社説読み解き、発想広げる 甲南高・中で講座
新聞社が記事や社説をもとに学校向けに作成している「ワークシート」。教育現場での新聞活用を進める兵庫県NIE推進協議会の吉田尚美コーディネーターが、県内の学校でワークシートを活用した出前授業を行っている。甲南高校・中学校(芦屋市山手町)では2月20日、吉田コーディネーターによる「新聞から学ぶイノベーション(革新)講座」があり、経済や会社経営に興味のある高校1年生36人が参加した。
同校は日本新聞協会のNIE実践校で、2023年度から新聞を使った授業を続けている。この日、活用したワークシートは、吉田コーディネーターが週に数回作成し、電子版神戸新聞NEXTのNIEサイトに掲載している教材の一つ。1月12日付神戸新聞朝刊に掲載された社説「日常の先の紛争」を読み、問いに答える。
社説では、スマホなどの部品のレアメタル(希少金属)が、コンゴで長年続く民族紛争の資金源になっており、消費者は企業が「何を使っているか」を知り「何を買うか」で社会的責任を果たそうと呼びかけた。ワークシートは、文中にある米国の「紛争鉱物」の法規制でどんな効果が生まれたかを短文でまとめるなどして記事を読み解く。
授業では、生徒たちにこのワークシートに取り組んでもらい、「売る側」「買う側」ともに人権や環境、SDGs(持続可能な開発目標)の視点が欠かせないことを伝えた。
さらに、「革新的な技術や発想が新たな価値を生み出す」として、登山ブームの中で低山に特化した商戦が地域経済を潤す―など、イノベーションのヒントになりそうな最近の記事を紹介した。
授業を受けた男子生徒(16)は「紹介された新聞記事を通し、発想を広げることができた」と言う。別の男子生徒(16)は「能登半島地震の被災者にドローンで医薬品を運ぶ発想を知り、知識が増えた」と話した。
吉田コーディネーターによるワークシート活用授業は3月11日、同じくNIE実践校の尼崎市立南武庫之荘中学校でも予定されている。
◆神戸新聞NIEワークシートはこちら
三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(3月4日)
[写真㊤]新聞ワークシートに取り組む生徒たち=芦屋市山手町、甲南高校・中学校
[写真㊨]神戸新聞の社説をもとに作成したワークシート
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