教員によるNIE実践

NIE授業で社長にインタビュー 神戸鈴蘭台高

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 企業の経営陣にインタビューし、新聞を作る授業に、神戸市北区の兵庫県立神戸鈴蘭台高校が取り組んでいる。生徒たちは、社長らの経営理念や本音を引き出すのに悪戦苦闘。「聞く力」を培う格好の学習となっている。

 同校は日本新聞協会のNIE実践校指定校。2年生の総合的な学習の時間に、「私たちの街・神戸について記事を書いてみよう」という講座を設け、年間で活動している。

 今回、取材対象に選んだのが、神戸や姫路の会社社長や役員。生徒4~5人のグループでインタビューをし、記事をまとめる。5月初め、兵庫県NIE推進協議会の三好正文事務局長からインタビューの手法やポイントを学び、準備を進めてきた。
 9月27日、会社社長ら6人が学校を訪れた。生徒らは緊張した表情でインタビュー。「どんな高校生活を送っていたのか」「仕事で大切にしていることは何か」など、事前に用意した質問を次々とぶつけた。
 西村屋フーズコムの西村勇人取締役は経営方針を問われ、「客から応援される企業であるために当たり前のことを誠実にやっていく」と答えた。レストランなどを運営するティーエスインターナショナルの生嶋孝司マーケティング&セールスゼネラルマネージャーは、社員研修の意味合いなどを説明していた。
 雰囲気は徐々になごみ、仕事の話だけでなく、自分が進路選択に悩んだ経験や部活動に打ち込んだこと、恋愛談まで飛びだした。
 終了後、社長らからは「楽しかった」「高校生の興味の方向を知ることができた」などの声が上がった。一方で、「シャイな生徒が多かった。高校生なんだからもっと何でも聞いて」と食品卸泉平(いずへい)の泉周作社長がアドバイス。珍味メーカー伍魚福の山中勧社長は「今日出会った高校生たちに神戸で働いてほしい」との願いを語った。
 2年の岸崎泰成さんは「『お客さんや地域の方、従業員とその家族に感謝される会社にしたい』という言葉が心に残った」と話す。勝占(かつら)美穂さんは「今回、いろんな人の話を聞くことで多方面の情報を得ることができた」と振り返った。
 今後、インタビューの内容を新聞にまとめ、来年2月7日には同校内で発表会を開く予定。それに先立ち2月1日に、神戸市中央区のよみうり神戸ホールであるNIE実践発表会(兵庫県NIE推進協議会主催)でも発表する。

田中茂典(兵庫県NIE推進協コーディネーター)(10月28日)

[写真説明]企業の社長らにインタビューする神戸鈴蘭台高校の生徒ら=神戸市北区山田町