新聞活用し人生のリスクまで考える
兵庫県神戸市東灘区の神戸大学付属中等教育学校で昨年12月19日、新聞も活用しながら今後の人生を考えるNIE(教育に新聞を)公開授業が開かれた。同県NIE推進協議会(竹内弘明会長)が主催して3年3組の授業が公開され、県内の教諭らが見学に訪れた。
授業は「ライフデザインをすることができる~これから起きることを予想する・備える~」。約30人の生徒が出席し、家庭科の金田理子教諭が担当した。
この日の授業では、生徒たちが事前に考えてきたライフデザインを、4人程度のグループに分かれて話し合った。
ライフデザインは学業・仕事、家庭生活、その他の各項目を20代、30代といった年代ごとに区切り、そのときどのような仕事をしているか、生活面ではどうしているかなどを考えた。さらに現実的に生きるうえで遭遇する可能性があるリスクも考慮。阪神・淡路大震災を経験した金田教諭は「災害に襲われたり犯罪に巻き込まれたりと人生では避けられないリスクがある。新聞記事を調べて様々なリスクにどう備え、立ち直るかも想像してもらった」と話す。
グループ内でそれぞれのライフデザインを披露し意見を交わし、各グループからひとりずつ、グループ内での意見も参考にしたライフプランを発表。
20代は大学院まで進学し結婚、60代で山を買う、と話した男子生徒は新聞で調べた情報をもとに「世間の状況が変わっていくので保険は5年おきなど小まめに見直す」。
これには金田教諭も「いいところに目を付けた。大事なことなので私も気を付けます」とクラスを沸かせた。
60歳で定年退職するという別の男子生徒は、デンマークでは2040年までに、定年退職年齢を現在の67歳から段階的に70歳に引き上げる法案が可決されたという新聞記事をみつけ「日本にも同じような波がくるかもしれない」と話した。
別の男子生徒は大学や就職後もすき間時間に研究を重ねて、50代で研究成果をもって起業したいとした。生徒たちからは「どのような研究?」と問われると「社会の役にたつような研究」と具体的な内容にまではまとまっていないようだったが、新聞記事で知った日本の研究費が世界に比べて劣ることを指摘し「世界に向けて役立つ分野の研究を成功させる」と結果で研究費に関する課題を解決するライフデザインを披露した。
この日は時間が足りなくなり全グループの発表には至らなかったが、授業後の意見交換会で金田教諭は「今後生徒たちが生きていくうえでやはりお金は大事。今の3年生にも銀行員やファイナンシャルプランナーなどからお金の使い方も学んでいってほしいと思っている。さらに生徒たちが親になる、誰かパートナーと一緒に過ごす、そういうことをライフデザインに入れていたことも嬉しく思った」と振り返った。
今回のライフデザインに関する授業は、多くの生徒がなりたい職業ぐらいまでは考えているが、結婚や自身もいずれ高齢者になることなど先までは考えていないと思われることから企画された。自然災害や火災、さらには闇バイト問題、悪徳商法の被害になることが多い若者の問題など、これからの生徒たちに人生のリスクに向き合ってもらうねらいもあるという。
同校は1年生(中1)から6年生(高3)までの一貫校で各学年3クラス。「国際的視野を持ち未来を切り拓く真理探究の精神に富んだ『グローバルキャリア人の育成』」を教育目標に掲げている。=新聞情報1月10日付
[写真説明] 神戸大付属中等教育学校の公開授業/グループごとにライフデザインを考える生徒たち/それぞれのライフプランで意見を交わす生徒たち


