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サイト読売神大付属中教育校・画像.jpg 教育に新聞を活用する「NIE」の公開授業が12月19日、神戸市東灘区の神戸大付属中等教育学校で開かれた。同校の中学3年生約40人が参加。それぞれの将来の目標やお金の流れを盛り込んだ人生計画、予想されるリスクなどについて、新聞社のオンライン記事をベースに、調べた結果を発表した。

 同校は県NIE推進協議会の独自認定校。この日は家庭科の金田理子教諭(59)が、「ライフデザインをすることができる~これから起きることを予想する・備える~」をテーマに授業を展開した。

 生徒たちは進学や就職、退職後の暮らしについての計画を発表。新聞記事を基に途上で直面するおそれのあるリスクを洗い出し、「保険は5年くらいで見直す方が得をする」「日本では成果も認められにくいため、世界や社会に役立つテーマで研究すべきだ」など、解決案も提示した。

 同校3年の後藤捷之介(しょうのすけ)君(15)は「新聞は世の中の出来事をそのまま伝えていると思っていたが、自分の人生に関係することも書かれていることがわかった」と話していた。=12月20日付読売新聞朝刊 神戸明石版

[写真説明] NIEの公開授業で調べたことを発表し合う生徒たち(神戸市で)

新聞記事活用し人生設計 神大付属中等教育学校で公開授業

サイト神戸・神戸大付属中等教育学校.jpg 新聞を教育現場で活用するNIE(教育に新聞を)活動に取り組む神戸大学付属中等教育学校(東灘区住吉山手5)で、公開授業があった。家庭科の授業でライフデザインを学ぶ3年生約30人が、新聞記事を通して、自身に起こりうるリスクの解決法を考えた。
 生徒たちは2年と1年のとき、講師として訪れた記者から新聞記事の書き方や見出しの付け方を学んだ。本年度はインターネットで新聞記事を検索し、災害や社会の変化など将来想定されるリスク対策に生かすことを考えた。
 公開授業は12月19日にあり、生徒たちは4人ほどのグループに分かれて、自身の将来を語り合った。
 菅原吉晟(よしあき)さん(15)は、定年退職後の生活に関心を持った。デンマークで定年年齢が段階的に70歳まで引き上げられるという新聞記事を紹介。「高齢になって自由に過ごしたいと考えた時に定年が気になった。デンマークの取り組みは知らなかったので記事が役立った」とした。
 新薬の開発に携わりたいという後藤捷之介(しょうのすけ)さん(15)は、日本の研究費の低下を指摘する記事に着目。「より社会に役立つという観点で新技術を開発できればと思う。新聞は世の中のことを伝えるというイメージだったけど、人生に役立つことを書いていると知れて良かった」と話した。(長沢伸一)=12月24日付神戸新聞朝刊神戸版

[写真説明] 新聞記事を使って、自身の将来を考える生徒ら=神戸大学付属中等教育学校

◆参加者の感想はこちら

三原亜子・神戸市教育委員会事務局学びの推進課中等教育担当指導主事

 本日の家庭科の授業は、非常に興味深い内容でした。ライフデザインを考えるだけでなく、 経験したことのないリスクについて新聞記事から情報を収集し、将来に備える方法を検討 する活動は、生徒の思考をより深めると感じました。家庭科は生活に密着した教科だからこ そ、新聞記事を活用した授業展開はどの題材においても有効です。今後、神戸市の家庭科教 育においても、この実践の成果を参考にしていきたいと考えています。 

岡田早苗・藤原台小学校

 ライフプランの発表では、生徒達がライフプランについて楽しそうに発表しながらも、そこで起こりうるリスクについて悲観的にならずに冷静に対策方法を述べられていたのが印象的でした。それはあらかじめ新聞を調べることで「人生で遭遇しうるリスク」が具体的にどういうものなのか、遭遇した際の留意点は何かを具体化してイメージできていたからだと考えます。中学3年生は社会における厳しい現実に気づく年頃ですが、「何がどう厳しいのか」を知り、周りと話し合うことでとても有意義な時間でした。金田先生ありがとうございました。

高瀬雄康・尼崎市立琴ノ浦高等学校

 「高市内閣の支持率が70%」という記事があったとします。かなり高い支持率ですが、具体的に国民はどういう政策を評価しているのか、新聞記事を見ながら考えてみよう。という授業であれば、これは新聞を見ないわけにはいきません。しかし、先日の公開授業では、ライフデザインのリスクや備えについて新聞で調べてみよう、でした。しかし、この課題解決に関していえば、新聞よりネット情報の方が優れているのではないでしょうか。まず新聞ありきなのか、それとも課題ありきなのか(公開授業の場合はこちらの方)によって新聞の利用の仕方や、それ以上に新聞を使うか使わないかといったNIEの根幹に関わる問題になってくると思います。

淺海裕之・三田市立広野小学校教頭

 この度は公開授業を拝見させていただき、ありがとうございました。まず教室に入った時の落ち着いた雰囲気、整理整頓された掲示物、そして窓から見える素晴らしい景色に感動し、この環境で学習できる子どもたちは幸せだろうなあと思いました。そして、新聞を分かりやすく編集するというめあてに向けた藤岡先生の的確な指示により、最初は討議を苦戦している子どももいましたが、時間がたつにつれ夢中に話し合っており、どの子どもも「今何を学習しようとしているか、この時間で何ができればよいのか」を意識して取り組めていたと思います。

 もともと山であったかどうかや、インタビューした方の名前の読み方など一見大人からするとどうでも良い事を真剣に調べ、話し合う子どもたちの姿から「学習」の本質を見た気がします。意見交換会でご意見があったように、目的をはっきりと持たせてアウトプットさせることで、より深い学習につながることが分かりました。

 「ことば」を大切にすることは新聞においても教育においても重要なことだと考えています。夏の大会に引き続き私自身は興味を持って研修できましたので、またの機会に授業などは意見できたらうれしいです。公開授業までの取り組みや受け入れ準備など大変お世話になりました。ありがとうございました。

澤田祥司・神戸市教育委員会事務局学びの推進課係長(初等教育担当)

 昨今、探究的な学びが注目されています。子どもが自ら課題を設定し、情報収集 や分析を通じて答えを見いだす学習です。今回、鶴甲小学校の公開授業を参観し、 新聞記者の新聞作成の過程と探究的な学びの過程が重なることを実感しました。 NIE の実践は、児童の主体的な学びを促す取り組みであり、授業では、グループ の友達との対話を通じてインタビュー内容を整理し、伝えたいことを明確にす る姿が印象的でした。NIE は、新聞を通して学び方を学ぶ貴重な機会であると 感じました。

赤木博之・兵庫県小学校長会・会長(神戸市立成徳小学校長)

 NIE(教育に新聞を)公開授業として、神戸市立鶴甲小学校の6年生総合的な学習の時間・単元「みんなでACTION!鶴甲の素敵なところを紹介しよう!」の授業を参観させていただきまして、ありがとうございました。子どもたちが地域の方に鶴甲の素敵な点・課題点をインタビューし、印象的であった内容を短くまとめて新聞記事にする活動を通して、インタビューした人の気持ちや自分が住む地域の良さなどに気づき、そのことをしっかりと伝えようとしている姿が見られとてもよかったです。

 阪神・淡路大震災の発生から30年が過ぎた。兵庫県NIE推進協議会が震災授業を続けている。30年を過ぎたいまこそ、授業を続ける意味があると感じている。若い世代に記憶と教訓のバトンをつなぐために―。

◆岡山市立福浜中学校(2025年5月12日、対象・2年生208人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら

◆大阪教育大学(2025年5月13日、対象・中国人留学生20人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に学生のみなさんの感想を掲載しています。

◆蒼開高校(2025年9月24日、対象・1年生51人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※記事の末尾に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆滝川第二中学校(2025年12月10日、対象・1年生80人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※記事の末尾に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆神戸市立糀台小学校(2025年12月19日、対象・5年生約60人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら  ※記事の末尾に児童のみなさんの感想を掲載しています。

◆神戸市立本多聞中学校(2026年1月9日、対象・1年生280人)=予定 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文

◆明石市立藤江小学校(2026年1月15日、対象・6年生約150人)=予定 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー

◆神戸市立太山寺中学校(2025年1月15日、対象・2年生209人)=予定 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー

◆姫路市立飾磨中部中学校(2026年1月16日、対象=1~3年約280人)=予定 日本新聞協会のNIE実践指定校。講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー    

 戦後80年を迎えた。兵庫県NIE推進協議会が、修学旅行などで被爆地広島や長崎、凄惨(せいさん)な地上戦があった沖縄県を訪れる小中高生に、平和の大切さを考えてもらう出前授業を続けている。「いまを『戦前』にさせない」との思いを胸に、新聞記事を活用し、児童生徒に「世界平和のため自分ができることを考えよう」と呼びかけている。

◆神戸市立有野中学校(2025年1月31日、対象=2年生191人) 講師=神戸新聞報道部・津谷治英記者、神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※記事の末尾に生徒のみなさんの感想を掲載しています。日本新聞協会NIEサイトにもリポートが掲載されています。リポートはこちら

 沖縄への修学旅行を前にした5月16日、旅行後の6月5日にも三好アドバイザーが出前授業を行いました。前者の記事はこちら、後者の記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆湊川高校(2025年9月5日、対象・3年生約20人) 日本新聞協会のNIE実践指定校。講師=神戸新聞報道部・津谷治英記者、神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆三田市立ゆりのき台中学校(2025年10月27日、対象・1~3年生約830人) 講師=神戸新聞報道部・津谷治英記者、神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※記事の末尾に生徒のみなさんの感想を掲載しています。 

◆姫路市立花田中学校(2025年11月6日、対象・2年生78人) 講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※記事の末尾に生徒のみなさんの感想を掲載しています。

◆猪名川町立楊津小学校(2025年11月20日、対象・6年生13人) 日本新聞協会のNIE実践指定校。講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー 記事はこちら ※「わたしの感想NIE」に児童のみなさんの感想を掲載しています。

◆姫路市立飾磨中部中学校(2025年12月18日、対象・1年生111人) 日本新聞協会のNIE実践指定校。特別ゲスト=姫路空襲の語り部・黒田権大さん、講師=神戸新聞NIE・NIB推進部・三好正文シニアアドバイザー

◆神戸市立夢野中学校(2026年2月6日、対象・2年生100人)=予定 講師=神戸新聞報道部・津谷治英記者