記者派遣

【寄稿】NIEを通して「調べる力」を育成~記者派遣事業を通して~

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    兵庫県NIE推進協議会の記者派遣事業として、共同通信神戸支局の小島鷹之記者に1月23日、姫路市立豊富小学校で「新聞を使った調べ学習」と題したワークショップを行っていただき、5年生88人が参加しました。「調べることのプロ」である記者から学ぶ良い機会になりました。

 ワークショップは4、5人のグループに分かれ、「こども新聞」各紙から気になる記事を選ぶことから始まりました。記事を選んだ後、分からない言葉や記事の背景にあるものを調べる→情報を関連づける→模造紙に記事を貼り付け、周りに調べた内容を書き込んでいく→全員の前で発表する―という流れで進みました。

   児童たちは小島記者のアドバイスをもとに、インターネットや図書室の本で調べたり、他のグループにアンケートしたり、インタビューしたりしながら一つ一つの内容を掘り下げていきました。

   例えば―。「小学生8割、外遊びしません」という記事を取り上げ、児童ら30人に「月~金曜、外遊びを何回しているか」を尋ねたグループは「遊ぶ場所が制限されたり、門限があったりするが、もっと外遊びすれば健康になる」と発表しました。

  「新紙幣発行」の記事を選んだグループは、新しい肖像の渋沢栄一(1万円札)、津田梅子(5千円札)、北里柴三郎(千円札)の経歴を調べ、グラフで分かりやすく表していました。

   自分で調べ、仲間と相談し、伝える相手のことを意識しながらまとめる。「調べる」「集める」「まとめる」「伝える」のプロセスを主体的に進める子どもたちの姿が印象的でした。

 小島記者からは「新聞は簡潔に情報がまとまっているが、足りないと思えばさらに調べよう」「いろいろな情報があふれている時代。何が正しいか最後に判断するのは自分」「いつも『なぜ』という素朴な疑問や不思議を見つける目を大切に、身の回りの物事を見つめよう」とアドバイスをいただきました。

   今回の記者派遣事業は、ワークショップを通して調べ方を体感できた素晴らしい機会でした。本校は今年4月、隣接する姫路市立豊富中学校と一つになり、9年制の義務教育学校として開校し、新聞を「つかう」「つくる」活動を通した情報活用能力の育成を目指しています。20年度も記者派遣事業を積極的に活用していきたいと思っています。

   現在、新型コロナウイルスの感染拡大で臨時休業が継続中ですが、「みんな待っているよ」を合言葉に、つながりを大切にした取り組みを進めています。NIEについても、子どもたちの笑顔につながる実践を推進していきます。

井上幸史(姫路市立豊富小中学校教頭)(5月15日)

[写真説明]「新聞を使った調べ学習」に取り組む児童たち

20年1月24日付神戸新聞朝刊姫路版の記事