2020年5月アーカイブ

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     新型コロナウイルスの感染拡大で休校が長引き、子どもたちの学力向上をどう図ればいいか―。家庭学習に頼ることが多く、各家庭の協力にとても感謝しています。そして、学校は何ができるのかを日々模索してきました。

    伊丹市立天神川小学校が4~5月の休校中に行った、各家庭への課題プリントのポスティングは計5回に及びました。アナログな作業で、たくさんのプリントを印刷し封筒に入れ、子どもたちの顔を思い浮かべながら、こんなにも回ったことがないというくらい一軒一軒を回りました。

 算数や国語の宿題だけでなく、何か強く興味をもてる課題はないかと模索しているとき、読売新聞ワークシート(小学生版)が目に留まりました。各新聞社が作成しているワークシートは家庭での学習にとても役立つと感じています。読売新聞東京本社の教育ネットワーク事務局に問い合わせたところ、ワークシートを印刷して配布することを快諾していただきました。

 使用させてもらったのは、5月13日付の「明石・天文科学館 紙芝居や体操配信」です。明石市立天文科学館が、同館の人気キャラクター「軌道星隊シゴセンジャー」による紙芝居や簡単にできる体操の動画「おうちで天文科学館」をつくり、投稿サイト「YouTube」で配信しているという内容で、兵庫県の話題だったのも大きな理由です。

   ワークシートの「あなたは、手を洗っていますか」という質問に、ある子どもは「ちゃんとしっかり20秒洗っています」と回答していました。

 新聞には、リアルタイムで必要な情報が掲載されていることに気づいてほしい。こんな時期でも明るいニュースも載っていることも知ってほしいー。そんな思いがありました。

 まだまだ新型コロナウイルスの感染は心配ですが、「みんな待っているよ」を合言葉に、つながりを大切にした取り組みを進めています。NIEについても子どもたちの笑顔につながる実践を推進していきます。

竹安 雄一(伊丹市立天神川小学校教諭)(5月29日)

[写真説明]児童が回答を書き込んだ新聞のワークシート

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    兵庫県NIE推進協議会の記者派遣事業として、共同通信神戸支局の小島鷹之記者に1月23日、姫路市立豊富小学校で「新聞を使った調べ学習」と題したワークショップを行っていただき、5年生88人が参加しました。「調べることのプロ」である記者から学ぶ良い機会になりました。

 ワークショップは4、5人のグループに分かれ、「こども新聞」各紙から気になる記事を選ぶことから始まりました。記事を選んだ後、分からない言葉や記事の背景にあるものを調べる→情報を関連づける→模造紙に記事を貼り付け、周りに調べた内容を書き込んでいく→全員の前で発表する―という流れで進みました。

   児童たちは小島記者のアドバイスをもとに、インターネットや図書室の本で調べたり、他のグループにアンケートしたり、インタビューしたりしながら一つ一つの内容を掘り下げていきました。

   例えば―。「小学生8割、外遊びしません」という記事を取り上げ、児童ら30人に「月~金曜、外遊びを何回しているか」を尋ねたグループは「遊ぶ場所が制限されたり、門限があったりするが、もっと外遊びすれば健康になる」と発表しました。

  「新紙幣発行」の記事を選んだグループは、新しい肖像の渋沢栄一(1万円札)、津田梅子(5千円札)、北里柴三郎(千円札)の経歴を調べ、グラフで分かりやすく表していました。

   自分で調べ、仲間と相談し、伝える相手のことを意識しながらまとめる。「調べる」「集める」「まとめる」「伝える」のプロセスを主体的に進める子どもたちの姿が印象的でした。

 小島記者からは「新聞は簡潔に情報がまとまっているが、足りないと思えばさらに調べよう」「いろいろな情報があふれている時代。何が正しいか最後に判断するのは自分」「いつも『なぜ』という素朴な疑問や不思議を見つける目を大切に、身の回りの物事を見つめよう」とアドバイスをいただきました。

   今回の記者派遣事業は、ワークショップを通して調べ方を体感できた素晴らしい機会でした。本校は今年4月、隣接する姫路市立豊富中学校と一つになり、9年制の義務教育学校として開校し、新聞を「つかう」「つくる」活動を通した情報活用能力の育成を目指しています。20年度も記者派遣事業を積極的に活用していきたいと思っています。

   現在、新型コロナウイルスの感染拡大で臨時休業が継続中ですが、「みんな待っているよ」を合言葉に、つながりを大切にした取り組みを進めています。NIEについても、子どもたちの笑顔につながる実践を推進していきます。

井上幸史(姫路市立豊富小中学校教頭)(5月15日)

[写真説明]「新聞を使った調べ学習」に取り組む児童たち

20年1月24日付神戸新聞朝刊姫路版の記事