新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、兵庫県NIE推進協議会(事務局・神戸新聞社内)のNIE実践校を対象にした記者派遣事業で、オンライン授業が活発になっている。1学期に2校で実施した。中身の充実を図るため新聞・通信社の複数記者が講師を務めたり、テレビ画面越しの質疑応答を増やして双方向性を保ったりし、工夫を重ねている。
2学期は数校で、各生徒に配備されるタブレット端末を活用したオンライン授業を予定。数人のグループごとに新聞を作る「オンラインまわしよみ新聞」の計画も進めている。
同協議会は学識経験者や兵庫県教育委員会、神戸市教委、県内の学校、新聞・通信社で組織し、学校教育の現場で新聞の活用を進めている。記者派遣事業は目玉事業の一つで例年、実践指定校20校に各社の記者が出向いて授業をしている。
2020年度は、新型コロナ対策としてオンライン授業にしたい、という依頼が少なくない。
神戸高塚高校(神戸市西区美賀多台9)では7月10日、時事通信社神戸総局の丸山実子総局長と、同協議会事務局長で神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーが「情報の扱い方、新聞の役割」をテーマにオンライン授業を行った。テレビ会議アプリ「Zoom(ズーム)」で録画し、夏休み中に1年生200人が視聴した。
姫路市立豊富小中学校(姫路市豊富町御蔭)でも同30日、三好アドバイザーが小学5年の103人を対象に「新聞の読み方」をテーマにオンラインで授業を展開。ビデオ会議サービス「グーグルミート」を活用して、この日の朝刊から新型コロナの関連記事を探すワークショップも実施した。
同校の井上幸史教頭は「大人数でも均質な授業を受けられ、パワーポイントの情報を全員が共有している一体感もある。オンライン授業の可能性を感じた」と話す。
新型コロナの影響による休校などで授業数の確保が難しくなる中、神戸高塚高のように、録画した授業を生徒に自由に視聴してもらう方式も選択肢の一つだ。
また、授業をスムーズに進めるためにパワーポイントの充実が欠かせない。対面授業と違った魅力づくりも求められる。
一方で、対面授業の場合は記者がフェースシールドやマウスガードを着用したり、児童・生徒との距離を保ったりして感染防止対策に力を入れている。
三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(8月23日)
[写真説明]当日朝刊から新型コロナの関連記事を探す児童=姫路市立豊富小中学校(同校提供)