兵庫教育大学附属中学校(加東市山国)は毎年、阪神・淡路大震災が発生した1月17日の前後に「防災学習」を行っています。2020年度は、日本新聞協会のNIE実践校に指定され、兵庫県NIE推進協議会の記者派遣事業(出前授業)を活用し、防災学習することにしました。
震災から27年目に入った21年1月18日、神戸新聞阪神総局の名倉あかり記者(現・社会政経センター員)と、神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーを講師に招きました。お二人の震災報道のあり方についての講演と、本校の生徒3人と幼児の頃に震災に遭った教師も加わったパネルディスカッションを通し、全校生徒約280人が防災学習への理解をより深めてもらうねらいです。
テーマは「震災報道を通じて阪神・淡路大震災を伝える意義」。震災の年に姫路市で生まれた名倉記者は「震災を知らない世代が、次の世代に震災をどう伝えていくかを考えることが必要」と話されました。震災当日、神戸・三宮の神戸新聞本社で宿直勤務だった三好アドバイザーからは、当日の壊滅的な街の様子や、全壊した神戸新聞本社の被災状況について話がありました。
パネルディスカッションでは、震災報道や防災学習を通じ、私たち一人ひとりが26年前の大震災にどう向き合うか。これから予想されるさまざまな災害に対し、どう対応し、防災・減災につなげるか―を考えました。
パネリストとして参加した生徒の一人は「26年前、母は西宮市で被災した。初めは生きるのに必死だったが、しばらくして『記録を残さないといけない』と写真を撮った。その写真を見せられ、『記憶を記録する大切さ』を教えられた」と語りました。
当日、会場には神戸新聞が被災地を定点観測して撮影した写真パネルも展示されました。今回の記者派遣事業を通じ、生徒たちは、阪神・淡路大震災に向き合う貴重な経験ができたと感じています。
安永 修(兵庫教育大学附属中学校教諭=当時、現・川西市立清和台中学校教諭)(5月7日)
[写真説明]「震災の記憶」を語り継ぐ意義を語り合ったパネルディスカッション