戦時中の神戸・西宮が舞台となった「火垂るの墓」。この作品が見る者に衝撃をもって迫ってくるのは、内容もさることながら、現実味あふれる美術によるところも大きいと思います。今回は、そんな美術の舞台となったロケ地を巡り、紹介します。後編では、西宮市の夙川を中心に紹介します。
2人が疎開したおばさんの家があるのが
現在の阪急・夙川駅の北側。
実際に原作者の野坂昭如さんが疎開していた
満地谷町のあたりがモデルになっています。
▲このまちにある階段。アニメの背景でも少し登場
すぐ近くには、貯水池・ニテコ池があります。
ここは、清太と節子が
たくさんのホタルを目にした場所。
おばさんの家を出て、
2人での生活を始めるのもこの池の脇です。
物語の中で2人が生活していた横穴は
実際には見あたりませんでしたが、アニメと同じ
緑豊かな水辺の風景が広がっています。
会場では作品番号72~74、78あたりに
このニテコ池が描かれています。
南に行くと、2人が海水浴に行った香櫨園浜が。
戦時中であることを一時忘れさせるような、
楽しそうな2人の姿が描かれた浜です。
現在も、マリンスポーツを楽しむたくさんの人で
にぎわっていました。
浜から土手を上ると、西宮回生病院があります。
海水浴からの帰り、
病院に面会に訪れていた女性の姿を見た清太が
母を思い出すシーンでこの病院が登場しました。
奥の本館部分は改築されたようですが、
手前の玄関部分は、当時の面影を残しています。
「火垂るの墓」の舞台となった場所が
数多く残る神戸、西宮界隈。
ピクチャーハンティングの際に
二三さんや高畑監督もこのあたりを訪れたとのことです。
ゆかりの地を巡って、
作品をより深く味わってみてください。