7月16日にいよいよ開幕した「山本二三展」。先だって15日に行われた開会式・内覧会の様子が、神戸新聞紙面で紹介されましたので紹介します。
人気作品の背景画180点
「山本二三展」が開幕
「もののけ姫」「天空の城ラピュタ」など人気アニメの背景画を集めた「日本のアニメーション美術の創造者 山本二三(にぞう)展」(神戸新聞社など主催)の開会式と特別鑑賞会が15日、神戸市中央区の市立博物館であった。日本を代表するアニメの美術監督山本二三さん(58)の作品約180点が並ぶ。一般公開は16日から9月25日まで。
▲数々のアニメの名作の背景画が並ぶ会場
=神戸市立博物館(撮影・宮路博志)
山本さんは宮崎駿、高畑勲両監督のヒット作に携わり、入念な取材に基づく精密な絵柄が特長。特に立体感のある雲の描写が「二三雲」として定評がある。
開会式で、神戸新聞社の高士薫社長が「『火垂るの墓』は戦中の神戸や西宮の光景が見事。神が宿ったような細部まで楽しんでほしい」とあいさつ。招待者約300人が作品に見入った。
「火垂るの墓」背景画
阪神間の戦禍 詳細に
「日本のアニメーション美術の創造者 山本二三(にぞう)展」(神戸新聞社など主催)の一般公開を前に、15日に神戸市立博物館であった特別鑑賞会。長編アニメ「火垂るの墓」(1988年)で描かれた神戸や西宮の情景に、年配の人たちから「懐かしい」との声が上がった。
▲細かな筆致で描かれた背景画に見入る人たち
=神戸市中央区京町、神戸市立博物館(撮影・宮路博志)
野坂昭如さんの同名小説が原作の「火垂るの墓」は、主人公の兄妹が神戸大空襲に遭遇した東灘区御影地区や、疎開生活を送った西宮市夙川地区が主な舞台。焼い弾で赤く染まった住宅密集地や、焼け残った御影公会堂などが実写さながらに描かれている。
この日、会場を訪れた山本二三さんは「野坂さんは御影は案内してくれたが、西宮は『思い出すのもつらい』と行かなかった」と制作時の逸話を明かし、空襲体験者の矢田立郎市長も「こんな風に火の中を走って逃げましたよ」と感慨深げだった。
▲「火垂るの墓」で描かれた空襲後の国民学校(現小学校)
((c)山本二三)
会場ではほかにも「天空の城ラピュタ」(86年)のロボットや、「もののけ姫」(97年)の「獅子神の森」など宮崎駿監督のヒット作のほか、「時をかける少女」(2006年)などの原画が年代順に展示されている。
月曜休館(祝日は翌火曜日が休館。8月15日は開館)。神戸市立博物館TEL078・391・0035一般千円、大学高校生700円、小中学生400円。
(直江 純)
*2011年7月16日、神戸新聞掲載