セミナー・発表会・公開授業

淡路市立志筑小学校NIE公開授業 参加者の感想

 津田 康子・伊丹市立天神川小学校校長(兵庫県NIE推進協議会特任アドバイザー)

 公開授業がZoomでも視聴できると聞き、参加した。南志乃婦主幹教諭の指導の下、記者派遣で学んだことを生かし、児童が「『淡路人形浄瑠璃』の魅力を伝える見出し」を考える授業が展開されていた。日常の取り組みの成果がとてもよく見える授業だった。「ルーブリック評価」を取り入れ、児童が授業の到達目標を意識しながら学習に臨む姿が画面を通して伝わってきた。

    新学習指指導要領が実施され、授業と評価をどう一体化させるか、学びに向かう力をどう位置づけ評価していくのかーなど、今後の課題を見据えた貴重な提案であった。

 花折 了介・姫路市立豊富小中学校教諭
   意見交換会で、見出し作りは「究極の要約」との意見があったように、とても思考を要する学習活動だと思う。「ちょっと格好つけて見出しを付けよう」という意見もいいなと思った。
授業では、主見出しと脇見出しを考えることで文の組み合わせが生まれ、表現の工夫が促されるところが印象に残った。
   今回、記者派遣での学習を経て公開授業が行われていた。授業を行う教員の立場からは、児童生徒の考えたものをより良いものにする指導が重要になる。そこで記者派遣でプロの記者からアドバイスを受けることは、子どもたちの大きな刺激になると思う。
   意見交換会は新聞社や教科書の出版社など、多様な立場からの意見を聞くことができ、刺激を受けた。今後の授業やNIE活動に生かしていきたい。

   飯塚 智美・南あわじ市立三原中学校教諭、郷土部顧問
 「伝統芸能」と聞くと、堅苦しく、若者には敬遠されることが多いように思う。しかし、志筑小の児童たちは「郷土の文化を守ることは大切だ」という内容になりがちなところを、「淡路人形のここがすごいです」「ここが面白いです」と、伝えたい思いを形にするため、熱心に取り組んでいた。
  歴史ある淡路人形浄瑠璃の魅力を、たった10文字で表現できる素晴らしい感性や、自らの思いをしっかりと伝える力をもった児童の姿に感動した。
  また、郷土芸能に関わる者として、完成した見出しを通して、伝統を受け継ぐ重みよりも、まず楽しむことの大切さを知る機会となった。地域教材を使用することで、ふるさとを愛する気持ちが育ち、多様な価値観を育める授業だった。

    日下 芳宏・淡路市教育委員会教育部長
 志筑小学校の子どもたちは知的好奇心が実に豊かである。生活科・総合的な学習の研究校として実践を積み上げてきた同校の子どもたちは「読み手を意識して伝えよう」という高いモチベーションを持って学習に臨んでいた。
 今回の学習活動は、一つの正解に向かうものではなく、自分たちの力で練り上げよりよい表現を生み出そうとする、まさに知的かつ創造的な活動であった。この活動を通して子どもたちは「淡路人形浄瑠璃」というふるさとの文化に対して、これまで以上に丁寧なまなざしを向けることになったであろう。「学びの質を高めるためには、子どもが自ら題材にはたらきかけていく過程こそ大切にしなければならない」ということをあらためて認識させられる時間であった。
 ご指導・ご支援をいただいた県NIE推進協議会の皆様に心より感謝を申し上げたい。

   石﨑 立矢・京都府NIE推進協議会事務局長(京都新聞社読者交流センター長・京都新聞ジュニアタイムズ編集長)

 淡路人形浄瑠璃についての十分な学習や体験を踏まえた「見出し」作りは、内容の濃い授業となった。主見出しと脇見出し、2つの組み合わせを考える作業は、児童にも先生にも手間はかかるかもしれないが、最も伝えたいこと、感動をどう表すか、工夫を促す仕掛けであり、効果の高い手法であると印象に残った。

 Zoomを介しての公開授業は、兵庫県NIE推進協議会事務局と開催校、参加者の信頼関係、準備のたまもの。遠隔地の学校、報道機関による参観や意見交換が可能であり、特に今回、意見交換会でそれぞれの立場から感想やアイデア、経験など活発な発言があり、今後の活用の可能性を感じさせるものであった。

 ※公開授業の様子を伝える読売新聞、産経新聞、神戸新聞の記事を「セミナー・発表会・公開授業」に、児童のみなさんの感想を「わたしの感想NIE」に掲載しています。