2025年3月アーカイブ

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 阪神・淡路大震災などの災害や防災について学んできた須磨友が丘高校(神戸市須磨区友が丘1)の1年生9人が、災害が多い国として知られるトルコの中高生とオンラインで交流した。互いの国の文化を紹介したり、防災について意見を交わしたりした。

 須磨友が丘では、複数教科の視点からテーマを決めて課題に取り組む授業を実施しており、そのうちの一つに「防災」がある。トルコの学校から県を通して依頼があり、交流が実現した。

 やりとりは全て英語で行われ、日本の生徒は、阪神・淡路や東日本など大地震が多い国とし、避難用の備品を定期的に確認する重要性を指摘。学校が避難所になった場合の運営方法など学習の成果も説明した。

 トルコの生徒も、地震や洪水などの災害が多いと明かし、「日本では地震の際どのように自分の身を守ろうとしているのか」などと質問した。

 互いの国の文化も紹介し合った。トルコからは、オスマン帝国の支配下にあった歴史や、ケバブやヨーグルトなどの食を説明。日本は、着物や神社など特有の文化をはじめ、神戸港の変遷や現在の街並みなどを伝えた。

 峯明佳里(みね・あかり)さん(16)は「トルコはかなり災害の多い国で、防災教育にも力を入れていることに少し驚いた。防災への関心を国内だけでなく海外にも広げたい」と話していた。(安福直剛)=3月18日付神戸新聞朝刊神戸版

[写真説明]防災をテーマにトルコの学校と交流する高校生=須磨友が丘高校

※須磨友が丘高校は日本新聞協会のNIE実践指定校です。同校の防災の取り組みは、今年夏の「第30回NI全国大会神戸大会」で発表される予定です。

◆須磨友が丘高校が近隣の神戸市立横尾小学校で行った防災授業の記事はこちら、同市立多井畑小学校で行った防災授業の記事はこちら

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 県内のNIE(教育に新聞を)の代表的活動校の一つ、西宮市立浜脇中学校(宮前町)の活動を紹介する展示会が、同市立中央図書館(川添町)で開かれている。

 展示会では今年1月、「住み続けられるまちづくりを」のテーマで2年生14人がアイデアを発表した授業を振り返り、公共交通の無償化▽雷を使った自然エネルギー▽二酸化炭素からつくる水▽衛星利用測位システム(GPS)による認知症対策―などの資料を展示。各テーマに関連した図書も紹介している。

 4月2日まで。月曜休館。同館☎0798・33・0189 (三好正文)=3月20日付神戸新聞朝刊阪神版

[写真説明]浜脇中のNIE活動を紹介する展示=西宮市立中央図書

◆浜脇中生が「住み続けられるまちづくりを」をテーマにアイデアを発表した授業の記事はこちら

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 兵庫県NIE推進協議会が、2025年度のNIE実践指定予定校で「プレ出前授業」を行っている。先生たちがNIE実践を始めるのを前に導入として、新聞にあまりなじみがない児童生徒に新聞の特長や読み方を伝えている。

 25年度、兵庫県では新規・継続校合わせ27校を日本新聞協会または同協議会のNIE実践校に指定予定で、プレ出前授業は、同協議会事務局長が新規校で行う。同協議会が数年前から続けている取り組みで、NIE実践担当の先生に向けた事前説明に合わせ、あいさつ代わりの出前授業を行っている。

 3月4日、神戸市立雲雀丘中学校(同市長田区)では2年生44人を対象に、新聞と新聞記者の話をした。

 新聞の特長として記事の一覧性と網羅性を挙げ、「新聞は関心のない話題も目に入るので知識の幅が広がる」「紙面をめくれば、いろんなニュースを知ることができる」と説明した。最近気になった記事を生徒たちが話し合ったり、記事に見出しをつけたりするワークショップも行った。

 記者の仕事では、自身が会った著名人や、震災報道や犯罪被害者支援など関わってきた仕事を紹介。「信頼できる情報を届けることと、人命と人権を守ることが大切な仕事。現場第一主義で、そこに行かないと分からない具体的な情報や、ディテール(細かい事実)を届けるよう心がけている」と話した。

 無読者層が目立つ中、各校にどうNIE活動を進めてもらうか、2年間の指定期間が終了した後も活動を続けてほしい――。それは、今年夏の「第30回NIE全国大会神戸大会」をバネにして、長く取り組まねばならない課題だろう。試行錯誤が続く。

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2025年3月19日)

[写真説明]新聞と新聞記者の話を聞く生徒たち=神戸市長田区雲雀ケ丘1、雲雀丘中学校

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 NIE(教育に新聞を)活動を進める兵庫県NIE推進協議会(事務局・神戸新聞社内)が2024年度、県内のNIE実践校に指定されている全28校で行った記者の出前授業が、過去最多の55回に上った。今夏に神戸市内で開かれる「第30回NIE全国大会神戸大会」を控え、大会の実践発表などに役立てたいと、各校からの依頼が急増した。25年度に新しく実践校になる学校での出前授業も既に始まっている。

 記者を派遣しているのは兵庫に取材拠点を置く新聞・通信計8社。実践校には小中高と小中高一貫校・中高一貫校、特別支援学校が指定されている。

 出前授業のテーマは、新聞の読み方や経済記事との付き合い方、記者の仕事、インタビュー取材のこつなど多岐にわたる。阪神・淡路大震災の発生から30年を迎え、発生当時、被災地で取材した神戸新聞記者と産経新聞記者によるコラボ授業もあった。

 ほかに、新聞作りアプリを使った新聞製作▽総選挙に合わせた主権者教育と模擬投票▽平和学習▽調べ学習の成果を新聞に―といったテーマもあった。授業を受けた児童生徒の感想は、同協議会のサイト内にある「わたしの感想NIE」コーナーで紹介している。

 神戸新聞記者らが「まわしよみ新聞」作りや震災授業を行った甲南小学校(神戸市東灘区)の田代弘子司書教諭は「出前授業を通し、児童は主体的に学び考える姿勢を育むことができる。教員はNIEの核心を学び、記者と直接交流することで自信を持って指導できるメリットがある」と話している。

 NIE全国大会神戸大会は7月31日に神戸ポートピアホテル、8月1日に甲南大岡本キャンパスで開かれる。(県NIE推進協議会事務局長 三好正文)=3月27日付神戸新聞朝刊ひょうご総合面

[写真説明]記者の仕事の面白さを語る共同通信社神戸支局の伊藤愛莉記者=洲本市、洲本高校

■愛徳学園小学校(1月28日、対象・5年生15人) 神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが「記者の仕事」をテーマに授業を行った。記事を書く基本は「5W1Hや『逆三角形』スタイル」と説明。インタビュー記事の実際として、担任教諭にインタビューしてその場で記事にした。

児童の感想

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 6434人が犠牲になり、3人が行方不明のままの阪神・淡路大震災は2025年1月17日で発生30年を迎えた。兵庫県NIE推進協議会が長年、兵庫県内外の学校で行っている「震災授業」はいまも続けられ、24年度の実施校は県内の小中高校11校に上った。当時、神戸などの被災地を取材した産経新聞と神戸新聞の記者によるコラボ授業や、当時まだ生まれていない神戸新聞の防災担当記者が講師を務めたケースもある。

 2月26日、西宮市立浜脇中学校での授業は、産経新聞大阪本社編集局の岸本佳子夕刊編集長と神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザー(兵庫県NIE推進協議会事務局長)が講師を務めた。30年前、ともに記者として被災地取材に当たった。

 岸本編集長は、被災者であふれる避難所や公衆電話に並ぶ人たちなど当時の写真を紹介。「震災で日常が一変した被災者の思いを届けなければ、と取材を続けた」と振り返った。震災報道を続ける意味として「昨年元日の能登半島地震など、各地で災害が発生している。防災に関する新たな課題や阪神・淡路の教訓を伝えたい」と力を込めた。

 三好アドバイザーは大震災当日、神戸・三宮にあった神戸新聞本社で宿直勤務だった。震度7の瞬間や被災地の惨状を説明し、「能登半島地震と阪神・淡路の光景が重なった。若い世代に記憶と教訓をバトンをつないでほしい」「多くの人命が助かったケースはよく『○○の奇跡』といわれるが、そこには伏線がある。日頃から共助を大切にしたい」と話した。

 阪神・淡路の記憶と教訓を若い記者が受け継ぐことは大きな課題だ。1月21日、神戸海星女子学院小学校(神戸市灘区)での授業は、三好アドバイザーと神戸新聞で防災を担当する名倉あかり報道部記者(当時)が講師を務めた。

 震災が起きた1995年生まれの名倉記者は、自身の名前に「暗い世の中を照らせるように」との思いが込められていると紹介。「まずは自分の命を大事にして、次の地震から身を守るために一緒に阪神・淡路の記憶をつなぎたい」と語った。

 甲南小学校(神戸市東灘区)では、児童たちが被災時を想定し、防寒やプライバシー保護を考慮した段ボールハウスを作った。

 このほか、出前授業では阪神・淡路の発生直後、ラジオ関西(本社・神戸市)が神戸市長田区の火災現場から生中継した放送音源を紹介したり、事前に校内に当時の報道写真を掲示したりもしている。

 災害の記憶が薄れる「30年限界説」が言われる中、さらに震災授業を続けたい--―。いまは災害と災害の間を生きている「災間」なのだから。

◆兵庫県NIE推進協議会が行った24年度の震災授業一覧はこちら

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2025年3月17日)

[写真説明]阪神・淡路大震災30年をテーマに語る産経新聞の岸本佳子さん(左)と、神戸新聞の三好正文アドバイザー=西宮市宮前町、浜脇中学校

■愛徳学園中・高校(2月27日、対象・高校1年生21人) 時事通信神戸総局の清水泰至総局長が、身近な話題を通して経済ニュースをやさしく解説した。将来、ロシアによるウクライナ侵攻が終わったとき、物価は上がるか下がるかー。「半歩先を考え、自分なりの答えや対応策を考えよう」と呼びかけた。

生徒の感想

■神戸市立雲雀丘中学校(3月4日、対象・2年生44人) 神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが「新聞の読み方や記者の仕事」をテーマに授業を行った。「現場第一主義で、そこに行かないと分からない具体的な情報や、ディテールを読者に届けるよう心がけている」と強調した。

生徒の感想

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時事通信神戸総局長が講師に

 時事通信社神戸総局の清水泰至総局長が、神戸市垂水区歌敷山3の愛徳学園高校で「経済ニュースを通じて半歩先を考える」と題して講演し、1年生21人が聞き入った。

 同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。清水総局長は「経済とはお金の流れ。経済ニュースを通じ、これからどうしたらいいか、自分なりの答えを見つけよう」と呼びかけた。

 日本のファストフード店が提供するオレンジジュースがSサイズのみになった話を通し、「どうしたらいいか」を考えた。ブラジルのオレンジが不作だったのが理由で、「他国から輸入する」「別のジュースで我慢する」などの案が出た。

 将来、ロシアによるウクライナ侵攻が終わった場合、物価は上がるか下がるか―についても意見を出し合った。「まちの再建で世界中の資材が必要になる」などの理由で、さらに物価が上がるとの見方もあった。

 生徒の森脇乃愛(のあ)さん(16)は「ウクライナ侵攻の行方が物価にどう影響するかの話が興味深かった」と話した。(三好正文)=3月7日付神戸新聞朝刊神戸版

[写真説明]経済ニュースを易しく説明する時事通信の清水泰至神戸総局長=愛徳学園中・高校

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

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 新聞を教材として活用するNIE(教育に新聞を)活動に取り組む網干西小学校(姫路市網干区浜田)で、小学生と高校生が地域防災について考える公開授業があった。同小5年生57人と網干高校(同区新在家)の2年生16人が参加。県内小中高校の教諭らを前に、新聞やインターネットで調べたことを発表した。

 両校は日本新聞協会のNIE実践指定校。同小が総合的な学習の時間で防災を学ぶ中、同じテーマに取り組む近くの同高に声をかけ、合同授業が実現した。同高は今年夏、神戸市であるNIE全国大会で成果を発表する。

 公開授業は、2月12日に実施。小学生は津波や防災グッズ、避難生活といった八つのテーマに分かれ、作成した壁新聞の前で寸劇などを交えながら成果を発表した。続いて高校生が、クイズ形式で地域の防災設備を紹介。その後、地域の共助についてグループで議論した。

 南海トラフ地震について発表した同小の児島佳乃香さん(11)は「見ている人に楽しく伝わるよう、はきはき話せた」。同高の辰本一真さん(17)は「共助で実際に何をできるか、災害の発生前に、具体的に決めておかないといけない」と課題を見つめていた。(辰巳直之)=2月28日付神戸新聞朝刊姫路版

[写真説明]防災について調べた成果を発表する児童ら=網干西小学校

◆実践された網干西小学校の北上順公教諭、小谷由紀教諭、網干高校の佐々木浩二教諭の寄稿(授業のねらいや感想、展望)はこちら

◆参加者の感想はこちら    児童・生徒のみなさんの感想はこちらに掲載しています。

 日本新聞協会NIEサイトにもリポートが掲載されています。リポートはこちら

■姫路市立網干西小学校(2月12日、対象・5年生57人) 網干高2年生16人とともに「地域防災」について考えた。小学生は津波や避難生活など8つのテーマで作成した壁新聞について寸劇などを交えて発表。高校生はクイズ形式で地域の防災設備を紹介。その後、「共助」についてグループで話し合った。

網干西小学校 児童の感想   網干高校 生徒の感想

※2月12日の姫路市立網干西小学校の公開授業を担当した北山順公教諭、小谷由紀教諭、網干高校の佐々木浩二教諭に、ねらいや展望をご寄稿いただきました。

                          私たちの防災(小高連携授業)
                                                授業者:北上 順公、小谷 由紀、佐々木 浩二

本時のねらい
 同じ地域で過ごす小学生と高校生が、防災について自分たちで調べたことを伝え合う活動を通して、地域の防災力を高める必要性に気づき、地域の「共助」に関して自分にできることを具体的に考える。
 小学生...総合的な学習の時間、社会科 
 高校生...総合的な探究学の時間、地理総合、地理探究

実践内容
 小学生
 新聞記事より、地震など自然災害について知り、総合的な学習の時間の防災学習のスタートとした。自分の気になる災害について新聞だけでなくインターネットや図書館などで調べ、まとめた。次に同じテーマの者同士でグループを作り、防災に関する壁新聞としてまとめ、発信することとした。発信の場は2月12日の公開授業と26日の参観日。公開授業では「網干地区 防災会議」と題して、発表を高校生に見てもらい、網干地区の未来を担う若者として共に防災について考える。参観日には、1年間の成長を保護者に見てもらい、地域の防災(ふるさと網干の防災)について子どもたちの学びや思いを知ってもらうことを目的とした。
 発表に向けて、班ごとに発表の方法や内容、分担を考え何度も練習をした。興味を持って見てもらえるように、また、わかりやすく納得してもらえるように指示棒などの小道具を使い、見せ方の工夫をした。発表は、壁新聞を使ってどの班もとても一生懸命生き生きと発表できた。小学生は主に「自助」についての発表となった。高校生の発表からは、網干地区の「公助」の様子がわかり、自分たちは公助によって守られていることが実感できた。最後に高校生からは「共助」が必要であることの提案があった。高校生と共に、「共助」を実践するために自分たちができることを考えた。高校生がヒントを与えてくれたり、進めてくれたりして、班で出た意見をまとめ発表した。「網干地区 防災会議」は思いやりや優しい心で地域と共に命を守ることができる「共助」の心を大切にしていく決意をして締めくくられた。
 高校生
 2年生(151人)を中心に地理総合の授業を週2時間、総合的な探究の時間を週1時間行っている中で、「防災と都市」という分野で35人が選択し、4月から探究活動を始めた。当初は「世界の災害・日本の災害」を学びながら進め、24年度は、「阪神・淡路大震災30年」の年でもあり、生徒も熱心に取り組んでいた。夏季休業中は、テーマごと(建築・土木・都市・医療・看護・救急・歴史・地名・ことわざ・災害伝承・避難所・企業など)に分かれて、「兵庫県の防災」についてのレポートをまとめ、9月に中間発表を行った。
 生徒の見学先...阪神淡路大震災記念館(人と防災未来センター)、Eディフェンス(兵庫耐震工学研究センター)、明石海峡大橋と橋の科学館、北淡震災記念公園(野島断層保存館)、姫路市防災センター(耐震・免振・制震の仕組み見学)、姫路市・たつの市にある防災遺構(畳提・千本松跡・火の見櫓など)や防災設備(ポンプ場・砂防ダム・河内遂道など)を自転車で巡る班もあった。
 9月以降は、沖縄への修学旅行に向けての事前学習で、沖縄の災害にも関心を持ち調査した。日本各地で起こっている災害に対して関心を持ちながら、2月に行われる網干西小学校での連携授業に向けて準備を始めた。
 小学校の教員と高校の教員が授業を共同して創る過程では、授業のめあて・目標を立て、授業の展開を考え、最後のまとめまで、教員相互がアイデアや意見を出しあって、指導案にまとめることができた。
 話し合いの中で、小学5年生が取り組んでいる「防災壁新聞」、高校2年生が取り組んでいる探究活動の内容を紹介しながら本番を迎えることができた。
 高校生は多様なテーマに分かれて防災を探究することができ、その成果の一部を網干西小学校の児童にも伝えることができ、共に学び合えたことは、将来起こる災害に対する「共助」につながる活動になったと確信している。

展望
 異校種間連携として小高では理解度の差があるのではと心配した。しかし、「網干地区」という共通の課題であったこと、網干高校では「地域防災」「防災ツーリズム」として地域の防災に特化して調査・研究を進めているため、小学生にとっては高校生の調査結果は自分たちが調べ得なかった内容で新たな発見となったこと、高校生が小学生にもわかりやすくスライドの作成や発表をしてくれたことによって両者でしっかりと話し合い活動ができた。今後も、テーマを変えてこのような異校種間連携ができればと思う。この連携がまさに「共助」につながるものであると考える。「網干地区 防災会議」は防災訓練と共にさまざまな形で行われてもよいのではないかとも思う。今回、NIEでつながった小高連携を今後も継続できればと考える。

先馬耕一・神戸市立東町小学校教諭

 壁新聞プレゼンテーションを行う小学生たちの姿が自信にあふれているのにはとても感心しました。手作りの小道具なども用意して、どのようにすれば伝えられるのかとの工夫がうかがえたのが喜ばしかったです。

 授業者の方からの説明にあったように、新聞の紙面構成や見出しの付け方などの事前学習と発表が行われての今日の発表。情報伝達における新聞の役割、社会的な使命なども感じられました。

赤木富美子・兵庫県立山崎高校教諭

 体育館に入ってすぐ、調子を合わせた拍手が聞こえました。授業態勢に入る前の、関心を前に向ける取り組みだったのだなと拝見して、小学校の先生方の工夫にまず感心しました。

 壁新聞を紹介する5年生のプレゼンは、時間をかけて準備したことが分かる細やかさで、手作りの指示棒や紙芝居など小道具を使って分かりやすくしていました。話す時の役割分担がしっかりできており、その後の意見共有の時間には、児童の司会進行のスムーズさと皆が議論の型を守って順番に発言する姿を見て、やはり先生方の指導の丁寧さに頭が下がる思いでした。児童の勢いにおずおずと入っていく男子高校生徒の姿も、優しいお兄ちゃんのようでほっこりしました。

 防災についてはどんなに学習しても、どこか他人ごとのような気持ちになりがちですが、この授業は同じ地域の学校に通う高校生と小学生が集い、「網干の」誰もが助かるために、と何度も「網干」を強調していたことで、自分ごととして考えることができたのではないかと思います。「共助」の大切さのしめくくりが「優しい心」であったのが印象的でした。

 帰りに、これからNIE導入予定の小学校の先生方が、導入の可否や不安を話している様子を見かけました。「時間がない、余裕がない」のは実際真実であると思います。が、やってみるとその教育効果は絶大であると私は信じています。心のハードルを下げて、一度取り組んでみてはどうでしょうか。

松浦里和子・姫路市立妻鹿小学校教諭

 先日、研究会に参加させていただき、ありがとうございました。NIEという言葉は知っていましたが、このような活動や取り組みをされていることを知らなかったので大変勉強になりました。また「ひょうごNIE通信」を読んでいて、「新聞使って運動会」のような活用の仕方もあるのかと驚いたのと同時に、少し親近感ももちました。

 まずは、授業研究をされた先生方に尊敬の念をいだきます。授業を参観しての感想ですが、NIEの代名詞でもある壁新聞を使っての小学生による発表は、アウトプットに工夫がなされたものでした。また、高校生の発表は、参考文献に新聞社の名前が入っていたので、新聞を活用してスライドを作成していることが分かりました。

 ただ、NIEをどのように取り入れ、どの観点をもって参観したらよいか、また、1時間の参観の中では2年間の取り組みが少し分かりづらかったので、今までの取り組みの内容の展示などがあれば、より詳しく、多方向からNIEを見られたのではないかと思いました。

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神戸新聞アドバイザーが講師に

 新聞記事の読み方や記者の仕事を知る出前授業が3月4日、神戸市長田区雲雀ケ丘1の雲雀丘中学校であり、2年生44人が参加した。神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 同校は2025年度から日本新聞協会のNIE実践校に指定される予定で、まず、記者の出前授業を体験しようーと企画した。

 三好アドバイザーは「最近のニュースで気になったものは」と問いかけ、生徒から、埼玉県八潮市の道路陥没や、神戸・三宮の商業ビルのエレベーター事故、岩手県大船渡市の大規模山林火災などが挙がった。三好アドバイザーは「気になったニュースを友達や家族で話し合おう。特に気になったニュースを詳しく調べ、よりよい社会をつくるきっかけにしてほしい」と話した。

 新聞記事の特徴として、多くが大事なことを前文に書く「逆三角形」スタイルで書かれている、と説明。「全部読もうと思わなくていい。見出しと前文を読めば必要なことがざっと分かる」と話し、気軽に新聞を手にするよう勧めた。

 記者の仕事について、「信頼できる情報を届ける、人命と人権を守るーの2つが最も大切な仕事。現場第一主義で、そこに行かないと分からない具体的な情報や、ディテール(細かい事実)を届けるよう心がけている」と話した。

[写真説明]「気になったニュースを詳しく調べよう」。三好アドバイザーの話を聞く生徒たち=雲雀丘中学校

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

「ひょうごNIE通信」第7号を発行しました。「第30回NIE全国大会神戸大会」(7月31日、8月1日)の初日の概要を紹介。パネル討議は「情報で、いのちを守る」をテーマに、ジャーナリストの池上彰さん、古田大輔さんらが登壇します。開会式では世界的指揮者の佐渡裕さんとスーパーキッズ・オーケストラが演奏します。ご期待ください。

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