NIE(教育に新聞を)活動を進める兵庫県NIE推進協議会(事務局・神戸新聞社内)が2024年度、県内のNIE実践校に指定されている全28校で行った記者の出前授業が、過去最多の55回に上った。今夏に神戸市内で開かれる「第30回NIE全国大会神戸大会」を控え、大会の実践発表などに役立てたいと、各校からの依頼が急増した。25年度に新しく実践校になる学校での出前授業も既に始まっている。
記者を派遣しているのは兵庫に取材拠点を置く新聞・通信計8社。実践校には小中高と小中高一貫校・中高一貫校、特別支援学校が指定されている。
出前授業のテーマは、新聞の読み方や経済記事との付き合い方、記者の仕事、インタビュー取材のこつなど多岐にわたる。阪神・淡路大震災の発生から30年を迎え、発生当時、被災地で取材した神戸新聞記者と産経新聞記者によるコラボ授業もあった。
ほかに、新聞作りアプリを使った新聞製作▽総選挙に合わせた主権者教育と模擬投票▽平和学習▽調べ学習の成果を新聞に―といったテーマもあった。授業を受けた児童生徒の感想は、同協議会のサイト内にある「わたしの感想NIE」コーナーで紹介している。
神戸新聞記者らが「まわしよみ新聞」作りや震災授業を行った甲南小学校(神戸市東灘区)の田代弘子司書教諭は「出前授業を通し、児童は主体的に学び考える姿勢を育むことができる。教員はNIEの核心を学び、記者と直接交流することで自信を持って指導できるメリットがある」と話している。
NIE全国大会神戸大会は7月31日に神戸ポートピアホテル、8月1日に甲南大岡本キャンパスで開かれる。(県NIE推進協議会事務局長 三好正文)=3月27日付神戸新聞朝刊ひょうご総合面
[写真説明]記者の仕事の面白さを語る共同通信社神戸支局の伊藤愛莉記者=洲本市、洲本高校