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「学校で新聞活用」じわり 県内の公立小中高校

読解力.jpg 子どもの読解力向上を目指し、小中学校の新学習指導要領で取り上げられた新聞の活用。国の本年度予算では全公立小、中、高校の図書室に新聞を置く費用が地方交付税に盛り込まれ、兵庫県内で利用する市町が広がりつつある。一方で、自治体の財政難を背景に、他の消耗品などに使われている例も多く、浸透しきっていないのが現状だ。

 新学習指導要領では、小5、6年では複数の本や新聞を用いること、中2では新聞などで情報を集め、中3で論説や報道などの文章を比較して読むことなどが触れられている。また、図書館の充実を図るため本年度から始まった第5次の「学校図書館図書整備等5か年計画」もあり、国は、学校図書館に公立の小学校1紙分、中学校2紙分、高校4紙分を置く費用として、前年度の約2倍となる約30億円を地方交付税に盛り込んだ。
 これを受け、兵庫県内では、相生市教育委員会が本年度から市立の小中学校全10校に各1紙を導入した。市立双葉小では6年生の教室に隣接する多目的スペースに、約1週間分の新聞を並べる。郷土のことや世界との関わりを学ぶ社会科の授業に使うほか、気になったニュースを取り上げ、まとめる取り組みも。担当教諭は「経済的理由などで購読していなくても、見たいときに自由に見られる。時事問題や地元の出来事などが、子どもの口から出てくるようになった」と話す。
 伊丹市教委も全小中学校に、加西市教委も全小中学校と特別支援学校に各1紙分の予算を付けたほか、明石市や姫路市、多可町など、既に全ての公立校に置いているところもある。
 一方で、地方交付税には額を決める基準はあっても実際の使途は限定されないため「消耗品費や図書費として各校に支給し、何に使うかは任せている」という自治体が大半だ。
 2015年度末の兵庫県教委の調査では、図書室などに新聞を置いている公立校は、高校では65%だったが、小学校は25%、中学校は22%にとどまり、いずれも全国を下回った。前任の小学校で本年度の導入を見送ったという元校長は「予算が増えたとはいえ、実際に各校に配分される額はわずか」とし「消耗品費などはどんどん削られており、増額分も他のものや図書にまわさざるを得ない」と漏らす。