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多文化共生を考える 夜間中学で出前授業

251201akatukityuu.jpg姫路・あかつき中 神戸新聞アドバイザーが講師に

 「多文化共生」をテーマにした出前授業が12月1日、夜間中学の姫路市立あかつき中学校(同市市之郷町2)であり、ベトナムやフィリピンなどの出身者ら生徒32人が参加した。同校は日本新聞協会のNIE実践指定校。神戸新聞NIE・NIB推進部の三好正文シニアアドバイザーが講師を務めた。

 同校は外国にルーツがあったり、家庭の事情などで十分に義務教育が受けられなかったりした10~90代の生徒が通う。

 多文化共生について、三好アドバイザーは「異なる文化や宗教を認め合い、地域の一員として共に生きること」と説明。「ただ、イスラム教徒の児童は、コーラン(イスラム教の聖典)が禁じる食材が入っている可能性がある学校給食は食べられない。日本人は世界の宗教についてもっと学ぶ必要がある」と強調した。

 日本との生活習慣の違いによるトラブルなどに触れ、「地域での受け入れ体制を整える必要がある」と指摘。人手不足で外国人労働者が急増する現状について「人口が減少する地域がにぎわい、外国人住民の考え方が地域の魅力を高める」「各国の人たちと友情を育むことが世界平和への架け橋になる」と期待をこめた。

 クルド人差別問題や、行政情報や災害情報を外国人が理解しやすい「やさしい日本語」で伝える自治体の動き、多文化主義を進める諸外国の動向なども解説した。

 日本の四季について知ってほしいと、兵庫の秋を伝える新聞記事から気になるものを選び、オリジナル新聞をつくるワークショップも行った。

[写真説明]「秋」をテーマに新聞をつくる生徒=あかつき中学校

 同校からのメッセージ 「秋」を見つける新聞づくりでは、紅葉の写真を選ぶ方が多く、「さわさわ、ザワザワ」の音や、「銀杏(いちょう)、秋」のにおいを感じる表現がありました。また書写山円教寺(姫路市書写)の紅葉で「ライトアップして秋を深く感じる」、魚吹八幡神社(同市網干区宮内)のちょうちん祭りで「威勢の良い掛け声が聞こえる」、竹田城跡(朝来市和田山町竹田)の雲海では「ここは天国?」という書き込みがありました。

 日本の秋の風景を豊かに感じとることができました。とてもいい時間を過ごしました。