新聞に親しむ〝鍵〟は楽しさ
幼稚園児や小学校低学年の児童教育にも、新聞を活用してもらうには―。兵庫県NIE推進協議会が、幅広いニーズに応えようと、学年別の教員向けNIE研修会をスタートさせた。初回は6月30日、神戸市北区の市立淡河小学校であり、近くの幼稚園教諭を含む12人が参加。子どもたちが楽しみながら新聞に親しめるコツを伝授した。
同校は2021年度の日本新聞協会NIE実践指定校。学校全体でNIEに取り組む中で、「低学年はどう新聞を活用すればいいのか」などの声が上がったのを受け、同協議会が学年別の研修会を企画した。
講師は同協議会の三好正文事務局長が務めた。研修会では「新聞活用で情報を読み解く力を磨く、という大目標は大切にしてほしい」と語る一方、「楽しくなければNIEじゃない」として、多様な取り組みを紹介した。
幼稚園・小学1年向けには、新聞からクイズの答え(文字)を探す▽新聞から動物や食べ物を探すーなどを提案した。「新聞に出てくる動物などが何を話しているか考える」という例題には、参加した教員が、神戸市立王子動物園で飼育中のパンダ「タンタン」がササを食べる写真を選んで「淡河産はおいしいな」と答え、場を和ませた。
小学校低学年向けには、新聞から「夏」を見つけよう▽4コマ漫画を切り離して「起承転結」を考える―などのワークショップに取り組んでもらった。
「新聞に載っている大きな数を探そう」というワークショップでは、参加教員がその日の朝刊をじっくり調べた。その結果、最も大きな数は「30億」。世界で行われた新型コロナワクチン接種の累計回数だった。
高学年向けには、記事に見出しをつける▽3~4人の班ごとに各自がイチオシ記事を選び、話し合って壁新聞を作る企画「まわしよみ新聞」▽「食品ロス」「平和」など、自分たちでテーマを決めて取材し、新聞を作る―などを提案。子どもの年齢が上がればできることも増えるため、より幅広いアイデアを示した。
例えば「新型コロナ関連の記事を、当日の朝刊から探す」取り組み。新聞の全ページをめくって目を通す作業を通じて、新聞の特長のひとつ「網羅性」を体感できる。また、「いろんな新聞を読み比べる」ことをすれば、記事の扱いや、見出し・写真・記事内容の違いから、それぞれの新聞社が伝えたいことの違いが分かる。
小学4年を担任する竹下歩教諭は「数字や文字を探す活動は、新聞を親しみやすくする上で有効な学習だと感じた。トップ記事を選んだ理由を話し合う活動は、他者の多様な考え方やものの見方を聞くことができるので、今後の指導に生かしたい」と振り返った。淡河好徳幼稚園で5歳児を担任する小西みゆき常勤講師は「研修で幼稚園児に合った新聞の活用方法について、教わることができてよかった」と話した。
同協議会は今後も各校で研修会を重ねながら、学年別のNIE授業を順次行う予定だ。
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研修会で紹介したワークショップのうち、「4コマ漫画を切り離して『起承転結』を考える」と「新聞に載っている大きな数を探そう」はともに、明石市立大久保小学校の若生佳久主幹教諭(日本新聞協会NIEアドバイザー)の授業例。日本新聞協会が2020年発行した、教員向けガイドブック「 新聞で授業が変わる」(小学校編)に収録されている。
参加した教員の感想はこちら。
[写真説明]新聞の活用法を学年別に考えた研修会=神戸市北区淡河町萩原、淡河小学校