きょうは、待ちに待った「山本二三展」初日。会場では14時から、ご本人を迎えての講演会が行われ、二三さんのふるさとや作品への思い、スタジオジブリの制作現場など、貴重なお話が次々に飛び出しました。後編では、お仕事についてのお話をお伝えします。
中学卒業後にふるさとを離れるまで、
家業の農業に多くの時間を費やしていたという
二三さんですが、当時から絵は好きで、
「西日本スケッチ大会」で入選したことも。
画用紙が家にないときは、自分の部屋のふすまに
こっそり絵を描いていたそうです。
その後、ふるさとを離れ、
高校で建築、専門学校でアニメーションを学びました。
美術監督を務めた「未来少年コナン」では、
宮崎駿監督に「白い雲を描け」と言われ
かなり練習したそう。
二三さんの描く雲といえば
「二三雲(にぞうぐも)」と呼ばれて有名ですが、
これについて二三さんは
「昆虫の名前みたいで嫌でしょ」と苦笑い。
会場を爆笑のうずにしていました。
この二三雲が象徴的に使われているのが、
同展のポスターにも起用されている「時をかける少女」。
この絵は、最初の予定では
キャラクターが左によっていたので、
左の影のあたりをあまり描きこんでいなかったそう。
しかし、納品されたものを見ると
キャラクターが右によっていてびっくり。
細田監督には、「もっと描きこんでください」
と怒られてしまったとか...。
▲「時をかける少女」 踏切
今回の展示でもひときわ目を引いている
「もののけ姫」の背景画の数々は、
毎日12時間、土曜も休みなしで作業し、
2年間かけて完成したそう。
幅150センチの「獅子神の森6」は、
何枚もセルを重ねたことや、
微妙な水面の描写に時間がかかり、
2週間かけて仕上げた大作です。
こちらの作品は、ぜひ会場で実物を見てみてください。
「火垂るの墓」の話では、制作時のこぼれ話も。
当時、宮崎駿監督率いる「となりのトトロ」班と、
高畑勲監督率いる「火垂るの墓」班の
2チームにわかれていたスタジオジブリ。
それぞれ、歩いて5分ほど離れたところで
作業をされていたのですが、
2人の監督はお互いの進捗状況が気になって
相手チームの仕事場を頻繁に偵察していたそう。
二三さんは、設定画を見た宮崎監督から、
「『トイレが広すぎる』とか言われたんですよ」
とダメ出しを受けたことも暴露。
大変な経験や失敗談も、
笑いながら話してくださった二三さん。
1時間半の講演は終始、笑いに満ちた時間でした。