セミナー・発表会・公開授業

姫路市立豊富小中学校NIE公開授業 参加者の感想

安永 修・兵庫教育大学附属中学校教諭
 生徒たちが集中して新聞を読み、それをパソコンでまとめるなど、真剣に授業に取り組んでいる様子が分かりました。生徒がどのように考え、まとめているのかを、ぜひ見たかったです。
 また、授業者だけでなく、各先生方が撮影やチャットなどにすぐに対応するなど、学校全体で授業づくりをしていることが分かりました。豊富小中学校のNIEやICTへの対応に学校全体と取り組んでおられ、これからの活動に期待したいと思います。

原田 祐司・姫路市教育委員会学校教育部長
 令和2年4月に、施設一体型の義務教育学校として新たに開校した「~蔭山の里学院~豊富小中学校」では、「調べる力」を育むためにNIEとICTなどを生かし、子どもたちの学びをつないできました。本時は、まさにその典型であり、3紙の新聞を読み比べ、それぞれの表現の違いや視点の違いに気づくことで、そのニュースの本質を捉えようとするものでした。
 生徒は、自分たちで選んだ記事について、「Jamboard(ジャムボード)」というソフトを用い、班員と同時に編集を進めながら読みを深めていました。本時は、緊急事態宣言を受けて画面越しの対話に切り替えたとのことでしたが、生徒たちの学びに向かう集中した姿からは、1人1台端末環境になる前から「調べる力」を育むために積み重ねてきた実践の成果が見て取れました。
 また、画面越しの対話により考えを文章化する必然性が生まれることや読解力の異なる複数の生徒を支援するために1人1台端末は親和性が高いことなどが分かりました。
 複雑で不確かな状況だからこそ、ある程度の見通しを持った上で「まずはやってみよう」と一歩前に踏み出すことが求められます。豊富小中学校の授業公開は、そのことを私たちに教えてくれました。

丸山 実子・時事通信社神戸総局長
 新聞記事の取り込みや意見の書き込みなど、生徒一人ひとりがJamboard(ジャムボード)を使いこなしていることにまず驚きました。GIGAスクール時代におけるNIEの幅広い可能性を実感させていただく機会にもなりました。
 拝見した授業が、多紙読み比べの作業が中心だったため、作業の結果発表を受け、どのように指導されるのか非常に関心を持ちました。ただ、生徒の集中ぶりはZoomを介しても十分伝わってまいりました。新聞による表現や視点の違いを色分けした付せんに書き込み、ボードを作り上げる作業は、デジタル慣れした世代にとって、はまりやすい要素があるのでしょう。
 離れていても内容を共有できるボードの特性は、グループ学習の意義をつかみやすいという効果もありそうです。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、非接触型の行動が求められる中、教育現場もさまざまな制約を受けていますが、ICTの活用で補完できることは数多くあると感じました。その教材としても新聞は応用自在だと思います。

新田 憲章・広島県NIE推進協議会・中国新聞社NIEコーディネーター
 コロナ禍第3波の中で授業公開をしていただいた豊富小中学校の先生方に感謝します。授業者の井上先生のお話では、本来ならグループワークで行う活動を、緊急事態宣言のためJamboard(ジャムボード)を活用されたとのこと。生徒が対話することなく、オンラインのJam上で「協働」した学習が展開されるという学習方法の提案でした。コロナ禍が終わり、13歳の中学生がしっかりとした声でNIE活動のグループワークが再開できることを祈っています。
 広島県でもNIE学習会は、中止が続き、やっとオンライン形式での実施ができるようになりました。今回のZoomでの公開授業では、オンライン研修会の運営について重要な示唆をいただきました。会場参加者とオンライン参加者の理解度には大きな差が生じます。その差を埋める情報共有が重要だと感じました。貴重な学びの機会を提供いただきました兵庫県NIE関係者の皆様に感謝いたします。

藤塚 正人・神奈川県NIE推進協議会・神奈川新聞社NIE推進委事務局長

 新型コロナウイルスの影響で、NIEの実践もまた、当たり前を見直すことが迫れています。人との接触が制限される中、姫路市立豊富小中学校のオンライン公開授業は、NIEにおける新たな学びの在り方が情報通信技術(ICT)学習の成果とともに、「見える化」されました。

 一人ずつ端末を用いて自分の考えを書き込むことで、共同作業をしている形となり、教える側もそれぞれの理解度を把握することにもつながる、と報告されました。

 クラスメートとのやり取りを通して考えを深め、表情や仕草も含めて気づきにつながる対面ならではの学習機会を、どこまでフォローできるか。さらに、情報機器に不案内な世代を含めて教える側がICT学習の練度をどのように高めるか。課題とともに認識を深め展望する機会になりました。