2020年6月アーカイブ

hamawakityuukikou.JPG

  西宮市立浜脇中学校では6月1日から、クラスを半分に分けての分散登校を実施し、15日からは通常の授業を再開しています。新型コロナウイルス感染拡大防止対策の休校期間中は、教師がポスティングで課題を配布したり、学校ホームページに授業の動画を配信したりと対応してきました。

 授業では、社会科の課題として、「日本と外国を比べてみよう~新型コロナウイルスの対応~」として、生徒各自が「この国のこんな対応がいいな」と思うものをリポートにして提出し、授業で意見交換しました。

 道徳の授業では「正しく知り、正しく恐れる新型コロナウイルス」をテーマに新聞記事を活用し、生徒からは「飛沫(ひまつ)感染」「フェイスシールド」「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」というキーワードがたくさん出てきました。

  「コロナ差別」についても考えました。生徒からは「新聞記事で、医療従事者に対する差別や、親が医療関係の仕事をしているから保育所が受け入れてくれないことなどを知った」「自分の知り合いが、体調が悪くて発熱し回復した後に、周囲の人が何か避けているように感じたことがあった」などの声が上がり、新型コロナ禍を身近に感じているようでした。

  さらに、「『コロナちゃうん?』など何気ない言葉や行動が、差別につながり、相手に大きなダメージを与える」「新型コロナウイルスは世界からなくならないと思うから、正しく理解したい。ネットでは偽情報もあるから、新聞やニュースを見て、正しく行動したい」など、感想も出されました。

  本校では、今後も新聞記事を生徒各自にスクラップさせ、まとめ、感想を書く「NIEノート」の取り組みを続け、社会科の授業で交流させることを継続し、社会的事象への興味や関心・理解を深めていきたいと思います。

渋谷 仁崇(西宮市立浜脇中学校教諭)(6月29日)

[写真説明]分散登校時の道徳の授業。1年生が新型コロナ禍について考えた

koubesuzuranndaikou200626.jpg

 インタビューの仕方を学ぶ授業が6月26日、神戸市北区山田町下谷上の神戸鈴蘭台高校であり、2年生12人が参加した。神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた=写真。

 同校は2019年度から日本新聞協会のNIE実践校に指定されている。総合的な探究の時間の一環で、生徒たちは1年間かけて、神戸で活躍する人にインタビューするなどして新聞を作り上げる。

 授業では、生徒たちがよりよいインタビューの仕方を考えた。三好アドバイザーは実例を交え「機械的に質問せず、関心をもった話題は突っ込んで聞こう」「記事を書くとき、その人のよさが伝わる言葉選びを」などと助言した。

 長塚花佳(はるか)さんは「会話を楽しみながらインタビューしたい」、高見蒼介さんは「『相手への敬意をもつ』という言葉が心に残った」と話していた。=27日付神戸新聞朝刊神戸版

    ※7月3日の授業では、生徒たちが「将来の夢」をお互いにインタビューし記事を作成。7月10日の授業では、三好アドバイザーがぞれぞれの記事を講評し、新聞の作り方についても指導した。

   ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

    新型コロナウイルスの影響で突然、臨時休校要請が発表されたのが、3学期の期末テスト最終日の前日夜。いつ再開できるか見通せない臨時休校が始まり、結果的に3カ月に及びました。その間、兵庫教育大学附属中学校では、生徒の「学びの保障」をどう確保するか、全職員が何度も話し合い、できることから行ってきました。

    本校では臨時休校中、各教科の担当教員が課題プリントなどを作って生徒に配ってきました。新型コロナと同様、100年前、世界的に大流行した「スペイン風邪」について報じた朝日新聞の記事を引用、世界全体および日本で多数の人が亡くなったことや、当時の政府が呼び掛けた対策が「マスク着用」など、今と変わらないことなどを、3年生向けの通信で紹介したケースもありました。

    その頃、全国各地の先進的な学校では、双方向のオンライン会議形式の授業や、授業の動画を教師自ら制作しネット配信しているといったニュースが新聞などで取り上げられていました。本校でもそのような取り組みができないか教員間で話し合いを進め、20代後半~30代前半の教師を中心にプロジェクトチームを立ち上げ、動画配信やオンライン授業の実施に向け、打ち合わせや研修を行ってきました。

    そして、マイクロソフト社のOffice365の中にある「Sway」(プレゼンテーションソフト)と、「Forms」(アンケート、問題集計ソフト)」を活用することを決めました。「臨時休校に伴う特設ホームページ」を開設し、4月20日からは教科ごとに課題やプリント、問題、オリエンテーション動画を載せた「非同期型」授業を試行しました。この中には、新型コロナで亡くなった1千人の名前や享年、一言紹介を載せた、ニューヨーク・タイムズ紙の紙面を紹介したケースもありました。

 「Sway」で作成したホームページからプリントや問題をダウンロードでき、「Forms」では出席を確認したり、体調管理調査を行ったりすることもでき、体温が高かった生徒にすぐ連絡する対応もとりました。さらに、5月11日からは「非同期型」ですが、全教科で週1回以上の動画を配信し、「特設ホームページ」を使いオンライン授業を開始しました。

    数学科の動画は、教師2人が教師役・生徒役として登場し、質問に答えながら進めたり、これを見た生徒からの回答に次の授業で答えたりするなど、双方向を意識した内容です。体育科の動画は、体育科教員が生徒たちの運動不足解消に役立つダンスなどを披露したりしていました。それぞれの動画へのアクセス数を見ると、多くの生徒が、本校教員が作成した動画を見て学習を進めていることが分かりました。質問したいときは、「Forms」を利用して行っていました。

   学校再開後もしばらくは分散登校のため、引き続き、オンライン授業を行っている教科もあります。臨時休校で登校できない生徒のために、われわれ教員は何ができるのか―。苦手なことにも果敢に挑戦し、各教員が試行錯誤しながら取り組んでいます。なお、ネット環境により、十分に動画配信やオンライン授業を見ることができない生徒には学校再開後、放課後の時間を使って学校で見られるようにしています。今後、ウイルスの流行の第2波、第3波に備え、「非同期型」と「同期型」の融合も視野に、オンライン授業の深化・充実に取り組んでいきます。

    NIEについては現在、新聞3紙の提供を受けています。当面は「三密」とならないよう配慮しながら、廊下や図書室に閲覧場所を設置して、生徒がいつでも新聞を手に取って読めるようにしていきます。そして、生徒一人一人が新型コロナなどに関心を持ち続け、多面的・多角的に考えることができるようになってほしいと考えています。

大山 隆史(兵庫教育大学附属中学校校長)(6月19日)

shizukisyoukikou.JPG

 兵庫県NIE推進協議会の記者派遣事業として、読売新聞洲本支局の加藤律郎記者に2月10日、新聞づくりのノウハウを教えていただきました。

 2019年度の6年生約70人は、総合的な学習の時間に「淡路島の伝統芸能を発信しよう」をテーマに、国指定重要無形民俗文化財・淡路人形浄瑠璃の学習に取り組みました。地域の人にも知ってもらいたいと頑張り、学習のまとめとして、学んだことを新聞で伝えよう―と加藤記者に新聞づくりを教えていただきました。

 当日の内容は、①新聞記者として取材したことから感じたこと②新聞記者の仕事内容③見出しや記事の書き方―の3部構成でした。

 見出しや記事の書き方については「5W1H」が重要であることを学習し、それを意識しながら、一面のコスモス畑の写真を見て記事を書く取り組みに挑戦しました。「コスモスの季節はいつだろう」「このコスモス畑に来ている人はだれだろう」「どんな会話をしているのだろう」と想像を膨らませながら記事を書いていました。

 淡路島で国内最高齢のコアラが死んだ記事に見出しをつける取り組みでは、実際の記事とよく似た見出しを付けることができた児童もいて、うれしそうな笑顔でガッツポーズをしていたのが印象的でした。

    加藤記者からは、発生から25年になる阪神・淡路大震災震災の記事を書くため、何度も取材に通うことで被災者と心を通わせ、被災者の思いを知ることができたとうかがいました。取材する相手に寄り添うことの大切さを感じました。

 残念ながら新型コロナウイルス感染症対策による休校のため、実際に新聞を作ることはできませんでしたが、しっかりとノウハウを学ぶことができたと感じています。

南 志乃婦(兵庫県淡路市立志筑小学校主幹教諭)(6日12日)

[写真説明]書いた記事を発表する児童

20年2月11日付読売新聞朝刊淡路版の記事

aitokugakuennkikou.jpg

 当校では2020年3月から新型コロナウィルス感染拡大防止のための休校が続いていましたが、緊急事態宣言の解除を受け、5月下旬から分散登校を始め、6月1日から学校を再開しました。

 愛徳学園中・高等学校では臨時休校になった3月上旬から、これから受験期に入る高校2年生(現・3年生)を対象に、普段使っている授業支援アプリ「ロイロノート」(タブレット端末)を使って遠隔授業ができないか検討を始めました。日頃は対面授業の中で、文房具の一つとして使っている「ロイロノート」ですが、対面ではない授業は初めてで、どう使えばよいか各教員で試行錯誤しました。その結果、ロイロノートのカード(スライドのようなもの)に文字や図、写真、ときには動画を入れ、音声も載せて、自宅にいる生徒と送受信し、添削や解説を行うことで授業ができると考えました。

 3月下旬からオンライン授業(名称・『愛ちゃんねる』)として、高校3年生と2年生に講習を実施しました。講習では、生徒の「学びたい」という気持ちが強く感じられ、「伝わる」「できる」という手ごたえを感じ、大いに励まされました。4月に入っても休校が続いたため、中1生を除く全学年を対象に科目を絞ってのオンライン授業と、課題の郵送などで授業を行いました。さらに、5月11日からは全教科で正規の授業としてオンライン授業を行いました。

 そうした中、20年度からNIE実践を強化することになり、「新聞のすすめ」として、高校2年生と3年生を対象にした選択国語表現のオンライン授業で「新聞スクラップ」に取り組みました。

 「新聞スクラップ」は過去の授業でも行ったことがありますが、自分の興味のあることや進路に応じてA4サイズのノートに新聞記事を貼り、①記事のあらまし②問題点③その背景④自分の考えーを記入し、週に一度、自分のスクラップ帳をロイロノートで写真に撮り、送信し、教員がコメントを付けて返却するという取り組みです。

 離れていてもやり取りはスムーズで、教員からも話題を広げたり、他の記事の紹介などのコメントを付けたりしています。また、生徒がスクラップした新聞記事をテストの範囲にした漢字テストも週に一度行い、新聞を読む、新聞に興味・関心を持つということにつなげています。これから「コロナ後について考える」という小論文に取り組む予定で、さらに新聞記事の利活用を考えているところです。

 現在、学校も再開し、対面授業を行っています。オンライン授業は準備に時間がかかることや、ときに通信環境が不安定になることなど大変な面もありましたが、教員の「伝えたい」という思いを形にでき、生徒も後から繰り返し見たりするなど、オンラインならではの良さや可能性を実感できました。これからの授業の中で、対面とオンラインの良さを生かしたハイブリッドな授業で、生徒一人一人の深い学びを実現していきたいと思っています。

米田 俊彦(愛徳学園中・高等学校教諭)(6月8日)

[写真説明]生徒が提出したスクラップ帳。教員がコメントを書いて返信する

zoomsoukai.jpg

 学校教育の現場で新聞の活用を進める「兵庫県NIE推進協議会」の総会が5月29日開かれた。新型コロナウイルス対策として記者がオンライン授業を行ったり、小中・中高一貫校で実践を進めたりする事業計画を承認した。本年度の実践指定校は例年通り20校とする。日本新聞協会の承認を得て7月に正式決定する。

 同協議会は学識経験者や兵庫県教育委員会、神戸市教委、県内の学校、新聞・通信社で組織。

 総会はテレビ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を使って実施。同協議会の秋田久子会長が「現場の状況に合わせ、柔軟に活動したい」とあいさつした。

 県教委の西上三鶴教育長は「大変な時期だが、子どもたちが充実した教育活動をできるよう、NIEの協力をお願いしたい」、神戸市教委の長田淳教育長は「休業中、子どもたちは大変だったが、社会を意識した学びに触れた。そこにNIEの重要性を感じる」と述べた。(三好正文)=30日付神戸新聞朝刊