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NIE3止_d93lo6ck5bcscf9bsd2g.jpg 新聞を活用した教育を考える「NIE兵庫セミナー」(県NIE推進協議会主催)が7月3日、神戸市中央区の神戸新聞本社で開かれた。学校教諭ら約30人が参加し、実践例の紹介や意見交換を行った。

 はじめに、同社報道部の広畑千春記者がファクトチェックについて講演。SNSで拡散されている誤情報について、公的機関のオープンデータなどを活用し、真偽や正確性を検証していると説明した。

 実践報告では、クラーク記念国際高校クラークスマート芦屋の山千代智也教諭が「新聞を多くの人に読んでもらうために」というテーマで、生徒たちが新聞を取り巻く課題を探究した事例を紹介。デジタルなど購読形態の柔軟性をより高めることや、読解力や表現力を養う教材としての活用を進めるべきだとの声が上がったといい、山千代教諭は「今後も新聞を活用し、深い学びにつなげていきたい」と話した

[写真説明]意見交換する学校関係者ら(神戸市中央区で)

=7月4日付読売新聞朝刊神戸・明石版

 県NIE推進協議会会員の新聞・通信社で人事異動があり、読売新聞神戸総局長が神原康行さんから森重孝さんに交代した。人となりを自己紹介でー。

読売新聞神戸総局長 森重孝

 「若い世代に新聞の価値知る機会を」

 6月1日付で着任しました。1999年に入社して以来、大阪本社社会部に長く勤務し、その間、教育分野を担当していた時期もあります。NIE活動については、これまで記者の立場で何度か取材する機会を持ちました。

 私が記者になった当時は、まだガラケーの時代。スマートフォンはなく、多くの家庭が新聞を取っていました。その後の情報通信機器の急速な発達で、今では新聞を取っていない家庭の方が多数派になってしまいましたが、だからこそ、新聞を使った教育の重要性は増してきていると感じます。

 インターネットは容易に情報を入手することができますが、根拠が不確かな情報もあふれています。検索サイトやSNSは、アルゴリズムによって、利用者の嗜好にあった情報が優先的に表示されます。自覚もないままに、自分と異なる意見に触れる機会を失い、興味のある情報ばかりに囲まれる「フィルターバブル」に陥る恐れがあります。

 新聞は、各社が取材によって確認した事実を、その重要性を判断しながら読者に届けています。毎日紙面を読むことで、特定の関心に基づく情報だけでなく、社会で起きている様々な出来事と、それを取り巻く多様な見解に触れることができます。

 NIE活動は、若い世代の人たちに、こうした新聞の価値を知ってもらうための重要な機会だと考えています。微力ではありますが、少しでもみなさまの力になれれば幸いです。

尼崎市立南武庫之荘中学校教諭の中嶋勝さん

 NIE兵庫セミナーでは毎回新しい学びを得ることができますが、今回も多くの学びをいただきました。神戸新聞報道部の広畑千春記者の講演「ファクトチェックの取り組み」からは、私たちは世代を問わず、SNS等による偽誤情報の溢(あふ)れた世界で生きているということ。広島の小学生とハガキ新聞を使い、平和をテーマにした交流について発表された愛徳学園の彦野周子先生からは、「平和」教育を継続していくことの重要性を。中学生1、2年生の取り組みを発表された神戸龍谷中学校高等学校の黒瀬大亮副教頭からは、新聞の強制的遭遇という言葉を。新聞と出会う場をいかにして作るのかを試行錯誤されているクラーク記念国際高等学校クラークスマート芦屋の山千代智也先生からは、新聞を学びの場で使うことの魅力について再認識しました。

 意見交換会中学校の部では、それぞれの立場(市教育委員会、NIEは初めての先生、アドバイザーの先生等)で意見や感想が出され、新しい実践も教えていただける有意義な時間となりました。セミナーを主催してくださった事務局の皆さんに感謝申し上げます。ありがとうございました。

兵庫県立有馬高校教諭の宮田和昌さん

 今回のセミナーにおいて、「情報の適切な取捨選択の重要性と難しさ」、「新聞の存在の意味」を感じました。ネット上の情報は真偽を見極めければならない一方、自身の趣味・趣向に沿った情報のみが選択される状況もあり、視野が広くなるようでいて狭くなりがちであること。「トピックに対する様々なベクトルを向いた情報をいかに収集し、思考・整理できるか」を意識し、行動するうえでも新聞の存在意義があるのではないかと再認識しました。

姫路市立英賀保小学校長の井上幸史さん 「新聞を起点に考える、メディアリテラシーの未来」

 7月3日に開催された兵庫県NIEセミナーは、これからのNIEの未来を考える上で示唆に富む内容であった。

 前半の広畑記者の講演では、現代のファクトチェックの仕組みやその具体的な成果、そして直面している課題について深く学ぶことができた。特に印象的だったのは、「つまらない真実より面白い嘘(うそ)の方が拡散されやすい」というオンライン社会の現実である。私たちは日々膨大な情報に晒(さら)されているが、真偽が定かではない情報ほど刺激的で、人々の関心を引きつけやすい性質を持つ。広畑氏のアプローチからは、自分が「誰かに伝えたい」と強く思う情報ほど発信する前に一呼吸置き、「だまされているかも?」という警戒心を持って、いったん立ち止まって調べる習慣を身につけることの大切さを痛感させられた。

 さらに今回のセミナーは、単に紙面としての「新聞記事」を活用するだけでなく、「記者という専門家から直接学ぶ」ことの価値を再認識する機会となった。記者の視点や取材のプロセスに触れることで、情報の裏側にある背景や意図を読み解く力が養われる。こうした経験を通じて、学校現場のみならず、地域や社会全体におけるNIEを用いた社会教育へのアプローチの必要性をますます強く感じるようになった。

 また、実践発表からは、子どもたちが自ら問いを持ち、課題を深く掘り下げていくプロセスの重要性が示された。新聞は、地域社会のニュースを通じて、物理的な距離や空間を超えて人々とつながるすばらしさを教えてくれる。学校の中に「新聞のある空間」をいかに創り出すかといった、正解のないNIE実践へのチャレンジは、教育の可能性を大きく広げるものである。

  本セミナーで得た多くの気づきやファクトチェックの視点は、現在自校で取り組んでいる「大人のメディアリテラシー」の向上につながる貴重な知見である。不確実性が高い時代だからこそ、今後も自校の実践に活(い)かしてさらに発展させ、新しい時代のNIEを切り拓(ひら)いていきたい。そのためには、「新聞記事をいかに活用するか」という視点から、「新聞というメディアを切り口に、ニュースを読み解くリテラシーの育成」へと、捉(とら)え方を転換していくことが重要ではないだろうか。

20260705dd1dd1phj191000c.JPG 2026年度NIE兵庫セミナー(兵庫県NIE推進協議会主催)が7月3日、神戸市中央区であった。NIE(教育に新聞を)に取り組む県内の学校の教員が、昨年度の実践事例を発表した。

 神戸龍谷中学高校(中央区)の黒瀬大亮副教頭は、新聞になじみが薄い生徒が多いことから、まず紙面をめくって接触することから始めた。2学期以降は編集にも取り組んだという。「新聞の良い点は一覧性、網羅性に加え、予期せぬ情報とも強制的に遭遇できるところ」と指摘した。

 クラーク記念国際高校クラークスマート芦屋(芦屋市、通信制)の山千代智也教諭は、キャリア探究の授業の一環として取り組んだ。全国の系列校の生徒らを対象に、新聞の購読状況などについてアンケートを実施。生徒からは「学割サブスクリプションなど柔軟な購読形態を」「高校生が必要とする記事の充実」といった意見が出たという。

 このほか、愛徳学園小学校(神戸市垂水区)の彦野周子教諭が、児童が作った「はがき新聞」を通じて広島県の小学校と平和学習をテーマに交流した事例を紹介した。【花牟礼紀仁】

[写真説明]NIEの実践事例を報告する教員(中央)ら=神戸市中央区の神戸新聞本社で

=7月6日付毎日新聞朝刊兵庫版

Z030471000000726.jpg 教育現場での新聞活用の可能性について話し合う、2026年度の「NIE兵庫セミナー」が3日、神戸市中央区の神戸新聞社で開かれた。兵庫県内の小中高校などの教員ら35人が参加し、実践活動の方策などを探った。

  NIE(教育に新聞を)活動を進める、県NIE推進協議会の主催。

 最初に神戸新聞報道部の広畑千春記者が「ファクトチェックの取り組み」と題して講演。昨年の参院選報道から本格的に取り組んだ「ファクト検証」では、ネット上に拡散する情報、政治家の発言を公開資料や統計に基づき「正確」「誤り」「判定留保」などと判断したことを紹介した。「真偽以外にも深く考える契機にし、ネット情報は『だまされているかも?』くらいの気持ちで距離をとってほしい」と話した。

 県内3校による実践事例発表では、愛徳学園小(同市垂水区)の彦野周子教諭が、平和をテーマにした「はがき新聞」づくりを通じ、広島県の小学校と交流した取り組みを紹介。「子どもたちには、安易な『分かった』ではなく、生涯付き合う『分からない』を問い続けてほしい」と話した。

 小中高校の班に分かれたグループワークでは、各校のNIEの取り組みや課題などについて共有した。(久保田麻依子)

=7月4日付神戸新聞朝刊ひょうご総合

[写真説明] ファクトチェックに関する報道を振り返り、情報の読み解き方について説明する広畑千春記者(奥右から2人目)=神戸新聞社