1月17日と聞くと多くの人は阪神・淡路大震災をすぐに思い出すかもしれません。でも、どれだけのことを知っているのかというと、これまで神戸、阪神間に住み続けてきた私も自信が持てません。
最前線で取材を続ける神戸新聞の記者も、直接体験した人は少なくなりつつありますが、震災や災害を伝えていこうという思いに違いはありません。何年か前に、若手の記者が自分自身を振り返り「震災を経験していないことが引っかかっている」と正直な気持ちを伝えてくれたことがありました。その時、うまく説明はできなかったような気がしますが、「地域で暮らす住民の中にも近い感覚を持っている人がいると思う。同じような目線の取材ができるのでは」と意見を交わしました。
整備が進み街並みががらりと変わった地域では、転入してきた人も大勢いることでしょう。修学旅行などでも使われる「人と防災未来センター」(神戸市中央区)や、神戸市長田区役所内に有志で職員らが運営する「人・街・ながた震災資料室」は震災に関連する資料が充実しています。また、小さな公園や広場にもモニュメントが置かれていることがあり、その場所でどんなことがあったのかが分かる手立てになります。
17日は各地で祈りが捧げられます。地域を見つめ直すきっかけに街を歩いてみてはいかがでしょうか。
(藤家 武)