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NIE全国大会・宮崎大会報告 3年ぶりの対面開催に1100人

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第27回NIE全国大会のパネル討議=8月4日、宮崎市

 教育現場で新聞を活用するNIEの第27回全国大会(日本新聞協会主催)が8月4、5日、宮崎市で開かれた。「いまを開き 未来を拓(ひら)く NIE」を大会スローガンに3年ぶりの対面開催となり、全国から教員や新聞・通信社の関係者ら約1100人が参加。パネル討議や公開授業、実践発表を通じ、新聞と教育の可能性を探った。
 兵庫県NIE推進協議会からは3人が参加した。聴講した公開授業と実践発表について報告する。

 ▼宮崎市立生目台西小学校 野菜を通じて地域を知る
 宮崎市立生目台(いきめだい)西小学校の4年生20人は、郡司美和子指導教諭による社会科の公開授業で、宮崎県延岡市で生産されるブランドタマネギ「空飛ぶ新玉ネギ」の新聞記事を読み、ブランド名の由来や生産者の思いとともに、地域史や地元特産物について学びを深めた。
 「空飛ぶ―」は、JA延岡玉ネギ部会の生産者が手がける極早生(わせ)のタマネギ。名前から受けるイメージに反して、大半を陸送で出荷しているという。
 児童らは命名の由来について、延岡市出身で日本初の民間パイロットとなった後藤勇吉が県産野菜を大阪に飛行機で運んだ逸話が基になったことや、「消費者に早く新鮮野菜を届けたい」という生産者の願いがこもっていることを知った。
 郡司教諭は、マンゴーやピーマン、キュウリ、卵など、県内のさまざまな特産品について、今後も学習していこうと呼びかけた。
 学びの振り返りでは、郡司教諭が「宮崎県のことを知らない子どもは意外と多い。新聞記事を基にさまざまな問いかけをすることで、子どもの興味関心を引き出そうとした。今後も、特産品の学習を通して、地域への理解を深めていきたい」と話した。

[写真説明] 地域の特産物について意見を発表し合う児童ら=5日、宮崎公立大学

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 ▼県立宮崎西高校・付属中学校 新聞購読者を増やすには
 実践発表の中で、中高生による「令和の新聞購読率低下を救え!」をテーマにしたパブリック・ディベートが注目を集めた。新聞業界の喫緊の課題でもあり、NIE全国大会にふさわしい取り組みとなった。
 登壇したのは、宮崎県立宮崎西高校付属中学校3年の2チームと宮崎西高校2年の1チーム(計13人)。各チームが「未成年の私たちからの提案」としてアイデアを披露した。
 中学生は、清涼飲食水の自販機のそばや駅、空港などへの「新聞自販機」設置をはじめ、若者向けの連載小説や広告の掲載、新聞スクラップ大会開催などの案を発表した。高校生は、割安な定額制で複数社の電子新聞や新聞を読み比べできる「新聞バイキング」を提案。生徒たちは他チームや会場からの質問を受けて再提案も行った。
 参加者による投票で、高校生チームが優勝した。発表者の一人、亀岡千愛(ちさと)さんは「サブスクになじみのあるネット世代の若者に新聞を読んでもらう仕組みを考えた。新聞について、若者と新聞社の人たちが意見交換する場もあればいいと思う」と話した。

[写真説明]「新聞バイキング」を提案した高校生チーム=5日、宮崎公立大学

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