2025年11月アーカイブ

 NIE(教育に新聞を)活動を進める兵庫県NIE推進協議会は2025年12月5日(金)13時30分~15時35分、神戸市立鶴甲小学校(神戸市灘区鶴甲2-10-1)で公開授業を行います。

 今回の授業は、「地域の良さを伝えよう」と題して藤岡敦洋教諭が6年2組を対象に行います。「総合的な学習の時間」に6年生が地域に出かけて行き、さまざまな角度から地域の方々にインタビューしてきたことをまとめる内容です。

 終了後には意見交換会を予定しています。

 参加無料。公開授業の詳細は下の案内をクリックしてご覧ください。希望者は2025年11月28日までに、一番下にある申込用紙で申し込んでください。問い合わせは同協議会☎078・362・7054

2025  HP用 NIE公開授業鶴甲小案内  _page-0001.jpg2025  HP用 NIE公開授業鶴甲小案内  _page-0002.jpg

2025 HP用 NIE公開授業鶴甲小案内 .pdf  2025 NIE公開授業鶴甲小申込書 .docx 

■猪名川町立楊津小学校(11月20日、対象・6年生13人) 神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが「世界平和」をテーマに授業を行った。80年前の神戸空襲や姫路空襲の惨状、ロシアによるウクライナ侵攻の現状を紹介し、「世界平和に貢献する人になって」と呼びかけた。

児童の感想

■県立西宮高校(11月18日、対象・3年生16人) 各自が課題研究の成果を新聞形式でまとめた。神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが調べ方の要点や記事の書き方、写真の撮り方、紙面整理のコツを指導。「どんな事象も『それは本当か』と疑うことが大切」と強調した。

生徒の感想 

 

251118kennisinomiyakou.jpg

神戸新聞アドバイザーが講師に

 課題研究の成果を新聞形式でまとめる出前授業が、西宮市上甲東園2の県立西宮高校であり、3年生16人が参加した。同校は日本新聞協会のNIE実践校。神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが、調べ方の要点や記事の書き方、写真の撮り方、レイアウトのコツなどを教えた。

 生徒たちは、インバウンド(訪日客)による地域振興▽少年事件の動機▽国内総生産(GDP)を増やすには▽「犬好きに悪い人はいない」は本当か▽BGMのもたらす効果―など硬軟さまざまなテーマを選び、研究を続けている。

 三好アドバイザーは「どんな事象も『それは本当か』と疑問を持つことが大切」と強調。「ネット情報をうのみにせず、新聞で確認したり、アンケートや比較実験したりするなど、幅広く調べよう」と呼びかけた。

 授業では、生徒たちが一番書きたいことを短文にまとめ、トップ記事の見出しを考えた。新聞製作では各自がB4判の用紙に記事を書き、写真や図表を添えるなどした。

 各国の教育予算の多寡と若者の学力の相関性を研究した入谷匠さん(17)は「図表を入れて紙面にまとめた。写真の撮り方の話が参考になった」と話していた。=11月25日付神戸新聞朝刊阪神版

[写真㊤]課題研究の成果を新聞にまとめる生徒たち=西宮市上甲東園2[写真㊦]完成した新聞

251118kennisinomiyakousinnbun.jpg

                     完成した新聞(一部)

※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

.

 ■神戸市立鶴甲小学校(11月19日、対象・6年生58人) 「鶴甲の魅力や課題」をテーマに住民にインタビューし、新聞にまとめるのを前に、神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーから質問の仕方や記事の書き方を学んだ。インタビューは12月5日、公開授業を兼ねて行う。 

児童の感想

251120yousinnsyou.jpg神戸新聞アドバイザーが講師に

 世界平和のため自分ができることを考えようー。「平和」をテーマにした出前授業が11月20日、猪名川町木津の楊津小学校であり、6年生13人が参加した。同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 6年生は今年6月、被爆地広島への修学旅行で原爆ドームや広島平和記念資料館などを見学し、80年前の惨禍に思いをはせた。

 三好アドバイザーは戦時中、兵庫で起きた出来事として神戸空襲や姫路空襲について紹介。ロシアによるウクライナ侵攻から3年8カ月がたつことや、発生から2年で停戦発効したイスラエルとハマスの現状にも触れ、「みなさんも世界平和に貢献する人になって」と呼びかけた。

 「相手の国に友達がいたらミサイルを撃ち込めないだろう。普段から各国の人々と友情を育んでほしい」「日本へのウクライナ避難民は現在2千人近くに上る。ウクライナの出来事を遠い国で起きている戦争ではなく、自分ごととしてとらえたい」と強調した。

[写真説明]世界平和について考えた出前授業=楊津小学校

※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

251119turukabutosyou.JPG

神戸新聞アドバイザーが講師に

 六甲山麓にある鶴甲地区(神戸市灘区)の魅力や課題について、地元の同市立鶴甲小学校6年生58人が住民インタビューするのを前に、11月19日、同校で、質問の仕方や記事の書き方を学ぶ出前授業があった。同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 三好アドバイザーは「自身の地域を思う気持ちが大切」と話し、児童たちが鶴甲のよいところを発表した。「校区内に六甲山上に向かうケーブルカーの駅がある」「神戸市街地や瀬戸内海の眺めが美しい。時折、船のエンジン音が聞こえてくる」「住民が地域行事を大切にしている」などの声があがった。

 インタビューの仕方について、三好アドバイザーは、具体的に聞く、変化を聞く、比較して聞く▽キーワードを逃さないーなどを挙げ、「地域の希望につながる記事を書いてほしい」と呼びかけた。写真の撮り方や見出しのつけ方も教えた。

 住民インタビューは12月5日、県NIE推進協議会主催の公開授業を兼ねて同校で実施。児童たちが数人ずつの班に分かれて住民から話を聞き、新聞にまとめる。

[写真説明]鶴甲地区の魅力について話し合う児童たち=鶴甲小学校

※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

鶴甲小学校の公開授業のチラシはこちら

雲雀丘中1年出前授業.jpg

兵庫県NIE推進協議会事務局長が講師に

 「新聞記者の仕事」をテーマにした出前授業が、神戸市長田区の雲雀丘中学校であった。県NIE推進協議会の網麻子事務局長が講師を務め、1年生45人が参加した。

  雲雀丘中は、日本新聞協会のNIE実践指定校。1年生は、普段から各新聞の1面に掲載されているコラムの書き写しに取り組んでいる。

 網事務局長は、いつ▽どこで▽誰が▽何を▽なぜ▽どのように―の「5W1H」が取材の基本と説明。記者やデスク、レイアウト担当ら多くの人が関わって新聞を作っていると紹介した。

 阪神・淡路大震災当時、神戸新聞社会部の記者として震災関連死(災害関連死)の取材を続けた経験に触れ「遺族らの無念の思いを伝え、命を守るために何ができるかを考えてもらうのが仕事の一つだと思う」と話した。

 宗高千代子さん(13)は「災害関連死について知り、震災をより深く理解できた。コラムの書き写しは楽しく、新聞をもっと読んでいきたい」。坂越叶登(かなと)さん(12)は「読む人がどう考えるかを想像して新聞を作っていることに驚いた。完成までにたくさんの人の努力があると感心した」と話した。=11月12日付神戸新聞朝刊神戸版

[写真説明] 新聞記者の仕事について学ぶ生徒ら=雲雀丘中学校

251124yasasiinihonngo.jpg

                            やさしい日本語研究会.pdf

 兵庫県NIE(教育に新聞を)推進協議会は、2026年度のNIE実践指定校を募っています。対象は県内の国公私立小・中・高校と特別支援学校で、学校長の承認が必要です。

 25年度の指定校は26校で、このうち継続校を除く20校程度を募集します。応募多数の場合は地域や校種を考慮して選考します。

 日本新聞協会と連携した取り組みで、指定期間は原則2年間。各実践指定校には、県内で発行されている日刊6新聞を各1部ずつ4カ月、無償で提供します。子ども新聞(小中学校の場合)や英字新聞へ変更できます。また、記者を無償で派遣します。新聞を使った探究学習、主権者教育、平和学習、政治の解説、新聞の作り方、メディアリテラシーなど、ご希望に応じて講演などを行います。

 指定校は年度末、同協議会が発行する実践報告書(A4判4㌻)を作成していただきます。

 問い合わせは兵庫県NIE推進協議会事務局☎078・362・7054

HP掲載用実践校募集.jpgのサムネイル画像


                 2026年度NIE実践校募集チラシ・申込用紙 .pdf

 ※「新聞情報」の掲載記事を追加しましたので、ご覧ください※

20251003洲本高NIE授業 (14)〇.JPG

 教育に新聞を取り入れるNIE活動の公開授業が3日、洲本市の県立洲本高校であった。市と姉妹都市提携する米国・ハワイ郡から来日したヒロ高校生10人も参加し、両国の新聞の読み比べをして、意見を発表した。

 生徒らは6人ずつテーブルを囲んで、両国で話題になっているニュースを紙面上で探した。翻訳アプリを使うなどして説明し合い、比較しながら「米国の新聞の中には日本のニュースが少ない」などと発表した。洲本高校2年の西岡華暖さん(17)は「文化の違いがわかって興味深く感じた」と話した。公開授業は県内の新聞・通信8社などでつくる県NIE推進協議会が主催。NIE実践指定校の同校では週1回、新聞記事を使って生徒らが感想を記す学習を続けており、同協議会の竹内弘明会長は「日米の新聞を使い両国の高校生が交流する面白い授業だった」と講評した。

[写真説明] 新聞を読み比べ、日米の違いを話し合う生徒たち(洲本市で)

読売新聞10月4日付朝刊記事

日米の新聞、相違点学ぶ 洲本高生とハワイの高校生

Z060278000001025〇.jpg

 新聞を教育現場で活用するNIE(教育に新聞を)活動に取り組む洲本高校(洲本市上物部2)で10月3日、公開授業があった。2年生41人のほか、ホームステイ中の米ハワイ・ヒロ高校2年生10人が参加。お互いの国の新聞を見比べながら、政治や文化の相違点などについて学んだ。

 同高はNIE実践指定校。週1回、新聞を読む時間を設け、切り抜きを教材に使うなどしている。ヒロ高生は姉妹都市交流事業で洲本高などを訪問しており、多様な価値観に触れて視野を広げる機会にと、今回の授業に招いた。

 生徒は6人ずつグループに分かれ、日本とハワイの複数の新聞を比較。「大阪・関西万博に世界中の人が集まっている」「(米プロフットボール優勝決定戦の)『スーパーボウル』のハーフタイムショーの出演者が決まった」などと記事を英語で紹介し合った。

 また、日本の新聞から米国の記事を、ハワイの新聞からは日本の記事をピックアップ。「日本は米国のニュースが多いが、ハワイはハワイのことばかりで、まるで片思い」「大谷翔平選手の人気は両国共通」と、それぞれ感想を述べた。

 昨年の夏休みにヒロを訪れた河野日向さん(16)は「大きな見出しでニュースが伝わるのが新聞のいいところ。語彙(ごい)力も上がるので、活字に触れる機会は大切だと思う」と話していた。(内田世紀)

 [写真説明] 新聞を持ち寄って話し合う洲本高生とヒロ高生=洲本高校

=10月7日付神戸新聞朝刊淡路版

ハワイの高校生と新聞を通じて国際交流 兵庫県の洲本高校生がNIE公開授業で両地域の新聞読み比べ

 兵庫県洲本市の県立洲本高校(下條謙一郎校長)で10月3日、同校の生徒とアメリカ・ハワイ州の高校生が机を囲んで交流をしながら、日本の新聞と現地の新聞を持ち寄って比較するNIE公開授業が開かれた。

 同市とハワイ州ハワイ郡とは姉妹都市提携をしており、かねてから中高生らがお互いを訪問してホームステイをするなど交流が深い関係にある。今回もハワイ・ヒロ高校の生徒たちが同市を訪れ地域の人たちと様々な交流を重ねていて、この日は洲本高校を訪れる日程だった。

 公開授業は「新聞deコミュニケーションwithハワイ・ヒロ高校」と題して開かれ、NIEアドバイザーでもある大石昇平教諭が受け持ち、ほかの高校でNIE授業を担当する教諭らも見学した。

 授業には洲本高校2年1組の41人、ヒロ高校の10人の生徒が参加。基本的にヒロ高校の生徒1、2人を含む数人ずつの班に分かれ、読売新聞と神戸新聞、ハワイの地方紙2紙を読み比べた。

 両校の生徒たちは初対面で授業で、まず打ち解けやすいよう、日本とハワイの新聞記事からそれぞれ最も大きな数字を見つけることに挑戦。洲本高校の生徒たちは英語や身振りでヒロ高校の生徒たちとコミュニケーションをとっていた。

 生徒たちの緊張がほぐれ、次は日米の新聞それぞれの1面記事に、どのようなニュースが取り上げられているかを比較し、その内容を説明し合った。

 さらに日本の新聞にどれほどアメリカの記事が載っているか、逆にハワイの新聞にどれだけ日本のことが取り上げられているのかを探った。すると、日本の新聞は1面から国際面、経済面、社会面などことごとくアメリカの記事が見つかるが、ハワイの新聞には日本関連の記事が皆無。「日本に関係しているのは大リーグの大谷翔平選手ぐらい?」など生徒たちも意外な展開にびっくり。

 最後に両紙面を比較して感じたことを各班がまとめて発表したが、ほとんどが「日本は小さい国で、ハワイの新聞にはあまり取り上げられていない」、「記事の量の違いから、日本はアメリカの影響を強く受けているが、アメリカにとっては日本の影響力はそこまでのものではないとわかった」「日本の新聞は様々な国のことを記事にしているが、ハワイの新聞はハワイ内の記事が中心」といった感想が占めた。

 貴重な実践授業と評価

 授業を見学した兵庫県NIE推進協議会の竹内弘明会長は授業後の意見交換会で「日米の子どもたちが一緒に新聞で交流する、あまり見たことがなく、貴重な実践授業だった」と評価。大石教諭は「NIEの実践授業をしようとしている時期にヒロ高校の訪問が重なり、互いが読んでいる新聞を比較することを考えた。多様な価値観や考え方に触れ、日本とアメリカの関係を考えてほしかった」と授業の主旨を説明していた。

 洲本高校はNIE実践高校になって2年目。資料や文章を読むことを苦手としている生徒が増えていると感じたことや、大学入試に必要な時事問題への興味を育もうという意識の生徒が少ないと感じた教諭らが、活字に触れる習慣をつくってもらうことなどからNIE実践指定校の申請をしたという。

 実践校としては校内に新聞を置くNIEコーナーを設置して、「為替を新聞で調べて」などの課題に活用。新聞記事をピックアップして内容を確認するミッションを添えた「洲高かわら版」の発行、地域住民と新聞記事を読んで意見交換する交流会などの活動に取り組んでいる。(伊藤周)=10月11日付新聞情報

[写真説明] ヒロ高校の生徒(左)と新聞を読み意見を交わす洲本高校の生徒たち

[写真説明] 新聞を使った授業をする洲本高校の大石昇平教諭

新聞情報①.JPG

新聞情報②.jpg

◆実践された洲本高校の大石昇平教諭の寄稿(授業のねらいや成果、課題)はこちら

◆ 生徒のみなさんの感想はこちらに掲載しています。

※参加者の感想を追加しましたので、ご覧ください※

米田俊彦・愛徳学園中学校高校教諭(日本新聞協会NIEアドバイザー)

 10月3日、兵庫県立洲本高校で行われたNIE公開授業に参加した。大石昇平先生が担当される「公共」の授業で、米ハワイのヒロ高校の生徒10人と洲本高校の生徒41人が出席した。日米の高校生が同じ教室で肩を並べ、最初はやや戸惑いながらも新聞を真ん中に置き、実際にめくり、手に取りながら意見を交わす光景はとても新鮮で、見学している私にとっても大きな刺激となった。

 授業のテーマは「日本(地元紙と全国紙)とヒロ高校の生徒が持ってこられたアメリカの新聞(ハワイの地元紙)を比較する」というものだった。生徒たちは、日本の新聞にアメリカの記事がどれだけ載っているか、またハワイの新聞に日本の記事がどの程度掲載されているかを調べ、自国の扱われ方の違いを考えた。その結果、日本の新聞にはアメリカの関連記事が多く見られる一方、ハワイの新聞では真剣に英文を読み、懸命に探すも日本の記事はほとんど見当たらず、生徒たちは驚きの表情を浮かべていた。ただし、大谷翔平選手の記事はしっかり掲載されており、その存在の大きさを改めて実感する場面もあったのが印象的である。

 さらに、それぞれの国レベルの記事の掲載のされ方には大きな差がある一方で、兵庫とハワイという「地元」同士を比べると報道量にほとんど違いがないことも分かった。その理由の考察や、互いをもっと知るために相互の新聞にそれぞれの地元を掲載するためにどうすればいいのか、何ができるかなどを考えてみる実践はどうかなど、見ていた私も大いに可能性を感じ、触発された授業であった。

 これまで、国内の全国紙と地方紙を比較する授業は見たことがあったが、海外の高校生と顔を合わせて新聞を読み比べる取り組みは初めてであり、学びの広がりと進化、深まりを感じた。洲本市とハワイ島は以前より継続的な交流を重ねているとのことだが、新聞を使った交流学習が実現したのは、NIE実践指定校ならではの成果だと思う。生徒たちの真剣な表情や、時折見せる笑顔を目にしながら、紙の新聞がリアルな国際交流の橋渡しになる可能性を強く感じた。まさに NIEの新しい地平を見る思いがした。公共としての学びはもちろん、国語や英語、家庭、総合的な探究の時間や教科横断型の授業にまで対応できる幅広い学びの可能性を感じた。まさに NIEの真骨頂。次年度のハワイでの NIEが見られるなどこの取り組みのさらなる展開をぜひ見たいと心から思った。

斎藤林太郎・兵庫県立洲本実業高校教諭 

 米ハワイのヒロ高校生との交流が、新聞を使って行われることに面白みを感じ、グループワークの教材としての新聞の利用に可能性を感じた公開授業だった。

 最初は緊張からか、表情が硬い洲本高校生・ヒロ高校生が見受けられたが、大石昇平先生の指示のもと「新聞から最大数を探す」取り組みや、「見つけた最大数におはじきを置く」工夫・仕掛けで段々緊張もほぐれ、にこやかに情報交換を始めるようになるとともに、次第に難度が上がり考察が必要になる取り組みも、協力しあい楽しみながら両国の新聞メディアの特徴の違いを見出している点が印象に残った。

 現在の勤務校は、海外の高校との交流はないため、同形態の授業実施は難しいと考えるものの、新聞を用いたグループワークについては、他にも様々な問いが立てられるため、今後利用した授業実践を検討したい。

井上智仁・兵庫県立津名高校 地歴公民科教諭

 米ハワイの高校生と洲本高校生が、互いの国の新聞を読み合うという興味深い授業展開であった。

 少し気になったのは、日米の新聞購読事情の差である。日本は全国紙購読者が多く、米国の場合は地方紙が無数にあり、ローカル紙購読の方が優勢であるという文化的背景がある。

 今回の授業では、読売新聞とハワイのローカル紙を利用して、日本の新聞はトランプ大統領含めて米国のことを積極的に報じるが、米国の新聞においては日本の記述がほとんどないため、日本の「米国への片思い」であると結論づけていた。授業が行われた時期を考えると、トランプの関税政策がどうなるか、製造業を中心とする日本の経済界も注視していたがゆえに記事が多かったとも言える。(逆に例えば内政重視であったバイデン政権の逐一を日本の新聞は積極的に取り上げていたのだろうかという問いも浮かぶ)

 米国では地方紙はあくまでローカルな話題を深く掘り下げる(特に週末版はカルチャー、フード、スポーツなどそれぞれ別冊で発行している新聞もある)。一方でグローバル企業のビジネスマン、学者、国際機関職員などを購読層にもつ全国紙は、国際関係を含む世界についての記事も多く含まれる。

 それぞれの購読者のニーズに大きな差があるわけであるが、国際面も充実している米国の全国紙を利用した場合でも、はたして同じことが言えるのか少し気になった。あとは日米の高校生が互いの国の新聞をみてどのような感想をもったのかも知りたかった。