「新聞」を学ぶ3日間 神戸大付属小5年生
オリジナル新聞を作ったり、新聞の特長を学んだりする講座が10月2日、明石市山下町の神戸大学付属小学校で始まった。5年生66人が神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーの話を聞いている。
初回は「新聞で調べ学習」に取り組んだ。児童たちは11班に分かれ、神戸新聞「写真ニュース」7~10月号から気になる記事2本を選び、分からないことや知りたいことをネットやアンケートで調査。模造紙に記事を貼り付け、調べた内容や感想を書きこんだ。「菅内閣が発足」や「神戸のパンダ『タンタン』、中国返還へ」を選んだ班が目立った。
続いて、インタビューの仕方を学んだ。三好アドバイザーは「素朴な質問をしよう」「会話を楽しもう」とアドバイス。取材のコツでは「第二次大戦の取材では、明石市内の空爆の被害はどうだったか、身近な話としてとらえ、戦跡を歩いたり、遺族の話を聞いたりすることも大切」と話した。
[写真㊤]興味のある記事を模造紙に貼り付ける児童たち=いずれも明石市山下町、撮影・麻生三禮(みらい)君 [写真㊦]「なぜ、この記事を選んだのか」を発表する児童たち=撮影・山邉花奏(かなで)さん
後日、児童たちから三好アドバイザー宛てに「なぜ、記者になろうと思ったのですか」「取材で一番感動した記事は何ですか」など、新聞や新聞記者の仕事に関する43の質問が届き、三好アドバイザーがメールで回答した。
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2回目は10月13日に開かれ、児童たちが三好アドバイザーからの回答をもとに、さらに疑問に思ったことを追加質問した。多くの子どもたちの手が挙がった。一部抜粋するとー。
Q「『ニュースはそこら中にある』と言っていたけど、どうやって見つけるの」、三好「きょう駅から学校に来るまでにも、コロナ禍の中でみんながどう暮らしているか、目を凝らせば気付くことがあります」
Q「『インタビューする前に下調べするが、完璧にはしない』と言っていたけど、どこまですればいいのですか」、三好「自分が聞きたいことを中心に下調べしましょう。ただ、本番のインタビューのときには気付いたことをどんどん質問しましょう」
Q「『サイドストーリーも取材する』と言っていたけど、なぜですか」、三好「将棋の藤井二冠のニュースでもただ対局に勝っただけでなく、昼食は何を食べたとか他の情報があった方が面白いと思いませんか」
続いて、見出しの付け方を学んだ。三好アドバイザーは「本記(事実関係を伝える記事)では、前文から見出しになる言葉を探そう」「ちょっとかっこよく、思いが伝わる見出しを付けよう」とアドバイス。児童たちは神戸新聞から気になる記事を選び、オリジナルの見出し作成に取り組んだ。新聞の仕組みでは、記事の種類に「本記」「雑感」「解説」があることや、全国紙と地方紙の違いを学んだ。
[写真説明]次々と質問を繰り出す児童=撮影・吉川貴大君
後日、児童たちから三好アドバイザー宛てに食品ロスやプラスチック問題、戦争をテーマにそれぞれが編集した手作り新聞62作品が届いた。
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3回目は10月26日に開かれ、三好アドバイザーが手作り新聞を一つ一つ紹介しながら講評。「取材した相手の生の言葉を入れよう」「『まとめ・なぜこのテーマを調べたか→分かったこと→調べ方』の順番にまとめよう」などと助言した。
続いて、「新型コロナの国内・県内感染者数」の表を糸口に、新聞の特長である網羅性や一覧性、有事のライフラインとして役割について説明。児童たちは新聞の魅力について「興味のある記事以外の情報も得られる」「保存して読み返すことができる」「見出しや扱いの大小で情報の価値の大小が分かる」「生の声が書かれていて分かりやすい」「情報が信頼できる」などと意見発表し、取材に訪れた神戸新聞明石総局の川崎恵莉子記者にも上手な写真の撮り方などを質問していた。
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以下は、川崎記者が書いた記事です。
新聞の役割など学ぶ 本紙社員から神大付属小5年生
新聞の作り方や役割について学ぶ授業が26日、神戸大学付属小学校(明石市山下町)であり、5年生66人が神戸新聞NIX推進部の三好正文シニアアドバイザーの話を聞いた。
国語の授業の一環で、今月2日から全3日間の日程で計画。三好アドバイザーからの説明や質疑応答を重ね、新聞記者の仕事、インタビューの仕方など基礎的な知識を身に付けた。
最終回のこの日は、戦争やプラスチック問題をテーマに児童が編集した手作り新聞を紹介。三好アドバイザーは「取材した相手の言葉を入れよう」「もう少し見出しを大きく」などと指導し、写真のレイアウトや見出しの付け方もアドバイスした。
続いて新聞の役割などについて説明。「新聞は政治や暮らしなど多くの分野の情報を伝える網羅性がある」と話し、「新型コロナウイルスのような有時に安心安全な情報を伝えることも大切な役割」と強調した。
清水然さん(11)は「いろんな情報を一度に知ることができるのが新聞の特長だと学んだ」。大田早紗さん(11)は「写真やグラフで記事の内容を理解しやすくする工夫をしているのが分かった」と話した。(川崎恵莉子)=27日付朝刊明石版
[写真説明]新聞の役割などについて学ぶ児童=明石市山下町
児童の手作り新聞の一例です。(三好アドバイザーの講評付き)