記者派遣

【寄稿】「新聞記事ができるまで」を学ぶ~西宮市立浜脇中学校

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 兵庫県NIE推進協議会の記者派遣事業として、西宮市立浜脇中学校は1月22日、「新聞ができるまで」というテーマで講座を持ちました。講師は毎日新聞阪神支局の稲田佳代記者です。対象は全校生680人。新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、各学年代表の生徒9人が対面で講義を受け、その様子を全校生徒はモニター画面を通じて視聴しました。

 本校の1、3学年生徒は、社会科授業の一環としてNIEノートを作成しています。週に一度、自分が気になる記事をスクラップしてまとめ、感想を書きます。社会科の授業の導入として、書画カメラを使ってプレゼンテーションします。他生徒の発表を聞くことで、新たな気付きなどにつながっています。2年生は2020年12月、トライやる・ウィーク(兵庫の中学2年生を対象とした職場体験)の一環として、新聞記者の仕事を学び、記事を作成する活動をしました。

 当日の講座の内容は、①新聞記者の心構え、道具②記者としての体験③記者として必要なスキル④質疑応答-でした。

 ①については、メモの取り方、カメラなどの道具の準備、さらにできるだけの情報を集めてから取材へ行くために下調べの重要性を伝えていただきました。

 ②については、東日本大震災当時の稲田記者ご自身の体験を語ってくださいました。発生当日に、即座に宮城県に向かうようにという指示を受け、着の身着のままでワゴン車に乗り込んだそうです。また、記者となった当初は政治部門に在籍し、現在の菅首相ら著名人への取材経歴があることも教えてくださいました。現在は、阪神間で起こる事件の取材などをされています。その他、身近なニュースへの関わりなど、話は多岐にわたり興味深い内容でした。

 ③については、記事を書くうえで必要なものは「文章力」と「好奇心」だと説明してくださいました。例えば、新聞に小さく載っているジェンダー差別による社会問題の記事に関心を持ち、より詳しく取材することで真相へとつながり、社会への提言のひとつになったのではないか。そのような事例紹介が印象的でした。

 ④の質疑応答では、「今の時代の中、記事作りで意識していること」や「記者をしていて楽しかったこと」の質問に、「外出自粛で家庭の中に問題が潜んで外から見えにくい状態となったので、専門家に聞き、統計をもとに取材している」や「いろいろな人から貴重な話を聞かせてもらえること」と答えてくださいました。

 生徒の感想には「記者さんの行動力や強い好奇心、体力など、必要な力をたくさん知ることができた。今後の生活にも役立て、より文章力をつけていきたい」とありました。

 今後は、全生徒に配布されたパソコンも有効活用していきます。NIE活動を学校教育に結びつけ、新聞記事を通して社会全体の動きを学び、多角的に物事を思考できる学習活動を目指していきたいと思います。

渋谷仁崇(西宮市立浜脇中学校教務主任/NIE担当)(2月28日)

[写真説明]各教室にあるモニターを通じ、新聞記者の話を聞く生徒たち

21年1月23日付毎日新聞朝刊阪神版の記事