クラスでは、同性婚訴訟やエネルギー基本計画などをめぐり、読売新聞など全国紙や地元紙の社説を読み比べた。主張や根拠となる部分の違いについて、6人前後の班で話し合った。
それから一つのテーマを選び、各紙の違いを一覧にして壁新聞のように記載。賛否両論それぞれの意見を出し合ったうえで、班の意見をまとめ、発表した。
森沢教諭は「複数の視点で情報を見比べ、議論して」と呼びかけた。授業に取り組んだ森本小夏さん(16)は「各紙でこんなに主張がさまざまなのかと驚いた。情報をしっかりと調べる目を持ちたい」と話した。
今回の授業は、7月31日、8月1日に神戸市で開かれるNIE全国大会で発表する。=8日付読売新聞朝刊神戸明石、阪神、三田、淡路、播磨姫路、丹波、但馬の各版
[写真説明]各紙の主張の違いをまとめていく生徒たち(三田市で)
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社説比較、多様な視点 有馬高の公開授業で議論
NIE(教育に新聞を)活動に取り組む有馬高校(三田市天神2)で2月7日、公開授業があった。1年2組の約40人がタブレット端末で新聞各紙の社説を読み比べ、論理的な思考や複数の視点で物事を見る大切さを学んだ。
同校は日本新聞協会の実践指定校で、2年生の各教室に新聞2紙が毎日配られ、探究活動に活用されている。今回は2年生になるのを前に新聞に慣れてもらおうと、森澤亮介教諭(36)が「批判的読解力や多様な物事の見方を身につけよう―各紙の社説を比較して」と題して実施した。
「成人の日」「大谷翔平選手のMVP」など六つのテーマで書かれた社説が2紙ずつ用意され、生徒たちは主張、根拠、立場を読み解きながらペアやグループで共有した。「エネルギー基本計画」のテーマでは、1紙が「脱炭素のためには原子力の使用も仕方ない」とする一方、別の社説では「事故があってもなぜ原子力を続けるのか」と批判するなど、異なる主張や立場を書き出しながら考えをまとめた。
北瀬大也(ともや)さん(16)は「SNS(交流サイト)などではよく内容をぱっと見で判断してしまうが、新聞を深く読むと見えるものが変わってくると感じた。授業以外でも各紙を比較してみたい」と興味を深めていた。(尾仲由莉)=9日付神戸新聞朝刊三田版
[写真説明]各紙の社説の違いや自分の考えをまとまる生徒たち=三田市天神2、有馬高校
◆実践された有馬高校・森澤亮介教諭の寄稿(授業のめあてや感想、展望)はこちら
◆参加者の感想はこちら
※2月7日の有馬高校の公開授業を担当した森澤亮介教諭に、ねらいや展望をご寄稿いただきました。
「批判的読解力や多様な物事の見方を身に付けよう~各紙の社説を比較して~」
授業者:森澤亮介
◎ねらい
昨年の兵庫県知事選挙において、SNS(交流サイト)が旧来のメディアと比べて大きな影響力を発揮した。このことをきっかけにして、「生徒がSNSの情報に安易に左右されず自分の考えを形成するのに、学校では何を教えるべきか」と考えるようになり、それが今回の公開究授業につながった。テレビや新聞といったメディアとSNSを比較する授業も一時は考えたが、せっかくNIE活動で実践校に指定いただいている本校としては、新聞同士で特徴を比較してみたらどうだろうか、と考えるようになった。そうして各紙の社説を調べだすと、主張がはっきり異なる話題と、比較的に多様な意見を述べるものがあることに気が付いた。そこで、生徒にも社説を読んでもらい、「広くて多様な視点で物事を見ることの大切さ」を理解させることを今回の授業の主たる目的とした。
◎実践内容
全国紙5紙+神戸新聞で合計6紙のさまざまなテーマに関する社説を読み比べた。「成人の日」や「大谷翔平選手のMVP」といった身近な話題から「同性婚訴訟」や「エネルギー基本計画」など背景知識の理解も必要とするような少し難しい話題の社説にも取り組んだ。それぞれのテーマにつき2紙ずつ社説を用意し、生徒たちは「主張」「根拠」「立場」を読み解きながら、ペアやグループで共有した。最後にグループで話し合ったことをもとに、その班の「主張」をクラス全体の前で発表した。
◎今後の展望
今回1年次生を対象に授業をしたのは、2年次から探究活動の授業が始まるから、という理由が大きい。自分の探究を進めていくうえで必ず情報収集をしなければならないが、その際に1つの新聞、1つのwebサイトだけを見てそれをそのまま鵜呑みにするのではなく、必ず複数の情報源にあたることが重要であることを、今回の授業から学んでくれたことを期待したい。実際生徒の感想を読んでいると、そのような意見が多数見られた。また、長期的な目で見ても、社会に出るうえで、自分の考えを形成するのに様々な会社(人)の考え方や立場を理解して、自分なりの意見を形成していってほしいと願っている。
◎全体の感想
前述の通り、生徒にとっては難しい話題もあったが、自分で語句を調べながら、読み込むことができていた。また、クラス内でのペアやグループ活動を通して学びあう姿勢も見られた。25年度もNIE実践校の指定を受けるので、このような授業は「産業社会と人間」の中で行っていく必要があるだろうし、年間の授業中で継続した取り組みが必要だと感じた。
中野 佳和・兵庫県立西宮高校教諭
公開授業は参加するたびに、多くの刺激をもらうことができるなと感じました。
授業担当者の独自の視点や、さまざまなしかけ、生徒のリアルな反応など、学ぶべきポイントがたくさんありました。
学校教育における新聞の活用をさらに広めるためにも、より多くの先生方に新聞活用の面白さを知っていただきたいと感じます。
まずは自分自身の学校現場で、新聞の活用方法を共有していきたいと思います。
■神戸市立横尾小学校(2月5日、対象・6年生45人) 須磨友が丘高生12人が、阪神・淡路大震災と能登半島地震の避難所生活を報じた新聞記事を教材に、児童に防災の大切さを伝える「小高連携授業」を行った。今年で3回目。地震にどう備えるかー。児童たちが付箋に書き込み、模造紙に貼っていった。
神戸新聞アドバイザーが講師に
神戸大学付属中学校(神戸市東灘区住吉山手5)の2年生約50人がこの1年、調べ学習の成果を新聞スタイルでまとめる実践を行ってきた。その一環として、新聞作りのノウハウを学ぶ出前授業が2月13日、同校であり、2年生15人が参加した。
同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。出前授業は昨年7月から十数人ずつを対象に行われ、毎回、神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めている。
この日の授業では、生徒たちが選んだテーマを発表。米粉でつくるお菓子▽強力粉と薄力粉の用途▽保湿力の高い化粧水▽狂牛病と実態と対策―など多岐にわたった。生徒たちは一番書きたいことを40字以内にまとめたり、トップに置く記事の見出しを考えたりするワークショップを通し、新聞作りについて理解を深めた。
三好アドバイザーは「写真や表、グラフを付けると、記事が説得力をもつ」「見出しは『問い』ではなく、『答え』を書く」「トップと真ん中の記事を目立たせるとよい紙面になる」などと説明した。
生徒たちはA4判の用紙に記事を書き、見出しを付け、写真やイラストを添えて紙面づくりを進める。
[写真説明]記事の書き方や紙面レイアウトについて学ぶ生徒たち=神戸市東灘区住吉山手5
※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。
2024年度の兵庫県NIE実践発表会(2月6日、神戸新聞本社)の様子をグラフィックで振り返ります。作成いただいたのは、井上幸史・日本新聞協会NIEアドバイザー(姫路市立城北小学校教頭)です。
「生徒が社会に目を向けるように」
NIE(教育に新聞を)の活動を進める学校が、普段の取り組みを紹介する実践発表会が2月6日、神戸新聞社(神戸市中央区)であった。兵庫県内の小中学校と高校の計3校が、新聞記事をどう活用しているかについて報告した。神戸新聞の若手記者も阪神・淡路大震災を語り継ぐ大切さをテーマに講演し、教員ら50人が耳を傾けた。(安福直剛)
新聞社や教育関係者でつくる兵庫県NIE推進協議会が主催。この日登壇した3校は、今夏に神戸市で開かれるNIEの全国大会でも公開授業や実践発表を実施する。
夜間中学の姫路市立あかつき中は、5カ国にルーツがある16歳から91歳までの生徒がいる中で、生活に身近なテーマの記事を活用していると紹介。社会では新紙幣の発行を取り上げたり、理科では播磨地域などで確認されたひょう被害を学んだりしたという。
その結果「社会に目を向けようとする積極的な姿勢が見られるようになった」といい、担当教諭は手応えを感じていた。
校外学習を活用して新聞づくりに挑戦した甲南小(神戸市東灘区)や、新聞を生かして探究活動に取り組む神戸甲北高(同市北区)の事例も紹介された。
神戸新聞淡路総局津名支局の中村有沙(ありさ)支局長(28)は、震災の被害が大きかった旧北淡町(淡路市)の当時の状況について取材を基に紹介。取材先の「当時を検証し語り継ぐことが防災につながる」といった言葉を紹介し、「自分は大阪出身で震災後の生まれだが、気が引けるというより伝えなければとの思いが強い」と話した。=7日付神戸新聞朝刊ひょうご総合面
[写真㊤]NIEの実践例が報告された会合=いずれも神戸市中央区東川崎町1[写真㊨㊦]阪神・淡路大震災を語り継ぐ重要性について講演する神戸新聞の中村有沙記者
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小中校3校教諭 活用成果を発表
新聞を活用した学習の成果を紹介する県NIE実践発表会が2月6日、神戸市中央区の神戸新聞社で開かれた。学校関係者ら約50人を前に、小中高3校の教諭が活用例について発表した。
姫路市立あかつき中学校の伊達実教諭は、播磨地区初の夜間中学として、ネパールやパキスタンなど5か国の生徒が在籍していることを紹介。新紙幣発行や地元の祭りなど、身近な出来事の学習に新聞記事を利用しているといい、「多様な考え方を生かして豊かな学びへとつなげたい」と話した。
甲南小学校(神戸市東灘区)の田代弘子教諭は、自分たちで作った新聞を持ち寄ってグループ発表をする3年生の授業で、児童らが積極的に取り組むようになった様子を報告した。=7日付読売新聞朝刊神戸明石版、淡路版、播磨姫路版
[写真説明]新聞を活用する取り組みが報告された発表会(神戸市中央区で)
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新聞使った授業 3校が実践発表 神戸
新聞を活用した授業の取り組みを報告する県NIE(教育に新聞を)実践発表会が2月6日、神戸市中央区の神戸新聞社であった。3校の発表に教員ら約50人が耳を傾けた。
県立神戸甲北高校(神戸市北区)の久保淳平教諭は「週刊探Cue(たんきゅう)!」というキャリア教育を報告した。新聞記事を使った「正解のない問題」を生徒が考える取り組みなどを紹介。「(生徒が)当事者意識を持って社会課題を把握し解決する力を養い、社会での自分の生き方を描けるようになってもらうのが狙いだ」と話した。
夜間学校の姫路市立あかつき中学校の伊達実教諭は、年齢や国籍が多様な生徒たちに適した教材として、生活に身近なテーマの新聞記事を活用していると紹介。理科では、ひょう被害の記事を使い、発生原理だけでなく、防災意識の重要性にもつなげたと報告した。 甲南小学校(神戸市東灘区)の田代弘子司書教諭は、校外学習を活用して作った新聞を児童が発表する活動を報告した。
3校は7月31日~8月1日のNIE全国大会神戸大会でも報告をする。=8日付朝日新聞朝刊神戸版、阪神版
[写真説明]実践例を報告する県立神戸甲北高等学校の久保淳平教諭=2月6日、神戸市中央区
※朝日新聞に無断で転載することを禁じる=承諾番号25-0399
2月6日:神戸新聞本社で開催 参加者50人
【参加者の声】順不同、敬称略
神戸市教育委員会教科指導課学校図書係指導主事 尾﨑 夢乃
どの学校の取り組みも、新聞を読むことが目的ではなく、新聞を介して、探究的な学びにつながっていることを実感しました。
今後、新聞が児童生徒の情報収集のツールとなり、学校図書館になくてはならないものになるだろうと思いました。
そのためにも、子どもたちに新聞の魅力を伝えること、新聞からの学び方を学ばせることなど、基本からこつこつと、子どもたちを育てていくことを大切にしたいと思いました。
神戸市立塩屋小学校学校司書 小渕 真子
子どもたちに学校図書館を通して、学ぶ楽しさや知る喜びを感じてほしいと、日々活動しています。新聞は図書館に置いていますが、活用が難しく、先生方とも話しているところです。
今日の発表から感じたことは、子どもと新聞が接することができる場所にいるということの重要性です。新聞を1人に一部ずつ配って読んだとき、「新聞って最近のことが載ってるんだね」と日刊であることを初めて知った子がいました。そのような現状もあります。小学生新聞は低学年でもわかる記事もあります。神戸新聞には近所のことが載っています。新聞が子どもの目に届き、触れて、自分で読むまで繰り返し紹介したり掲示したりしようと思いました。
兵庫県立淡路高校キャリア推進部教諭 増井 眞由美
まずは、竹内弘明先生をはじめ、兵庫県NIE推進協議会の皆様、ご講演・ご発表いただきました神戸新聞社淡路総局津名支局・中村有沙支局長様、甲南小学校・田代弘子先生、姫路市立あかつき中学校・伊達実先生、兵庫県立神戸甲北高等学校・久保淳平先生に心より感謝申し上げます。ご多忙にもかかわらず、皆様のご経験や日頃のお取り組みの内容について惜しみなく分け与えていただき、本当にありがとうございました。
日頃一教員としてさまざまな高校生と接しておりますが、明確な目標を持ち、自分が将来社会で活躍するイメージに向かって突き進んでいる生徒がいる一方で、「自分が選挙に行ったところで何も変わらない。自分が社会に対して何かができるなんて思えない」といった発言をするなど、自分が社会とつながっている感覚を持つことができない生徒が多数存在します。新聞は、そんな生徒たちに、社会を「自分自身が生きている場」としてとらえるきっかけになるのではないか。今日の会に参加させていただいて、そんな風に感じることができました。
私の在職する淡路高校では防災教育に力を入れております。私も授業担当教員として生徒と一緒にさまざまな体験をしていく中で「自分ごととして考える」ということの大切さを実感しています。本日のご講演やご発表の中では、「自分ごととして考えることができた」という児童生徒の声をたくさん聞くことができ、新聞の意義を改めて感じています。夏には神戸市でNIE全国大会が開かれるとのこと、またぜひ参加させていいただきたいと思います。
兵庫県立明石南高校教諭 松下 絢子
姫路市立あかつき中学校・伊達実教諭の実践発表では、生活に結びつく学習をされている姿が印象的でした。雹(ひょう)が降った翌日に、時機を逃さず新聞を授業に取り入れるなど、生徒が興味関心をもって取り組めると感じました。
甲南小学校・田代弘子教諭の実践発表では、とにかく楽しそうに取り組んでいる児童の姿が印象的でした。チームが組織されていることで、「ふれる」「つくる」「考える」という三つの学習を通して興味関心や情報活用能力、批判的思考力を育み、主体的に学びに向かう児童を育てるという方針がしっかりと貫かれていると感じました。
県立神戸甲北高等学校・久保淳平教諭の実践発表では、先生方が楽しそうにやっている姿が印象的でした。久保教諭の、周囲を巻き込んでいく力とでもいいましょうか、それに圧倒されました。社会課題や自身の生き方・在り方を考えていくために新聞が使われ、各年次での取り組みも、その年次に必要と考えられる事柄が設定されていると感じました。
これまで授業では新聞記事を資料として配布したり、教材と関連した記事を使ってワークシートを作ったりはしていましたが、実践発表を拝聴し、もっと自由に考えてもよいのかもしれないと思いました。また、発表会の翌日7日の神戸新聞朝刊14面に、「学習そのものの面白さを実感し、将来の職業や生活につながりを感じられる学びにしてほしい」という中学生の保護者の声が掲載されていました。この声に応えていくツールとして新聞を利用していきたいと感じました。そして、全国ニュースで流れるような事柄だけではなく、身の回りのさまざまなことに気づかせてくれる力も持っているのが新聞だと思います。
講評で探究活動との相性の良さについてのお話がありました。現状、自身や周囲の思い込みに近い事柄を探究活動のテーマにしている生徒も見受けられます。「探究」の「探」の部分の入り口として新聞を使いたいと感じました。
静岡県御前崎市牧之原市学校組合立御前崎中学校教諭 北條 賢佑
初めに震災についてのお話がありましたが、静岡県に住んでいるわれわれにとっても、とても関わりのある話であり、本校でも「地域とのかかわり方が重要になってくる」と伝えていきたいと感じました。
NIEの実践発表では、どの学校さんの発表も内容が盛りだくさんで、大変勉強になりました。
年齢層や国籍などの違いがあっても取り組めることや、図書館司書と取り組めそうなこと、NIEに取り組むにあたり、「震災」のようなテーマが設定されていることで、ここまで新聞の有効性や有用性が伝わりやすくなるのだと気付き、本当に多くのことを勉強させていただきました。
参加前に見た「兵庫県はNIE活動に力を入れている」ということが実感できました。
また、実践発表の仕方や作成資料などをみて、個人としても今後の教員生活において、話し方や資料の作成について参考にさせていただきたいと思いました。
このたびは貴重な機会をありがとうございました。
高校生が小学生に防災について伝える授業が2月5日、神戸市須磨区の市立横尾小学校であった。県立須磨友が丘高校の生徒会メンバー12人が講師役になり、6年生の児童約50人と一緒に災害時の備えについて考えた。
授業では、昨夏、能登半島地震の被災地でボランティア活動をした寺尾凜太郎さん(16)が、仮設住宅が立ち並ぶ写真などを見せながら現地の様子を報告。その後グループに分かれ、阪神・淡路大震災と東日本大震災発生後まもなくの新聞記事を読み、気づいたことや地震に備えて何をするかを付箋(ふせん)に書いて模造紙に貼っていった。
「防災バッグの中身を確認する」と付箋に書いた平沢莉羽さん(12)は「高校生の意見も聞いて、防災についてより深く知れた」と話した。
須磨友が丘高校は日本新聞協会のNIE実践指定校。今年夏のNIE全国大会神戸大会で、今回の取り組みについて発表する予定。(石田貴子)=6日付朝日新聞朝刊神戸版、阪神版、ひょうご版
[写真説明]阪神・淡路大震災と東日本大震災発生後の新聞記事を読む児童=神戸市須磨区
※朝日新聞に無断で転載することを禁じる=承諾番号25-0377
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須磨友が丘高生 児童と防災学習
県立須磨友が丘高校(神戸市須磨区)の生徒12人が2月5日、近くの神戸市立横尾小学校で、同小の6年生約45人と災害時の備えなどについて一緒に考える授業に取り組んだ。
須磨友が丘高は日本新聞協会のNIE実践指定校で、横尾小との取り組みは3年目。児童らは班に分かれ、阪神大震災と能登半島地震に関する新聞記事から避難所の状況などを読み取り、防災について話し合った。日頃からの備えとして「避難経路を調べる」「防災バッグの中身を確認する」など必要と思った点を付箋に書き、模造紙に貼り付けた。
講師役を務めた須磨友が丘高2年の寺尾凛太郎さん(16)は「新聞には必要な情報が載っていて、教材としてよかった。小学生には過去の災害を忘れないでほしい」と話し、横尾小6年の平沢莉羽さん(12)は「高校生の意見を聞いて防災をより深く知ることができた」と笑顔を見せた。
同高は授業内容を7月31日~8月1日、神戸市内である「第30回NIE全国大会神戸大会」の2日目に発表する予定という。=6日付読売新聞朝刊神戸明石版、淡路版、丹波版
[写真説明]生徒(右)と一緒に防災学習をする児童ら(神戸市須磨区で)
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震災記事教材 高校生が授業 神戸・横尾小「自分ごとと考えて」
阪神・淡路大震災と能登半島地震を報じた新聞記事を教材に、高校生が小学生に防災でできることを伝える授業が横尾小学校(神戸市須磨区横尾5)であった。児童らは記事を読んで被災者の暮らしを知り、日々の備えの大切さを学んだ。(船田翔太)
須磨友が丘高校(同市須磨区友が丘1)の生徒会役員12人が、横尾小6年の45人に教えた。須磨友が丘高は日本新聞協会のNIE(教育に新聞を)実践指定校で、横尾小での授業は3回目。
高校生は、30年前の神戸と昨年の能登の避難所生活を報じた新聞記事を児童に配り「二つの避難所で困ったことは」「地震に備えて今何をするか」と問いかけた。児童は記事を読み「ゴミの発生やトイレのにおい」「水や食料、毛布などを用意しておく」と付箋に書き、模造紙に貼った。
横尾小6年の土山康貴さん(12)は「新聞を読んで避難所の状況を想像し、震災について真剣に考えた。ちゃんと備蓄できているか家に帰って確認したい」と話した。
須磨友が丘高2年の寺尾凛太郎さん(16)は、昨年8月に石川県で砂浜の清掃などのボランティアをしたといい、仮設住宅が立ち並ぶ写真などを見せながら現地の状況を児童に伝えた。「震災を詳しく知らない小学生もいると思う。防災を自分ごととして考えてもらうきっかけになれば」と語っ\た。
須磨友が丘高は、今年7月31日~8月1日に神戸市である「第30回NIE全国大会神戸大会」で防災授業の取り組みを発表する。
同大会に参加する和歌山大教育学部教授で、和歌山県NIE推進協議会長の舩越勝さんは「複数の記事を読み比べるなどして震災の特性を考えることは学びを深める出発点。教える側の高校生も知識や経験を伝えることで学ぶことは多いはず」と評価した。=2月15日付神戸新聞朝刊神戸版
[写真㊤]避難所に関する新聞記事を読んで気づいたことを付箋に書き、台紙に貼り付ける児童=いずれも須磨区横尾5[写真㊨㊦]避難所に関する新聞記事を読んで気づいたことを発表する児童
※授業を担当された須磨友が丘高校・岩本和也教諭の寄稿(ねらいや感想)をこちら 生徒と児童のみなさんの感想をこちらに掲載しています。横尾小学校の先生の感想はこちら
日本新聞協会NIEサイトにもリポートが掲載されています。リポートはこちら
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※2月5日、須磨友が丘高校の生徒たちが、近くの横尾小学校6年生を対象に行った「震災授業」。3年目の取り組みになる「小高連携授業」です。須磨友が丘高校の先生にねらいや感想をご寄稿いただきました。
須磨友が丘高校 岩本和也教諭
◇ねらい
今年で発生から30年となる阪神・淡路大震災と、昨年1月1日に発生した能登半島地震に関する新聞記事を利用する。それぞれの地震に際し、特に避難所生活について報道された記事から「避難所で困っていること」を読み取り、そこから見える共通点や、どのような支援が必要かを話し合い、さらには「自分たちがどのような備えをしておくべきか」を考えることができる。
また、小学生のグループに高校生がファシリテーター役として入ることで、相互に意見交流を行い、互いに学びを深めることができる。
◇感想
小学生は題材となる新聞記事等をじっくりと読み、高校生の問いかけに応じて懸命に考え、意見を出す姿が見られた。戸惑っている児童に対しては、高校生がかみ砕いて説明したり、問いかけ直したりすることで、小学生も学習を進めることができていた。真剣に課題に取り組む小学生の姿勢に、高校生も刺激を受けたように思う。
震災を経験する世代が少なくなる中、阪神・淡路大震災を経験していない高校生が、自分たちよりも下の世代の子どもたちに震災の経験を語り継いでいくことにも意味があったと考える。
◇今後の展望
本授業では、小学生に震災について考えるきっかけを与えることができた。高校生から小学生に「帰宅後に保護者の方と震災について話してみてほしい」との呼びかけがあった。また、小学生からも「備蓄ができているか家に帰って確認したい」という感想もあった。防災に関する意識や行動がどのように変化していくのか、再度授業を行うことも検討したい。
また、高校生が小学生に教える授業は、相互に学びがあったと思う。今後、限られた時間の中でどのように対話の時間を確保していくのか、さらに工夫したい。
教育現場で新聞を活用する「NIE」(教育に新聞を)の授業が1月30日、西宮市の市立浜脇中学校で行われ、芥川賞作家の小川洋子さん(62)が授業を見学した。2年の生徒らは新聞記事を活用し、「住み続けられるまちづくり」などについて考え、解決策や提言を発表した。
小川さんはまず、2年2組で行われた授業を見学。生徒らは新聞記事の中から気になる記事をピックアップし、記事についての自分の考えや感想をグループ内で話し合った。
その後、2年生の各クラスをオンラインでつないで行われた授業では、各クラスの代表者が、「住み続けられるまちづくり」をテーマに、環境問題や社会問題などのニュースを取り上げて、問題への解決策や提言を発表した。
「パナソニックが令和9年9月末までに蛍光灯の全ての生産を終了する」との記事を紹介した生徒は、「LED化の流れを作ることで、住み続けられるまちづくりにつながると思う」と発表。LED照明の普及に向け「補助金制度を増やす」といったアイデアを披露した。
授業を見学した小川さんは終了後取材に応じ、「自分が生きている世界の広さを実感できる授業だと思った。新聞を読む習慣をつけていけば、見た物や感じたことを言語化する能力にもつながると思う」と話した。=31日付産経新聞朝刊阪神・神戸版、播州版、淡路版、但丹版
[写真説明]生徒の発表に耳を傾ける作家の小川洋子さん(左)=西宮市宮前町
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新聞読み、問題討論 生きた教育に感心 作家・小川洋子さん 西宮の中学授業を見学
NIE(教育に新聞を)活動の意義を考える「第30回NIE全国大会神戸大会」が今夏に神戸市で開かれるのを前に、西宮市在住で芥川賞作家の小川洋子さん(62)が1月30日、同市宮前町の浜脇中学校で、新聞を教材として活用する授業を見学した。生徒自らが選んだ新聞記事を貼って感想を書き込む「NIEノート」の発表風景などを見たほか、記事に関して生徒と話し合う場面もあった。(安福直剛)
小川さんは7月31日、8月1日開催の同大会初日に記念講演する。NIEの取り組みに熱心な学校の現場を見てもらおうと、大会を主管する神戸新聞社などが依頼して実現した。
同校では全校生徒が「NIEノート」に取り組んでおり、社会科の授業で発表したり意見交換したりしている。
この日は、2年生の教室で生徒に交じって小川さんも座り、授業を聞いていた。米国のトランプ大統領就任を踏まえて平和問題を指摘したり、震災などの災害弱者を取り上げた記事を紹介したりする生徒の話を聞き、熱心にメモを取るなどしていた。
続いて「住み続けられるまちづくりを」のテーマで生徒がアイデアを出し合う授業があった。
「地元西宮でも公共交通の無償化に取り組んではどうか」「雷のエネルギーを電力に変えられないか」といった若い世代の発想を感心した様子で聞いていた。
NIEの実践現場を初めて見たという小川さんは「新聞が好きで毎日読んでいるが、新聞を本当に読むというのはこうなのかと気付かされた。日々真剣に読むのは難しいかもしれないが、自分の考えを言語化する能力が育まれるのでは」と話していた。
同校は全国大会の2日目、NIEノートの実践例を公開授業で披露する予定。=31日付神戸新聞朝刊ひょうご総合面
[写真㊤]生徒と一緒にNIEの授業に参加する小川洋子さん(左)=いずれも西宮市立浜脇中学校[写真㊨]NIEの授業について感想を話す小川洋子さん
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記事深掘り 文学と同じ 小川洋子さん 中学生と意見交換
新聞を教育に活用する「NIE」の授業が1月30日、西宮市立浜脇中学校であった。同市在住で芥川賞作家の小川洋子さん(62)が授業を参観し、記事スクラップを示しながら感想を話す生徒たちと意見を交わした。
同校は、NIE実践指定校。全校生徒約850人が、気になった記事などを貼り付け、感想を書き込む「NIEノート」をパソコンやノートで作成し、毎週、社会科の授業で発表している。
7月31日、8月1日に「第30回NIE全国大会」(日本新聞協会主催)が神戸市内で開かれ、小川さんは記念講演する予定。同校も、8月1日に甲南大学で開かれる大会分科会で、授業を公開する。
この日、2年生の授業では、生徒たちはグループに分かれて、埼玉県八潮市で起きた道路陥没事故や雪の影響による車の立ち往生、阪神大震災の記事などについて感想や意見を述べ、話し合った。
授業を見守った小川さんは「書かれていることだけで満足せず、書かれていないところまで踏み込む点では文学と同じ。阪神大震災から30年。自然災害について意識が高く、感心した」と生徒に語りかけていた。=31日付読売新聞朝刊兵庫県内各版
[写真説明]生徒が発表する記事の感想を聴く小川さん(右)(西宮市で)
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「世界は広い」実感 小川洋子さん、西宮・浜脇中訪問
7月に神戸で開かれる「第30回NIE全国大会」(日本新聞協会主催)で基調講演をする予定の芥川賞作家、小川洋子さん(62)が1月30日、西宮市立浜脇中学校を訪れ、教育に新聞を活用する取り組み「NIE(エヌアイイー)」の授業を参観した。
同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。社会科の授業で週1回、生徒たちは気になった新聞記事を切り抜き、スクラップしたノートをもとに意見交換している。
小川さんが参観した2年生の授業では、5~6人の班に分かれて自分が選んだ記事を紹介しあった。トランプ米大統領の就任やフジテレビ問題など関心は多岐にわたり、小川さんも生徒たちの発言に耳を傾けた。
自身も毎朝新聞を読み、新聞記事から作品のインスピレーションを得ることもあるという小川さん。興味をもったテーマを自分事として考え抜く生徒たちの姿に、「(新聞を)読むとは、本当はこういうことかと感心した。自分が生きている世界は広いと実感させてくれる授業だと思いました」と感想を述べた。
NIE全国大会は7月31日と8月1日、神戸市内で開催される。(宮坂奈津)=31日付朝日新聞朝刊神戸版、阪神版
[写真説明] 生徒たちの授業を参観する小説家の小川洋子さん(左から2人目)=西宮市
※朝日新聞に無断で転載することを禁じる=承諾番号25-0318
神戸新聞アドバイザーが講師に
地元の魅力をどう発信するかを学ぶ出前授業が、南あわじ市沼島の沼島小中学校であり、小学5年~中学3年の24人が参加した。神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが「国生みの島のストーリー性を大切に、島外に感動を伝えよう」と呼びかけた。
同校は日本新聞協会のNIE実践指定校で、新聞を活用した授業などを展開している。離島留学している児童生徒もいる。
出前授業は1月27日に行われた。沼島は同市の離島で、県最南端に位置し、南に紀伊水道から太平洋を望む。古事記に登場する「国生み神話」の島だ。
三好アドバイザーは「地域の魅力はいわゆる観光名所にあるのではなく、その土地に根差したストーリー性にある」と説明。「夏のハモだけでなく、寒ブリもうまい。さらなる魅力を発信したい」と強調した。
取材の仕方については「5W1Hをきっちり取材する」「地元の人に聞いたことをそのまま記事にする。生の言葉に地元で生きてきた誇りが見つかる」などとアドバイスした。
中学2年の柿木梓月(しづき)さん(14)は「校外学習で『なぜ』『どのように』を押さえて取材したい」と話していた。=2月6日付神戸新聞朝刊淡路版
[写真説明]地域の魅力の発信方法を考えた授業=南あわじ市沼島
※「わたしの感想NIE」に児童生徒のみなさんの感想を掲載しています。
■南あわじ市立沼島小中学校(1月27日、対象・小5~中3年24人) 神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアドバイザーが「沼島の魅力、どう発信するか」をテーマに授業を行い、「地域の魅力=いわゆる観光名所ではない。国生みの島のストーリーを大切に島外に感動を伝えよう」と呼びかけた。
神戸新聞アドバイザーが講師に
新聞の読み方や交流サイト(SNS)の功罪を学ぶ出前授業が有馬高校(三田市天神2)であり、1年生198人が参加した。神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務め、「インターネットで偽情報が拡散する時代。正しい情報を得るよう努めよう」と呼びかけた。
同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。三好アドバイザーは、能登半島地震を巡ってSNS上に救助を求める偽情報が出回ったことを例に挙げ、「災害時の悪質なデマは深刻な影響を及ぼす」と強調。一方で「LINE(ライン)を利用した災害情報の共有など、SNSを有効活用したい」とした。
新聞の読み方については「記事の多くは大切なことから書く『逆三角形』スタイルなので、見出しと前文だけざっと読むのでもいい。新聞は忙しい人ほど短時間で情報を得られる媒体。気軽にめくってほしい」と語った。
上野稜河さん(16)は「SNSの情報はフェイクかどうか判断しづらいので、新聞を大切な情報収集の手段として活用したい」と話していた。=2月5日付神戸新聞朝刊三田版
[写真説明]最近気になるニュースを話し合う生徒たち=三田市天神2、有馬高校
「ひょうごNIE通信」第6号を発行しました。今年夏の「第30回全国大会神戸大会」で記念講演する芥川賞作家、小川洋子さん(西宮市)が1月30日、西宮市立浜脇中学校でNIE授業を参観した様子を紹介しています。この日は全校で取り組んでいる「NIEノート」の授業や、「住み続けられるまちづくり」を考えるアイデア発表会が行われました。
神戸新聞アドバイザーが講師に
取材の仕方やネタの集め方を学ぶ出前授業が1月27日、南あわじ市沼島の沼島小中学校であり、小学1~4年生12人が参加した。同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。授業は神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。
取材するにあたって、三好アドバイザーは、5W1Hを押さえる▽現場に行かないと分からないにおいや音、声をメモする▽「へぇ~」「なるほど」と思ったことを具体的に書く―などをポイントとして挙げた。
ネタの集め方として、「暮らしに根差した話は興味を引きやすい」と説明し「ふるさとのさまざまなことに詳しくなろう」と呼びかけた。「沼島の夏はハモ。では、冬に自慢できるものは何?」との質問に、児童は「寒ブリ」と元気よく答えていた。
この日は小学5年生~中学3年生24人を対象にした出前授業もあった。
[写真説明]三好アドバイザーの質問に答える児童=南あわじ市沼島
※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。