2019年8月アーカイブ

 新聞を題材に人権問題を考えるワークショップが8月29日、高砂市阿弥陀町阿弥陀の鹿島中学校で開かれた。NIE(教育に新聞を)事業の一環。生徒たちは、いじめや差別を身近な問題として考えた。

 講師は県NIE推進協議会コーディネーターで、同校元校長の田中茂典さん(62)。1年生各クラスの道徳の授業で取り組んだ。
 田中さんは、性別を巡る不適切な取材をしたとして批判されたテレビ番組の記事を取り上げた。
 お笑い芸人が飲食店の客を直撃し、体を触り、被保険者証を見て男性か女性かを確認する様子を笑いを交えて放映すると、「人権侵害だ」と批判された。田中さんは生徒たちに人権を脅かすとはどういうことかを問い掛けた。
 生徒は3、4人のグループに分かれ、無視やいじめ、暴力など自分がされたくない具体的な事柄を考えて、縦80センチ、横50センチの模造紙に書き込んで発表した。
 小原大翔(こはら・ひろと)君(12)は「みんなが嫌なことを、共有できて良かった。いじめや差別をなくすため、自分も行動する必要があると、あらためて感じた」と話した。(本田純一)=30日付神戸新聞朝刊東播版

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田中茂典さんに促され、模造紙に人権を脅かす事例を書き込む生徒たち=鹿島中学校

 生徒の感想 田中柚葵(ゆずき)君「たとえ本人が構わなくても周りの人が不快に思うことをするのは良くない」、山元ひなたさん「いじめは絶対だめ。みんなが楽しく過ごせる教室にしたい」

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 教育現場での新聞の活用を探る「第9回近畿NIEフォーラム」(日本新聞協会など主催)が8月20日、大阪市北区の朝日新聞大阪本社で開かれた。近畿各府県の教員や学生ら約90人が現場での実践に触れ、新聞を使ったワークショップ「まわしよみ新聞」に参加した。このうち兵庫からは約35人が参加した。

 兵庫県NIE推進協議会の秋田久子会長が挨拶。実践発表では、養父市立建屋(たきのや)小学校の安本由香教諭が、ゲームを通じて英語を学ぶ授業「イングリッシュマラソン」を紹介。英字新聞を切り抜いて英単語を完成させたり、指定されたアルファベットを見つけたりする取り組みを通じて「英語への苦手意識が、楽しむ気持ちに変わってきた」と話した。
 「まわしよみ新聞」のワークショップを前に、日本新聞協会NIEコーディネーターの関口修司さんが「新聞読み比べの勧め」と題して講話。「まわしよみ新聞」は、気になる記事を切り抜いて壁新聞を作る過程で、話題を共有する。発案者で「NPOまちらぼ」代表の陸奥賢さんが指導。参加者は班に分かれ、全国紙やブロック紙、地方紙から興味のある記事を紹介し合い、壁新聞にまとめた。
 姫路市立朝日中学校の佐伯奈津子教諭は「さまざまな世代の人と話し合うことで気づくことが多い。子どもたちにとっても、新聞をめくるだけで新たな発見があると思う」と話した。

[写真説明]「まわしよみ新聞」のワークショップに取り組む参加者=大阪市北区中之島2