西宮・浜脇中 「トライやる」代替行事 仕事の楽しさ プロから学ぶ
中学2年生対象の「トライやる・ウィーク」に代わる取り組みとして、さまざまな職業の人から働くことについて学ぶ講座が西宮市宮前町の市立浜脇中学校であった。音楽家やネイリスト、ユーチューバーなど、多彩な顔ぶれを講師に招いたユニークな企画。生徒たちはプロの仕事の一端に触れながら、将来への夢や期待を膨らませた。(鈴木久仁子)
「トライやる」は、心の教育を目的にした兵庫県発祥の取り組み。地元事業所の協力を得ての就業体験が定番だ。しかし本年度、新型コロナウイルス感染予防のため、各地で受け入れ先が激減。各校は代替の取り組みに工夫を凝らす。
今回、浜脇中が企画したのは、金管五重奏によるポップスコンサート▽大阪フィルハーモニー交響楽団のメンバーによる弦楽四重奏▽現役ユーチューバーのトーク▽大手前大学からデジタル画家の「絵画講座」▽ネイリストによる「ネイルサロン講座」▽インストラクターが指導する「ヨガ講座」▽甲子園球場のグラウンド整備を手がける阪神園芸(株)の実演講座▽新聞の記事作り―の8講座。生徒264人がそれぞれ2講座ずつ選択し、受講した。
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現役大学生のユーチューバー「こまんすまん」さんは、キャンプなどの動画をアップし、約3万2千人の登録者がいる。この日は、生徒にアンケート。多くが日ごろからユーチューブを楽しんでいることが分かった。続いて、「ユーチューバーになる方法」や「お金を得る方法」などを語り、同時に「夢を持つこと」、「いい動画を作り続ける心構え」についても語った。
阪神園芸のグラウンドキーパーが整備を実演。ピッチャーマウンドに埋まっているプレートの交換も行った。まず計測すると、位置がずれていることが判明。参加した野球部員から「それでストライクが入りにくかったんや」と冗談も飛び出した。マウンドの傾斜を踏み固め、きれいに仕上げる過程を見学。「やっぱり違う」とため息が漏れた。
「新聞づくり」の講座では、神戸新聞NIX推進部の三好正文・シニアアドバイザーが「取材と記事執筆のコツ」と題して講演。8人がインタビューのコツや記事の書き方を学んだ後、校内を回って各講座を取材した。
ネタ集めから戻るとレイアウトを考え、誰がどの記事を書くのか相談。「同じ言い回ししか思いつかない」と戸惑いながら、記事作りに挑戦した。2時間後、この日の様子を伝える一枚の新聞が出来上がった。
ユーチューバーとヨガの講座に参加した下田蒼真さん(14)は「将来の選択肢の一つがユーチューバー。(仕事として収入を得るのは)18歳まで無理だと教えてもらった。参考にします。ヨガはリラックスして体がほぐれて良かった」と満足そうに話した。=12月20日付朝刊教育面
[写真㊤] マウンド整備の仕方を教わる生徒=いずれも西宮市立浜脇中学校